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「MAツールが活用できない…」その原因と改善策をプロが解説!

私がご紹介します

ikedakodai DXコンサルタント

これまで30社以上のマーケティングオートメーションの運用・構築支援に携わる。
単なるシステム実装だけではなく、LINEやアプリと連動したマーケティングソリューションの構築や広告連動施策など複数製品を組み合わせる大型プロジェクトを得意とする。
Salesforce認定Marketing Cloudコンサルタント、Salesforce認定PadotコンサルタントなどSalesforce製品に関連する資格を多数保有。関連コミュニティにも参画し、Salesforceからの表彰歴あり。

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MAツールを導入したけれど、ノウハウがなく使いこなせない・・。そのようなお悩みをよく耳にします。MA施策(マーケティングオートメーション、以下MA)は数あるマーケティング施策のなかでも、商談化率の改善や顧客満足度の向上、ひいては売上の増加など事業成果に直結することも。まずは現状の活用度を診断し、課題に合わせて施策の設計やPDCAを進めていきましょう。

MAツールの活用で挫折する原因

MAツールを導入したはいいものの、使いこなせず宝の持ち腐れになってしまうケースは多く見られます。企業規模や業種によって事情はさまざまですが、まずはMAツールの活用に失敗する原因について知り、対策を講じるとよいでしょう。
多くの企業で活用に失敗する原因は、戦略設計のノウハウ不足、運用スキル不足、リソースの不足の3つに大別されることがほとんどです。それぞれ詳しくみていきましょう。

戦略・戦術設計ノウハウの不足

まず一つ目の原因は、戦略・戦術設計ができていないことです。
活用が進んでいない企業では、多くの場合マーケティング活動におけるMAの位置づけがはっきりしておらず、KGI・KPIも定められていません。
本来であればマーケティング全体像を把握したうえでメールのクリック数や商談率、購入数などの指標を設けて実施すべきですが、なんとなく「毎月メールを送っておけばいいだろう」と惰性で施策を実施してしまうことも。
しっかりとした戦略設計がなければ、実施すべき施策の洗い出しや優先度付けを高い精度でおこなえず、成果に結びつかないMA運用になりがちです。

運用スキルの不足

二つ目の原因は、運用スキルの不足です。施策を実施するにあたってはMAツールに習熟した作業者が必要となりますが、外部ベンダーが初期構築をおこなった場合やはじめてツールを活用する企業ではスキルのあるユーザーが不足していることが多いです。
ツールによってはSQLなど専門知識を要するものもあるため、社内の人材育成や外部へのアウトソースも視野に入れて運用スキルのある人材を確保していく必要があります。

リソースの不足

MA活用に失敗する三つ目の原因は、リソースの不足です。
社内でMA施策の意義や期待される効果について議論がなされていない場合、MAの優先度が下がり、それに応じて人材や予算の面で割けるリソースがほとんどない、といったケースがよく見られます。
リソースが不足すると施策の質・量ともに満足のいくものにならず、結果が出ない、結果が出ないため追加のリソースを投下できない・・・といった負のループに陥ってしまい、MAの活用度合いが低下してしまいます。

まずは戦略設計から取り組むべき

MAツールの活用で挫折する原因について見てきましたが、そのなかで最も重要な課題を上げるとすれば、最初に述べた「戦略・戦術設計ノウハウ」です。
なぜなら、戦略設計次第ではMA施策が商談数や売上といった事業成果に大きく影響するためです。また、戦略設計は単にMAの知識があればできるわけではなく、顧客理解やマーケティング全般での知識・経験も求められるため、難易度の高い作業でもあります。

戦略を立てる際は、マーケティング担当者だけではなくインサイドセールスやフィールドセールスといった顧客接点を持つ担当者の意見も取り入れながら、いかにして顧客の興味関心を育成していくか、商談に結び付けていくかを検討していくことをおすすめします。

また、自社だけで戦略を作るのが難しい場合には、外部リソースを活用することも一つの手です。当社のような代理店やコンサル会社であれば、他社の事例や過去の知見に基づいて、最適なMA施策の戦略立案をおこなうことができます。当社の具体的な戦略設計の方法についてはのちほどご紹介します。

