- マーケティングオートメーション(MA)
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現代の顧客は、テクノロジーを駆使することで、好きな時に好きなチャネルを通して興味のある商品やサービスに関する情報を収集することができます。
この「顧客の時代」においては、企業に対する「顧客の期待」が変化しているのです。
例えば、アパレル企業が、SNSを通した迅速なコミュニケーションに慣れている10代の女性に対して、自社の商品に関する大量の情報をメールで送付したところで、開封してもらうことは難しいのではないでしょうか?
それよりも、LINEなどを通じて、顧客の興味に沿った情報を随時配信する方が効果がありそうなことは一目瞭然です。
今後ビジネスを成長させていくためには、一人ひとりの顧客に対する理解を深め、「顧客の期待」に応えていくことが欠かせません。
そのためには、最適なタイミングで、最適なチャネルを通して、一人ひとりの顧客にパーソナライズされたコンテンツを配信することが重要です。
そうした顧客との質の高いOne to Oneコミュニケーションを実現してくれるツールがマーケティングオートメーション(通称MA)です。
本記事では、デジタルアイデンティティのパートナー企業であるセールスフォース・ドットコム社が提供するMAツール「マーケティングクラウド(Marketing Cloud)」とは何かご説明します。
目次
マーケティングクラウド(Marketing Cloud)とは?
マーケティングクラウド(Marketing Cloud)とは、セールスフォースが提供するMAツールです。
そもそもMAとは、「マーケティング活動の自動化」のことを指します。
自社の製品やサービスに関する情報を定期的に見込み客に配信するなど、従来は人が行っていた膨大な時間とコストがかかる業務をテクノロジーによって自動化することができます。
さらに詳しくマーケティングオートメーションについて知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
【MAとは?】マーケティングオートメーションとは何か分かりやすく説明します!
マーケティングクラウドは、セールスフォースのCRMに蓄積された顧客データを活用し、メール、SNS、Webといったマルチチャネル・デバイスを通して、顧客と最適なコミュニケーションを行うことで、One to Oneマーケティングを実現してくれるプラットフォームです。
つまり、「顧客との最適なコミュニケーションの実現を手助けしてくれるツール」と言い換えることができるでしょう。
MAツールについてお悩みをお持ちの方は、こちらの記事をご覧ください。
マーケティングクラウド(Marketing Cloud)の特長
マーケティングクラウドは、「顧客を理解」し、「パーソナライズされたコミュニケーション」を通して、「顧客と繋がる」ことを可能にしてくれるツールです。
セールスフォースが提供するeラーニングツール「Trailhead」では、マーケティングクラウドでできることを以下のように紹介しています。
・消費者がどのチャネル (たとえば、メール、モバイル、Web) を使用していても、つながることができる。
・カスタマイズした、レコメンデーション、リマインダー、割引を提供する。
・ソーシャルメディアで顧客の発言をリスンし、そのニーズに応える (リアルタイムの消費者サービスを提供するなど)。
・リーチを広げ、新しいオーディエンスを発見する。
・企業のマーケティングネットワークとローカルパートナーのネットワーク全体にわたって、シームレスでパーソナライズされたエクスペリエンスを提供する。
(引用元:TRAILHEAD Marketing Cloudの使用開始)
「これだけではいまいちイメージが沸かない」と思われる方は少なくないかと思います。
では、マーケティングクラウドを導入することで、具体的にはどのようなことができるようになるのでしょうか?
実際にマーケティングクラウドを導入しているセブン&アイ・ホールディングスの事例から、活用方法を学んでみましょう。
セブン&アイ・ホールディングスは、35年に及ぶPOS分析の実績があり、商品の動向を追うことはできていたものの、その分析が一人ひとりのお客様の購買情報と紐づいておらず、今一つお客様を理解することができていないという点を課題として認識していました。
そこで同社は、セールスフォースを基盤としたオムニチャネル戦略を採用し、2018年6月にはスマートフォン用の「セブン・イレブン公式アプリ」、「イトーヨーカドーアプリ」、グループ横断のロイヤリティプログラム「セブンマイル」をリリースしました。
セールスフォース上で一元管理されている、アプリを通して得た顧客情報をマーケティング活動に生かしていくために活用されているのがマーケティングクラウドです。
マーケティングクラウドを使用することで、お客様一人ひとりの好みや季節、時間を考慮して、おすすめ商品を提案することが可能になります。
さらには、朝・夕方など時間によってもおすすめ商品を出し分けることができ、お客様の来店を促します。
例えば、以前放課後にセブン・イレブンでパンを購入したことがある大学生に対して、ちょうど授業が終わる時間帯にパンのお買い得情報をプッシュ通知することができれば、店舗に立ち寄ってもらう確率を高めることができるでしょう。
セールスフォースとスマートフォンアプリを一緒に活用することで、実際のお客様の行動を把握し、タイムリーな提案をしていくことが可能になるのです。
さらに詳しいセブンアイ・ホールディングスの活用事例はこちらをご覧ください。
セブンアイ・ホールディングス活用事例
マーケティングクラウドの特長は、単一のプラットフォーム上で一気通貫して顧客とのタッチポイントを管理し、カスタマージャーニー全体に積極的に関与していくことができる点にあります。
カスタマージャーニーについての説明はこちらの記事をご覧ください。
カスタマージャーニーとは?誰でもできるカスタマージャーニーマップの作り方!
