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昨今、ニュースや書籍などで「サブスクリプション」が注目されています。
サブスクリプションというのはなんとなくは分かるけど、導入にどんなメリットがあるのか、どんな指標を重視する必要があるのかまで答えられる人は多くないのではないしょうか。
この記事では、サブスクリプションとはどういったものなのか、サブスクリプション導入の顧客と企業それぞれのメリット・デメリット、サブスクリプションで大切な指標について解説していきます。
目次
近年注目のサブスクリプションビジネスとは
サブスクリプションビジネス(サブスク)は、月ごとや年ごとでお金を払っていれば、そのサービスを利用し放題というビジネスモデルで、アドビやネットフリックス、スポティファイ・テクノロジーなどの主にソフトウェア企業によって導入されてきました。
しかし近年はSaaS事業のみならず、パナソニックやトヨタ自動車、資生堂などの大手メーカーなども導入し、まさしくありとあらゆる業態で導入されているビジネスモデルです。
また、焼き肉チェーン「牛角」を運営するレインズインターナショナルも、サブスクリプションビジネスを試験導入したことでも話題になりました。
SaaSに関してはこちらをご覧ください。
サブスクリプションビジネスの成長率
では、サブスクリプションビジネスはどうして注目されているのでしょうか?
それは、日本などの先進国では経済が成熟し、消費動向が「モノ」から「コト」へ移りつつあるといわれてることが関係しています。
経済産業省のデータを見ると、日本の家計支出の約50%は「サービスに対する支出」になっています。
また供給側のデータを見ると、約70%は「小売業を除いた対個人サービス」になっています。
(参考:https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/hitokoto_kako/20151005hitokoto.html)
このように、消費動向がサービスに移行する中で、サブスクリプションビジネスの市場は急速に成長しています。
アメリカのズオラが2019年4月に発表したサブスプリクション・エコノミー・インデックスによれば、「北米・欧州・アジア太平洋地域でのサブスクリプションビジネスの収益成長率が300%を超えている」とのことです。
それだけ、サブスクリプションという形態が注目されていることでしょう。
サブスクリプションと定額制の違い
では、サブスクリプションと従来の定額制の違いはどこにあるのでしょうか?
月ごとや年ごとに金額を支払い、その期間は使い放題という意味では、サブスクリプションも定額制も違いはありません。
サブスクリプションが定額制と違うのは、「いかに顧客の満足度を高め、継続的に使ってもらうか」に主眼を置いていることです。
サブスクリプションでは、アップグレードやサービスの追加で顧客価値を高めるとともに、顧客の利用状況によっては解約を防ぐ為にダウングレードを提案することもあります。
これが定額制との違いです。
顧客がサブスクリプションを利用するメリットとデメリット
ここまで、サブスクリプションとはなにかを解説してきました。
では、サブスクリプションを利用するユーザーのメリットやデメリットには、どのようなものがあるのでしょうか?
顧客にとって一般的にどのようなメリットやデメリットがあるのかを知ることで、企業がサブスクリプションを導入するときの判断材料となるでしょう。
サブスクリプションを利用するメリットってなに?
顧客がサブスクリプションビジネスを利用するメリットとして挙げられるのは、
- 初期費用が抑えられる
- モノを置くスペースや管理する手間がいらない
- 使えば使うほどお得
- いつでも解約の手続きができる
の4点です。
初期費用が抑えられる
1つ目のメリットは、初期費用が抑えられるということです。
例えば、家具や家電などのサブスクリプションビジネスでは、実際に家具や家電を購入するよりも、初期費用を大幅に抑えられるメリットがあります。
他にも、SaaSでは無料のお試し期間が設けられていることが多いので、導入のハードルが低いというメリットがあります。
モノを置くスペースや管理する手間がいらない
2つ目のメリットは、業種によって変わりますが、直接するわけではないので、モノを置くスペースや管理の手間などがかからないということです。
例えば、洋服を自分で購入した場合には、その洋服を着ていない時でもクローゼットなどで保管しておく必要があります。
しかしサブスクリプションであれば、必要な期間だけサブスクリプションを利用するということが可能です。
使えば使うほどお得
音楽や動画などのストリーミングサービスでは、サービスを利用している間は使い放題です。
ですので、使えば使うほどお得ということになります。
いつでも解約の手続きができる
上記の「モノを置くスペースや管理する手間がいらない」と似ていますが、使わなくなったり、気に入らなければすぐに解約できるというメリットがあります。
これはモノを所有せず、サブスクリプションを利用する大きなメリットです。
サブスクリプションのデメリットってなにがある?