ここまでのお話のなかで、自社がどの程度MAを活用できているのか不安になった方もいるかもしれません。そのような方は、次の章で紹介するMAの活用健全度を確認し、活用推進のためのアクションプランを立てていきましょう。

MA活用の健全度の測り方

ここでは、自社がMAをどれくらい活用できているのか、その健全度の測り方をご紹介します。
MA導入時には、パートナー企業やSIerにプロジェクトを依頼する形で初期設定をおこなう企業が多いでしょう。しかし多くの場合、初期実装時から何もメンテナンスをせず、ユーザーニーズやビジネス環境の変化に応じて柔軟に施策を実施できていないのが実情です。
実装パートナーによっては「ツールが使えるようになった状態」をゴールとして納品する企業もあり、「ツールを使って成果が出せている状態」ではないことが往々にして見られます。
例えば、メールの件名はユーザーのクリックを誘導するように設定できているか、送信するタイミングは開封されやすい時間か、などさまざまな要素を加味して活用推進していく必要があります。
このようなMA施策でおこなうべき基本的な内容について、当社では50項目の診断を実施し、てきている部分、改善すべき部分を洗い出すサービスをご提供しています。
下図のように、設定内容を一覧化、点数化してMA活用の健全度を知ることができるので、活用推進で悩んでいる方はぜひお問い合わせください。
健全度の測り方

活用推進のための具体的なステップ

現状の活用度がわかったら、活用推進に向けて体制を整えていきましょう。ここでは6つのステップに分けて具体的におこなうべきアクションを解説します。

事業成果に紐づくKPIの策定

施策の実施にあたり、いきなりシナリオを考え始める方が多いですが、これはあまりおすすめしません。シナリオはあくまで目的達成のための手段。まずはどのような事業指標を改善するかを決め、そこに紐づくMA施策のKPIを定めることからはじめましょう。
例えば、不動産投資や自動車のディーラーのような業態であれば、商談数をKPIに定めている企業は多いでしょう。また、BtoCのファッションECや食料品の通販のような業態では、顧客のLTV(ライフタイムバリュー)やリピート購入率などがKPIの候補となるでしょう。
このように先にKPIを定めておくことで、以降のステップでおこなう戦略の検討や施策の実施について、「KPIの改善に繋がりそうか」という判断軸を作ることができます。
下図のような形で事業成果とそれに紐づくWebマーケティングの成果を一覧化して整理するとよいでしょう。
KPI設計

全体戦略の決定・優先度付け

KPIを定めたら、KPIの改善のためのステップをいくつかに分け、全体の施策の形を作っていきましょう。
例えば施策のKPIが「商談数」の場合、その手前には「ホットリード(SQL)数」や「リード数」など中間の指標となりうる数字が存在しています。
ユーザーがたどる動きを可視化した上で、中間の指標を改善するアクションも含めて検討すると効果的な施策を打ち出すことができます。

KPIを改善するためには1つのシナリオでは足りず、3~4つのシナリオを組み合わせて実施するようなことも十分考えられます。

例えば、はじめにリードとして入ってきたユーザーに自社のことを紹介するシナリオ、ユーザーの興味関心に合わせてモチベーションを高めるためのシナリオ、購買まであと一押しのユーザーをプッシュするシナリオなどです。

下記は弊社が過去に作成した保険会社様のキャンペーン用シナリオの一例ですが、最初にユーザーの興味関心を知るためのシナリオを配信し、その内容によって各ジャンルの専門的なシナリオにユーザーを振り分け、最終的にはコンバージョンポイントとなる会員登録を促す、といったものです。
全体戦略
上記のように各施策に目的を持たせることでMA施策全体を有機的に動かすことができます。

また、宿泊サービスを提供している会社様へのご提案では、下記のような全体像を描きました。
旅行の前、旅行中、旅行後の各フェーズでユーザーがどのような体験をするのか、それに合わせてどのようなコミュニケーションを取っていくべきか、全体を踏まえながら検討を行っていきました。
全体戦略②
売上など実際の事業成果と紐づけて戦略設計をおこなう場合は、上記でご紹介したようにどの事業場の指標を改善するのか、それに紐づく中間指標やWeb上での指標を整理しておくと、要所要所で事業KPIに立ち戻ってMA施策を議論できます。