Pardotとの違いは?
マーケティングクラウドの話をすると、よく議題にあがるのがセールスフォースのもう一つのMAツールであるPardotとの違いでしょう。
Pardotに関する詳しい記事はこちらをご覧ください。
Salesforce Pardotとは?MAツールの決定版【使い方・仕組み・機能】
一般的に、マーケティングクラウドはBtoC、PardotはBtoBのビジネスに向いていると認識している方が多いかと思います。
しかし実際には、マーケティングクラウドとPardotは共にBtoCビジネスで効果を発揮することができます。
では、両者の違いは一体何かと言うと、集客型ビジネスと商談型ビジネスのどちらに効果的かという点です。
- マーケティングクラウド
コンビニエンスストアやアパレル企業などの集客型ビジネスで効果を発揮します。
BtoCビジネスの中でも、消費財などの比較的安価な商品を取り扱うビジネスに向いています。
数万~数百万という膨大な数の顧客を対象に、店舗に来場してもらったり、オンラインストアのページに訪問してもらったりと、集客をしていくビジネスにはマーケティングクラウドが向いているでしょう。
- Pardot
営業マンが提案しながら購買プロセスを進める商談型ビジネスで効果を発揮します。
購買検討が長期にわたる家や車などの高額な商材を取り扱い、営業マンが顧客とコミュニケーションをとり続ける必要があるようなビジネスモデルにはPardotが最適と言えるでしょう。
「BtoCのビジネスモデルであれば、マーケティングクラウドを導入すれば良い」とは一概には言えないということを念頭に置いておきましょう。
マーケティングクラウド(Marketing Cloud)の機能
マーケティングクラウドは、複数の製品から構成される単一のプラットフォームであり、それぞれのプロダクトを上手く組み合わせて使用することで効果を発揮します。
その製品は、メッセージング製品、広告およびデータ製品、ソーシャルメディア管理製品の大きく3つに分類することができます。
メッセージング製品
メッセージング製品には、Email Studio、Mobile Studio、Journey Builderが含まれます。
様々なチャネルをまたいだ顧客とのコミュニケーションを作成、構築、リリース、管理する上で役立ち、また、そのコミュニケーション方法をマップすることができます。
Email Studio
一人ひとりの顧客にパーソナライズされたメールを、大規模に送信することができるメールマーケティングプラットフォームです。
Email Studioを利用すれば、収集した顧客データをもとに顧客をセグメントに分けてターゲティングを行い、一人ひとりにカスタマイズ、およびパーソナライズされたメールを作成して送信することができるようになります。
さらに、送信したメールとその開封率をトラッキングできるため、マーケティング施策としてのメールの効果を正確に把握することが可能です。
具体的な活用方法としては、誕生日の顧客に対し、20%割引クーポンを付けて誕生日のお祝いメールを送信するといったことができるようになります。
Mobile Studio
SMSやプッシュ通知などを駆使して顧客のモバイルにタイミングよくメッセージを配信するプラットフォームです。
顧客がいる場所に合わせて、適切なタイミングで適切なメッセージを送信することで、リアルタイムのコミュニケーションを実現し、顧客の即時エンゲージメントを増加させることができます。
例えば、顧客が実店舗に来店したタイミングで、おすすめの商品情報を含むメッセージをプッシュ通知で送信することで、ただちに顧客の商品に対する興味を引き出し、購買に導くことができます。
Journey Builder
Journey Builderでは、Email StudioやMobile Studioなどで行うコミュニケーションをマップすることができます。
メール、モバイル、広告などの顧客とのコミュニケーションを示した理想のカスタマージャーニーを、実際のツールに落とし込む際に活躍します。
(引用元:Journey Builder)
Journey Builderでは、ドラッグアンドドロップの直感的な作業で、いつ、どのようにメールやプッシュ通知を顧客に送信するのかについてのフローを作成することができます。
広告およびデータ製品
広告およびデータ製品には、Advertising Studio、Salesforce DMP、Salesforce Data Studioが含まれます。
ターゲットを絞り込んだコンテンツの配信などに役立ちます。
Advertising Studio
Advertising Studioは、広告キャンペーンを最適化します。
顧客のプロファイルに基づき、その顧客に関連するコンテンツのみをタイムリーに表示させることができます。
セールスフォースのCRMに蓄積されたデータを使用すると、広告の種類、頻度、チャネルなど、一人ひとりの顧客が好むスタイルにパーソナライズされた広告を表示させ、顧客にとっても企業にとっても効率的なデジタル広告を実現することができます。
