- マーケティング, マーケティングオートメーション(MA)
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今回はマーケティングにおいて欠かせない、「リードナーチャリング」について解説します。
そもそも何を指すものなのか、マーケティングのプロセスにおいてどういう役割を持つのか、具体的なリードナーチャリング施策はどういったものなのか、はじめから丁寧に解説します。ぜひご覧ください。
目次
リードナーチャリングって何?
リードナーチャリングとはどのような意味なのでしょうか。単語ごとに意味を分解してみました。以下で確認していきましょう。
リードの意味
リードナーチャリングのリードとは英単語のLeadが語源です。
英単語自体の意味は案内や手がかり、きっかけなどの意味があり、とりわけビジネスでは「見込み客」という場合に使われます。
つまり、これから顧客になる可能性があるユーザー全体を意味する言葉であり、業種や業態、ビジネスモデルによってニュアンスが多少異なります。
リードについての詳細はブログ記事「リード獲得とは?概要からリード獲得のための具体施策・おすすめツールをご紹介!」をご覧ください。
ナーチャリングの意味
ナーチャリング(nurturing)とは、「養育」「育成」「子育て」などの意味を持つ英単語です。マーケティング業界ではその意味から転じて、顧客の育成や事業の育成を指すのに用いられています。
つまり、「リードナーチャリング」とは「見込み客の育成」ということになります。自社サービス・商品への興味関心や検討の度合いが低い顧客に対し、情報の提供や疑問の解決を行うことで確度の高い顧客へ成長させることを意味します。
リードジェネレーションとの違い
リードナーチャリングに似た言葉として、リードジェネレーションが挙げられます。リードジェネレーションとは「見込み客の獲得」という意味です。
具体的には自社サービス・商品への認知がないような潜在顧客の中から、契約や購入に繋がりそうな見込み客を見つける事だと言えるでしょう。
例えば、自社サービス・商品の展示会などでの名刺交換や広告の出稿によって認知を拡大することなどが挙げられます。
リードジェネレーションで見込み客を獲得し、リードナーチャリングで獲得した顧客を育成するという流れになります。
リードナーチャリングが注目される理由
ひと昔前はあまり聞かなかったこの単語も、今ではしきりに耳にするようになりました。
マーケティングに関するサイトを見ても、「リードナーチャリングの施策を見直して効果が2倍に!」や「手厚いナーチャリングで顧客のロイヤリティ向上を…」といった記事を多くみかけます。
いつ頃からこのようにリードナーチャリングが注目されるようになったのでしょうか。
具体的な時期は明確ではありませんが、Googleトレンドをみると日本では2008年をきっかけとして徐々に普及していったようです。
画像引用:Google トレンド
そもそもこのリードナーチャリングのモデルと手法はアメリカで提唱されたもので、主にBtoBビジネスにおける有効な手段として用いられていました。
それが海外では一般的に普及し、マーケティングオートメーション(MA)をはじめとする様々な仕組みに組み込まれるようになりました。
その波が次第に日本にも伝わり、今では日本でも用いられるようになりました。
しかしながら、「リードナーチャリング」という言葉や概念は浸透したものの、いまだ具体的な施策や運用に至ってないのが現状です。
ただ、このリードナーチャリングの仕組みやツールが海外で一般的になったのには理由があり、現在国内で注目を浴びているのにもそういったことが影響しています。
では、リードナーチャリングが注目されている理由について、詳しくみていきましょう。
情報環境の多様化と購買プロセスの変化
インターネットの普及にともない、現代は必要な情報をその場で検索できるようになりました。また、製品・サービスの利用や購入をする際にも、その場ですぐにアクションを起こすのではなく、他の商品と比較検討をしたり、事前の下調べのもと購入するというケースが一般的になりました。
このような、情報環境の多様化と購買に至るまでのプロセスの変化にともない、顧客に自社の製品・サービスを利用してもらえるようリードナーチャリングすることが重要になったと考えられます。
リード獲得手法の多様化
インターネットの普及にともない、見込み顧客であるリードを獲得する手法も多様化しました。従来のテレアポやチラシ配りといった手法だけでなく、Webを活用した広告配信やSEO、コンテンツマーケティングなど様々な方法が用いられるようになりました。
このようにリードを獲得する方法が多様化したことにともない、その分様々なリードに合ったナーチャリング手法も求められるようになりました。
過去の失注顧客(保有資産)の増加
「過去に取引実績はあったものの、今は取引がない」「過去に失注して、取引が途絶えてしまった」など、過去の失注顧客や休眠顧客が多数存在することは珍しくありません。
その際に、そのまま休眠顧客として放置するのではなく、新たな取引を創出する場としてリードナーチャリングの重要性が高まっています。
休眠顧客は新規顧客を開拓するように、何か別のアプローチを取ったりする必要がなく、製品やサービスに興味を持っている可能性が高いため、コストパフォーマンスが高いリードといえるでしょう。
リードナーチャリングのメリットと解決できる課題
リードナーチャリングには下記のようなメリットがあります。
リードフォローの仕組み化
既存の資産(顧客)を活用でき、コストメリットが高い
顧客の態度変容に合わせた適切なアプローチができる