施策の考案

全体の戦略やどういったKPIを設定するかが決まってはじめて、施策の検討に移ります。
まずは現在実施している施策のデータを洗い、特に改善幅の大きそうなボトルネックを発見するところからはじめましょう。
例えば、他と比べて圧倒的に開封率の低いメールがある、特定の業種・業界の商談率が低い、クリックはされるがサイトの滞在時間が短いなど、あらためてデータを分析することでテコ入れの余地が見えてきます。
下図のようにユーザーの態度変容をいくつかのフェーズに分け、歩留まりを見ていくことでボトルネックを発見しやすくなります。
分析
ボトルネックを発見したら、その解消のための施策を考えていきます。下図のような順番で考えていくとよいでしょう。まずは、ユーザーが次のステップに進むためにはどのような情報を提供すればよいかを洗い出します。そして次に、情報をどのような順序で、またどのようなタイミング・フォーマットで当てればよいかを考えます。
施策考案
例えば、BtoCのEC企業であれば、普段は買わないお客様でも期間限定セールの情報を配信することで購入検討してもらえる可能性は高まるでしょう。また、1回メールを出すだけでは見逃されてしまうため、セール終了日が近づくにつれてリマインドのメールを出すことで漏れているユーザーを拾い上げることができます。さらに、送信タイミングはプライベートのメールをチェックする可能性の高い朝や夜の時間にするのがよいでしょう。

このようにして施策が考案できたら、MAツールの仕様も踏まえて詳細設計と実装をおこなっていきます。
下図は詳細設計の例ですが、シナリオの詳細設計においては対象となるユーザーや配信タイミングを、ツールで実装可能な形で決めていきます。
ユーザーのアクションによってメールを出し分ける場合などは、どのようなタイミングでどのような行動をした場合に出し分けるのかを明確に定義します。
また、配信するコンテンツについても、件名が開封したくなる魅力的なものか、ファーストビューで離脱されないかなどを考慮して文面や構成を考えていきましょう。

施策の実装

詳細設計
ここまでしっかりと検討できれば、実際にツール上でシナリオの設定をおこない、運用をスタートさせましょう。
ツールの知見のあるメンバーを中心に、管理画面上で設定をおこないます。施策の目的やどのようなユーザーにメールを配信するかなど、施策の概要はドキュメントに残しておくことをおすすめします。メンバーが入れ替わったり、新しい施策をやる際の参考になるためです。
また、可能であれば事前に社内メンバーのみでテストをおこないましょう。メールの誤字脱字チェックやリンクURLの間違いなど、細かいミスは起こりがちなので複数人でチェックする体制を敷けるのが理想です。
問題なくテストを通過したら、施策を開始し結果のモニタリングをはじめましょう。

振り返り・次回アクションの検討

施策が走り始めたら、施策の成果をモニタリングし、改善する動きを取っていきましょう。あらかじめ下図のようにKPIを定点観測できるフォーマットを整えておくのがおすすめです。
特にメールによるMA施策では、メールの開封、クリックのような基本的な指標は必ず押さえておき、コンテンツや対象ユーザーごとに数値感を把握しておきましょう。
可能であれば昨年同月や昨月などの比較対象を設けて、指標ごとになぜ改善/悪化しているのかの深堀りがおこなえると次の施策につながりやすいです。
施策分析
また、より深い分析をおこなう場合は、コンテンツ自体の質(開封やクリック率)に加えて、そこからサイト流入したユーザーの行動や商談情報などとも紐づけることで次の施策につながるインサイトを得ることができます。
下図のようなフォーマットを持っておくと分析の引き出しが増えるでしょう。
施策分析②
このようにして定期的に施策の振り返りをおこない、改善を繰り返していくことでMA施策の効果を最大限に発揮することができます。

アウトプット例

冒頭でMA施策では戦略設計が重要とお伝えしましたが、当社にお問い合わせをいただくお客様の多くも、MA戦略設計に課題感を持たれています。
ここでは、これまでのお客様からのご相談内容をもとに、2つほど戦略設計の事例をご紹介します。