具体的には、顧客のオンラインショッピング購買履歴を使用して、過去30日間に購入した商品を参考にカスタマイズした特別オファーなどを、その顧客のWebブラウザのみに表示させることができます。
Salesforce DMP
DMPとは、Data Management Platformの略で、データ管理プラットフォームを意味します。
収集した顧客データをマーケティング担当者向けに整理し、プラットフォーム上で生成されたインサイトに即した指示を出します。
具体的には、家族のために食品を購入する主婦層をターゲティングするキャンペーンを作成するとき、Salesforce DMPを利用すると、マーケターが指定した特徴に準じたデータを収集し、ターゲットとして最適な主婦層を判別することができます。
Salesforce Data Studio
Salesforce Data Studioは、マーケティング担当者、企業、パブリッシャー(企業の広告を掲載するメディアを配信する事業社)がデータを安全に共有するためのプラットフォームです。
マーケティング担当者は、リーチを広げ見込み客を獲得するために、自社が行っているマーケティング施策に関わる様々なデータを繋ぎこむ必要がありますが、そうしたデータには多くの個人情報が含まれるため、パブリッシャーや企業がマーケティング担当者にデータを提供する際には、データ共有を安全に行うための膨大なコストを伴います。
そこでSalesforce Data Studioを使用すれば、セキュアな権限で所有データを共有できるため、データの購入者と販売者は安心して取引を行うことができます。
よって、マーケティング担当者は、パブリッシャーが共有するデータにアクセスしてリーチを広げていくことができ、パブリッシャーはアクセスを制御しながら、マーケティング担当者に共有したデータからさらなる収益を確保することができるようになるのです。
ソーシャルメディア管理
ソーシャルメディア管理製品に含まれるプロダクトは、Social Studioです。
Social Studio
TwitterやFacebookなどのソーシャルメディア上での顧客の発言を、傾聴、公開、エンゲージ、分析することができます。
ソーシャルメディア上で行われている自社に対する顧客の発言をリアルタイムで分析し、最も効果的なコンテンツを見極めて、顧客に届けることが可能になります。
例えば、ある顧客が注文とは異なるアイテムが届いたとツイートしているのを発見したソーシャルサービスチームは、即座にTwitter上で顧客に対応し、適切に注文を処理します。
すると、速やかな対応に感心した顧客は、自社に関するポジティブな内容の発言をツイートすることで、フォロワーに勧めてくれるでしょう。
Social Studioを使用すれば、一人ひとりの顧客に対する対応時間を改善し、顧客満足度を高めることも可能です。
さらに、Social Studioの活用例として、米コカ・コーラ社のTwitter運用の事例をご紹介しましょう。
例えば「誕生日に友だちからコカ・コーラをもらった」という旨のツイートに対し、コカ・コーラ社は、ユーザーのアカウント名などが記入されたオリジナルイラストを添付して、「お誕生日おめでとう」メッセージと共にリツイートします。
ユーザーは、名だたる一流企業から自分のためだけにカスタマイズされたメッセージを受け取るので、その時に感じた驚きや喜びをさらにリツイートするでしょう。
コカ・コーラ社と顧客とのコミュニケーションが多くの人目に触れ、より多くのファン獲得に役立ちます。
こうした顧客とのOne to Oneコミュニケーションが、今後ビジネスを発展させていくためには欠かせません。
まとめ
ここまで、セールスフォースのMAツールであるマーケティングクラウドとは何かについて、その特長と機能をご紹介しました。
膨大な情報が溢れかえる現代において、どの商品やサービスを購入するかを決めるために、顧客は自分の欲しい情報だけを自分の好みの方法で収集したいと思っています。
そうした「顧客の期待」に応えるために、企業は顧客との無数のタッチポイントを管理し、常に最適な方法でコミュニケーションを取ることが求められるのです。
セブン&アイ・ホールディングスの事例でもご紹介したように、マーケティングクラウドを活用すれば、一元化された顧客データをもとに、一人ひとりの顧客にパーソナライズされたコンテンツを最適なタイミングで配信する質の高いOne to Oneコミュニケーションを実現することが可能になります。
また、マーケティングクラウドは複数の製品から構成される単一プラットフォームであり、それぞれの製品を組み合わせることで、顧客との様々なチャネル・デバイスにまたがるタッチポイントを一気通貫して管理できることもお分かりいただけたと思います。
ますます顧客の期待が変化するこの時代において、「顧客を理解」し、「パーソナライズされたコミュニケーション」を通して、「顧客と繋がる」ことを実現してくれるツールが、セールスフォースのマーケティングクラウドなのです。
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