先ほどご紹介した、リードナーチャリングが注目される理由と被る箇所がありますが、メリットをまとめると、「コストパフォーマンスが高く、自動化しやすい」という部分にあるでしょう。
リードナーチャリングを行っていくうえでは見込み顧客の行動や関心度を把握し、それに応じた施策を講じるため、マーケティングオートメーションとセットで考えるようにするのが一般的です。
また、リードナーチャリングの過程では下記のような課題が解決できます。
- 利用できていなかった顧客データの活用
- リードの質の改善
- 企業のブランディング向上
MAツールなどを活用してリードナーチャリングを行なうと、今までは活用できていなかった顧客データが発掘できたり、寝かせたままにしておいた顧客データが有効に使えるようになります。
新たに得たデータはノウハウとして蓄積されるので、今後の施策へのデータ活用やさらなるリードナーチャリングにも活きるはずです。
また、丁寧にリードナーチャリングの施策を行うことでリードの質の改善にもつながります。
今まではリードの顧客データを分析せずに、興味関心の度合いが低いユーザーを営業にパスするのが通常だったかもしれませんが、顧客データの蓄積と製品・サービスへの関心度が把握できることで、顧客一人ひとりに合わせたコミュニケーションを取ることができます。
また、そういったコミュニケーションを繰り返すことで、顧客からの信頼感の向上や製品・サービスへの期待感が高まり、ブランディングの向上にもつながります。
リードナーチャリングに必要な準備
リードナーチャリングのステップは以下の通りです。
具体的な目標を立てる
リードナーチャリングを行う際には具体的な目標を設定する必要があります。「〇〇までに資料のDL数◯◯%増加」「〇〇までに営業アポイント◯件獲得」など目標を詳細に決めることで、とるべき手法の選択や具体的な方針を決定する事が可能です。
KPIを設定する
目標を立てた後に、KPI(Key Performance Indicator)を設定します。KPIとは最重要達成指標とも呼ばれ、どのルートを通れば最短で、適切にゴールを目指せるのかといった中間指標のことを指します。このKPIを正しく設定することで、施策を行っている際に迷子になることがなく、PDCAサイクルを回すことが容易になります。
リードの情報を集め、整理する
リードナーチャリングを行う前提として、現在持ち合わせるリードの情報を一度整理する必要があります。リードジェネレーションによって獲得した見込み客や過去の失注顧客の情報を今一度整理し、基盤を整えましょう。
以上の準備を行い、具体的な目標、KPI、リード情報のまとめができたら、次はリードナーチャリングの具体的な施策、手法を決定することになります。
具体的な手法については次章で解説します。
リードナーチャリングに必要な施策
ナーチャリングにおいて重要なのは、顧客の行動を把握することと、関心度に合わせたアプローチです。それを可能にするための具体的な代表的な施策として、下記の5つが該当します。
- メール配信
- Webトラッキング
- セミナー/ウェビナー
- SNS
- オウンドメディア
この中でも特に代表的なのが、メール配信とWebトラッキングです。
リードをトラッキングし、スコアリングやグレーディングといった指標でセグメント化することで顧客の関心度や重要度合いが分かります。
そしてスコアリングの状況などトラッキングしたデータを元に、顧客にメールを配信します。
製品Aのページを見ているリードには製品Aに関する情報を、製品Bのページを見ているリードには製品Bを、料金ページや無料お試しページを見ているリードには営業に架電をしてもらう…といったように、トラッキングして得た顧客データをもとにメール配信などの施策を行うようにしましょう。
また、ウェブ媒体の発展に伴い、SNSマーケティングやオウンドメディアを活用したリードナーチャリングも効果的な手法となっています。
SNSの場合、FacebookやTwitter、Instagramなどで企業の公式アカウントを作成し、情報を発信します。特に、自社製品・サービスのターゲットとなるようなユーザーが多く利用するSNSを活用することで、ユーザーとの交流の場をもち、自社サイト・オウンドメディアへの誘導がしやすくなります。また、オウンドメディアの新着記事や自社サイトの新製品情報をSNSにアップし、認知を広げるということも可能です。
マーケティングオートメーション(MA)で効率化が可能
今回ご紹介したリードナーチャリングは、マーケティングオートメーション(MA)と切っても切り離せないものです。特に、上記で解説した「リードのトラッキングやグレーティング」についてはMAツールSalesforce Pardotを利用することでより効率的に行うことが可能です。
MAツールSalesforce Pardotについて詳しい内容はブログ記事「Salesforce Pardotとは?MAツールの決定版【使い方・仕組み・機能】」をご覧ください。
また、弊社では初期環境設定が難しいとされるMAツールの導入支援を行っております。「MAツールの導入方法が分からない」「操作方法が分からない」といったご担当者様は下記リンクから詳細をご確認ください。
まとめ
今回は、リードナーチャリングの概要や役割、そして実際に行う施策についてご紹介してきました。
リードナーチャリング自体はシンプルなものですが、その手法は様々で顧客のケースによって効果的な方法は異なります。最適な手法を選択し、効果的なマーケティングができることを目指すと共に、自動化可能な部分はMAツールを活用し、業務の効率化を図ることが重要です。
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