一つ目は、旅行・宿泊サービス業界におけるMA施策です。
宿泊サービスの利用プロセスを時系列で見ると、大まかには宿泊前、宿泊中、宿泊後の3段階に別れます。このお客様では宿泊前、宿泊中、宿泊後それぞれにおいて顧客体験を最大化するための設計をおこないました。
・宿泊前には、予約をいただいているお客様のワクワク感を高めるため、宿泊先近辺のおすすめスポットを紹介したり、宿泊地の天候情報などを提供
・宿泊中は無事にチェックインができたかの確認やオプションで利用できる施設のご案内
・宿泊後は満足度の調査をおこない宿泊施設側にフィードバックをしたり、まだ来訪していない地域のレコメンドを実施

このようにして、ユーザーの時系列に沿って一貫して顧客満足度を高める戦略設計をおこないました。
DX事例
もう一つの例は、Web上のチャットボットをCRM基盤につなぎ、MAとも連携してコミュニケーションを実施した施策です。
もともとはチャットボットを活用したMA施策についてご相談を受けており、チャットボットで収集したユーザーの悩みに合わせてコンテンツを配信する設計をおこないました。
チャットボットではサービス内容に関するお問い合わせを受け付けたり、簡易的な診断を設けてユーザーの情報を集める仕組みを構築、そこで得た情報をもとに来店促進やクーポン付きのメールやLINEメッセージでコミュニケーションをおこなうことで集客数の増加を図りました。
DX事例②
このように、MA施策の立案では単なるシナリオ設計だけでなく、ユーザーの導線を踏まえて全体のコミュニケーションを策定していく必要があります。
ご紹介した事例や設計手法に興味のある方は当社までお問い合わせください。

パートナーの選び方

ここまで読んでいただいている方のなかには、社内のリソース事情や専門ノウハウを求めて外部にアウトソースを検討している方もいるでしょう。そのような方向けに、外部パートナーの選び方をご紹介します。
費用、実績などさまざまな観点から検討する必要がありますが、なかでも下記の3つはチェックしておくのをおすすめします。

ツールの習熟度

MAツールの種類によって得意な企業とそうでない企業が分かれます。当然、ツールの習熟度の高い企業のほうが施策実装がスムーズにできたり、ツールを存分に活用した施策が打ち出せたりします。
相談をする際にどのようなツールの知見があるのか、これまでの運用件数などを聞いておくと、実績のあるパートナーが選定できるでしょう。

マーケティング他領域での知見・実績

MAツールの実装やコンサルティングに特化した会社もあれば、マーケティング全体の支援ができる会社もあります。多くの場合、MA施策はコンテンツマーケティングや広告などの集客施策やCRMなど顧客管理と連携することが多く、マーケティングや顧客管理まで一貫した知見があるパートナーに任せたほうが全体最適をおこないやすいです。
例えば、デジタルアイデンティティでは運用型広告やSEOといったWeb施策をおこなっていた者がMAツールの運用もおこなえるため、他のマーケティング施策との連携を強みとしています。
強み
また、同一の担当者が複数のツールを一貫して取り扱うこともできるため、MAの実績数値をBIツールで可視化し、さらに事業KPIとの関連性を見ていく、などといった進め方も可能です。
取り扱い可能
安価に工数だけを提供する会社を頼るのも一つの手ですが、マーケティング全体を理解しているパートナーを見つけたほうが成果を上げやすいでしょう。

支援体制

会社ごとに支援体制にも違いがあります。技術に詳しいエンジニアがメインで支援をする場合もあれば、マーケティングの視点を持ったコンサルタントが担当する場合もあります。
当社の場合はコンサルタントとエンジニアがセットでご支援をおこなうため、マーケティング観点と技術的な観点、両方を踏まえた施策実施ができることが強みです。
また、レポーティングの形式や定例会の進め方も会社によって異なるため、事前に確認しておきましょう。

おわりに

MA施策はツールの導入がゴールではなく、使いこなして事業成果に紐づくことではじめて結果を出せるものです。すぐに成果が出るものではありませんが、ユーザーのロイヤリティを高めたり、商談率を改善したりと正しい方法で運用すれば事業成果を改善する強力な武器になります。
MAの活用にお悩みの方は、まずは当社のMA活用度診断をおこない、現状を踏まえて活用推進のアクションを取っていきましょう。

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MAツールを導入することで、KPIの可視化だけでなく業務の効率化にも繋がり、より生産的な業務にリソースを集中することが可能になります。

また、MAツールに限らず、BIツール・CRMツール、その他マーケティングツールの導入、マーケティングプロセス全体のDX支援についても対応可能です。
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