ここまでサブスクリプションビジネスの利用者のメリットを見てきました。
では逆に、サブスクリプションビジネスを利用したときのデメリットとしては、どういったことが考えられるでしょうか。
主なものは以下の3つでしょう。
- 使っていなくても料金がかかる
- SaaSでは使わない機能も含まれている可能性がある
- 様々なサービスに契約してしまいがち
では、一つずつ見ていきましょう。
使っていなくても料金がかかる
まずは使っていなくても料金がかかってしまうことです。
家具や家電などほぼ毎日使うものであればまだしも、申し込んだが使っていないという場合でも料金が発生してしまい、結果的に割高となってしまう可能性があります。
SaaSでは使わない機能も含まれている可能性がある
これは主にSaaSに見られる特徴ですが、自分が使わない機能が多く含まれている場合、使いにくかったりコスパが悪いということがあります。
SaaSでサブスクリプションを利用する場合には、機能や料金などをしっかり比較することが大切です。
様々なサービスに契約してしまいがち
サブスクリプション・ビジネスでは、初期費用が抑えられたり、解約が簡単であることもあって、導入の心理的ハードルが低い一方で、いろいろなサービスに契約してしまうということがあります。
企業がサブスクリプションビジネスを始めるメリットとデメリット
これまで、サブスクリプションを利用する側のメリットとデメリットをご紹介しました。
では、サブスクリプションの導入側にはどんなメリットとデメリットがあるでしょうか?
サブスクリプションを導入するメリットとは?
企業がサブスクリプションを導入するメリットは、以下の4つです。
- 新規顧客を増やすことに貢献する
- 継続的な売り上げが見込める
- 利用者リストや利用データを収集しやすい
- SaaSのみならず様々な業種で導入できる
では、一つずつ解説していきたいと思います。
新規顧客を増やすことに貢献する
1つ目は、新規顧客の獲得に貢献をするということです。
サブスクリプションビジネスを利用する顧客のメリットのところでも述べた通り、ユーザーにとってはモノを購入するよりも心理的ハードルが低い傾向にあります。
これは企業側からすると、新規顧客を獲得しやすいということです。
継続的な売り上げが見込める
2つ目は、売り上げの計画が立てやすいということです。
商品を販売する場合、一度購入された後に再び購入してもらえるかは分かりません。
さらに、購入の頻度にもばらつきがあるでしょう。
しかし、サブスクリプションであれば、月ごとまたは年ごとに費用を支払ってもらうので、顧客に利用してもらっている限り継続的な売り上げが見込めるというメリットがあります。
顧客リストや利用データを収集しやすい
次に、顧客リストや利用データを集めやすいということもメリットとして挙げられます。
どのような年代の方が利用しているのか、平均どれくらいの利用頻度か、などを分析することによって、自社の商品やサービスの改善を行いやすくなります。
この点に関しては、サブスクリプションビジネスと合わせて、データを活用したマーケティング手法、データドリブンマーケティングの導入も必要です。
顧客のデータを分析、改善する社内体制を築くことで、自社の収益の拡大に大きく貢献できるでしょう。
データドリブンマーケティングについて詳しくはこちらをご覧ください。
SaaSのみならず様々な業種で導入できる
最後のメリットは、ありとあらゆる業種で導入が検討できるということです。
冒頭で述べたように、サブスクリプションビジネスはソフトウェア企業だけではなく、様々な分野の大手メーカーも導入しています。
さらに、飲食店や美容院などでサブスクリプションビジネスを行っているところもあります。
人々の消費行動が「モノ」から「コト」へと移っていく中で、サブスクリプションビジネスは、新たな収益基盤を築くことにつながるでしょう。
サブスクリプションを始めたときのデメリットって?
ここまで、企業がサブスクリプションビジネスを行うときのメリットについてご紹介しました。
では反対に、サブスクリプションビジネスを始めたときのデメリットは、どういったことが考えられるでしょうか。
主に考えられるのは、
- 利用者が少なければ利益が出にくい
- 継続的に利用してもらうためのコストがかかる
の2つでしょう。
利用者が少なければ利益が出にくい
最初に考えるデメリットは、利用者が少なければ利益が出にくいということです。
サブスクリプションビジネスでは、ユーザーが最初に払う費用を抑える代わりに、長く使ってもらうことで収益化するというビジネスモデルになります。
ですので、サブスクリプションビジネスを開始してユーザーがまだ少ない段階では、利益が出ないことが多いので注意が必要です。
継続的に利用してもらうためのコストがかかる
サブスクリプションと定額制の違いのところで述べた通り、サブスクリプションは「いかに顧客の満足度を高め、継続的に使ってもらうか」を考えるということが特徴です。
つまり、ユーザーの利用状況を分析し、に継続的に利用してもらうための施策が求められるということです。
そういった、顧客との良好な関係を保つコストがかかるということは覚えておきましょう。
サブスクリプションビジネスを行うときに大切な指標
これまで、企業がサブスクリプションビジネスを行うときのメリットとデメリットをご紹介しました。
ここからは、サブスクリプションビジネスではどんな指標を見ればいいのかを解説していきたいと思います。
代表的なものは以下の4つです。
- LTV(Life Time Value)
- Churn Rate
- Churn RateARPU(Average Revenue Per User)
- CAC(Customer Acquisition Cost)
これらは全て、サブスクリプションビジネスでは不可欠な指標です。
では一つずつ解説していきましょう。
LTV(Life Time Value)
最も大事なのは、LTV(顧客生涯価値)です。
これは、1顧客の支払額の合計が平均でどのくらいになるのかという指標です。
このLTVは、サブスクリプションビジネスでは必ずといっていいほど用いられる指標で、
「月額(または年額)の料金 × 使い続けてくれる期間」という計算で算出されます。
LTVについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
Churn Rate
Churn Rate(チャーンレート)とは、解約率のことで、顧客がどのくらいの割合で解約するかを表しています。
この指標は、サブスクリプションビジネスの「いかに顧客に長く使ってもらい、顧客の満足度を高めるか」を考えるという特性上、とても大切な指標です。
アン・H・ジャンザー 氏著、『サブスクリプション・マーケティング――モノが売れない時代の顧客との関わり方』によると、「アメリカのズオラは、サブスクリプションビジネスの平均チャーンレートはBtoBで年率26%、BtoCで年率35%と発表した」とのことです。
サブスクリプションビジネスを行うときには、この平均のチャーンレートを参考に、自社のサブスクリプションビジネスが健全な水準かを考えるのがいいでしょう。
ARPU(Average Revenue Per User)
次に、ARPUです。
ARPU、1顧客あたりの平均単価がどれくらいかという指標です。
LTVは1顧客の支払額の合計であるのに対し、このARPUは月ごとや年ごと、または日ごとに算出されることが多いです。
ティエン・ツォ氏 、ゲイブ・ワイザート氏著、『サブスクリプション――「顧客の成功」が収益を生む新時代のビジネスモデル』では、「チャーンレートが低いサブスクリプション(売上高2500~7500万ドル)の企業は、顧客の1/3にクロスセルを行っていた」というマッキンゼーの報告が紹介されています。
さらに同書によると、「成熟したサブスクリプション・サービスでは、アップセルとクロルセルによる収入が収益全体の平均20%を占めている」とのことです。
つまりARPUがどのくらいかという指標は、自社のサブスクリプションビジネスがうまくいっているのかを判断するときに有効といえます。
また、ARPUが高くなれば、LTVも高くなります。
CAC(Customer Acquisition Cost)
CACとは1顧客獲得にかかる費用のことです。
これは、LTVと一緒に使われることが多い指標です。
一般的に、新規顧客の獲得には既存顧客の5倍のコストがかかるといわれています。
ですので、LTVを高めていくためにもCACを下げるということは大切です。
ただ、新規顧客を獲得していくには、どうしてもコストがかかってしまいます。
俗にLow Hanging Fruitといわれるのですが、ユーザー数が増えるごとにCACは高くなる傾向にあります。
ですので、すでに動き出しているサブスクリプションビジネスの場合は、LTVやチャーンレートやを改善していく方が優先度が高いかもしれません。
しかし、CACが高いと結果的に利益が頭打ちとなってしまうので、サブスクリプションビジネスではLTVと同様にしっかりと見ておく必要がある指標です。
LTV/CAC > 3xを目指そう
サブスクリプションビジネスが健全な状態かは、「LTVがCACの3倍以上か」によって判断されることがしばしばあります。
つまり、1顧客が支払う合計額の平均が、1顧客を獲得にかかる費用の3倍以上あると健全だとされているいうことです。
自社でサブスクリプションビジネスを行うときには、「LTV/CAC > 3x」を一つの目安にするといいでしょう。
まとめ
人々の消費動向が「モノ」から「コト」へと移っていき、ありとあらゆる産業がサービス化に向かう中で、サブスクリプションという形態が注目されています。
今やソフトウェア企業のみならず、メーカー、飲食店や美容院にまで導入されているビジネスモデルです。
サブスクリプションでは、顧客の利用状況のデータを取得、活用してサービス改善などが行えるため、デジタルマーケティングともかなり相性がいいです。
むしろ、デジタルマーケティングを実行できる基盤があってこそ、サブスクリプションビジネスが真価を発揮するといえます。
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