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MAツールの活用と一言でいっても、実際にはやるべきことは山積しています。メールの作成や配信設定といった操作だけではなく、どのようにして開封率を上げるか、など戦略的な目線も必要になってきます。
MAツールの活用に向けて自社の活用度合いをチェックできる診断をご紹介しているので、診断を活用して現状把握を進めていきましょう。
目次
MAツールの活用推進に向けたステップ
MAツールをきちんと活用していくには、時間と手間がかかります。
リソースがない、知識がないなどさまざまな原因が考えられますが、まずは現在の活用度合いを可視化することから進めていきましょう。
当社がさまざまな企業のMAツールを設定するなかで、特に初期段階において押さえておくべきポイントを診断シートとしてまとめましたので、まずはシートを見ながらできている点、まだできていない点を確認してみてください。
活用健全度診断について
まずは診断シートをもとに自社の活用度合いを見てみましょう。
こちらからもシートはダウンロードできます。
診断内の各項目について、ここから詳細に解説していきます。各項目でどのようなことをやるべきか、できていないとどのような不都合が生じるかを説明していますので、自社の実施度合いに応じて参考にしてください。
ビジネス要件の理解
MAツール活用の前提として、ビジネス要件の理解は欠かせません。自社を利用するユーザーはどのような属性が多いのかや、どのような経路でコミュニケーションを取って顧客になるのか、自社製品の強み・他社との差別化ポイントは何かなど、自社のポジショニングやターゲットを的確に理解することで適切なMA施策が実施できます。
また、ビジネス上の成果に紐づくKGI・KPIが定まっていることも重要です。ビジネス上の目標を定めることでMA施策でユーザーにどういう行動をさせたいのかを定義し、施策の目的を明確にすることができるからです。
例えば、BtoB企業であれば商談数が一つの目標となりますし、BtoC企業ではメール起点の製品購入数やライフタイムバリューなどが目標となるでしょう。
ビジネス要件の前提なしにMA施策を進めてしまうと、ターゲットの区別もなく、何となくメルマガを送り続けるような施策になってしまうことも。
初期設定、ユーザー管理
PardotやMarketing Cloudは、費用を払っただけですぐに使い始めることはできません。メールを送るためには送信ドメインの設定が必要だったり、送信者名やメール返信をどう扱うかも事前に決めておく必要があります。
また、ツールを使用するユーザーの権限管理も重要です。MAツールは多くの場合、個人情報を含むデータを扱うため、社外の方をユーザーとして登録する際には権限の設定にも気を配る必要があります。
リードジェネレーション
リードジェネレーションとは、一般には見込み顧客を獲得する活動のことを指します。MAツールを活用してWebサイトにフォームを設置し、メールアドレスや氏名などを入力してもらう方法がよく使われます。
PardotやMarketing Cloudにおいては、データベースの構造を理解し、ユーザーのセグメンテーションに使える有用なデータをフォームで収集できているかがポイントとなります。
例えば、EC企業であれば売上情報をどのようなカラム構造で取得するか、製品情報をどのようなテーブルに持たせるかなど、MAでの活用も意識したうえでデータテーブルの設計をおこなう必要があります。
BtoB企業であっても、企業規模や業種といった商談で役に立ちそうな情報をあらかじめ想定しておくことで、フォームで取得する項目を最適化できます。
また、フォームの項目数や記入のしやすさなど、Web上でのCV率を下げないための工夫も必要となります。フォームの記入項目が多すぎるとユーザーの離脱につながってしまうため、フォームで取得する情報を厳選し、ユーザーの離脱を防ぐフォームのデザインを探っていく必要があります。
このようなリードを獲得する工夫が不十分な場合、そもそもナーチャリングの対象となる見込み客を集めることができず、商談数の向上にもつながらなくなってしまいます。
メールマーケティング
MAツールを活用するうえで基本となるのがメールの作成です。単に伝えたいことをテキスト情報で提供することだけがメールマーケティングではありません。
どのようにしてメールを開封してもらうか、その先でサイト来訪してもらうためにはどのような内容を盛り込むべきか、ユーザー属性やターゲットの興味関心に応じて柔軟に使い分ける必要があります。
例えば、ECサイトでは過去に購入した製品に基づき類似の製品のレコメンドメールを送ったり、カート内に製品がある場合に購入の後押しとなるメッセージを送るような施策が一般的です。可能な限りユーザー一人ひとりの趣向や行動をとらえ、パーソナライズされたメッセージを送ることでユーザーのエンゲージメント向上が期待できます。
また、メール送信の結果をもとにPDCAを回すことも重要です。例えば、メールの開封率をもとにメールの件名や送信時間についていくつかのパターンを試したり、クリック率改善のためにメールクリエイティブを入れ替えたりすることはユーザー体験の向上につながります。
せっかくPardotやMarketing Cloudを導入しても、ずっと同じメールを送り続けているだけでは効果改善が見込めないため、定期的に改善アクションを取っていきましょう。
リードナーチャリング
リードナーチャリングとは、見込み顧客を優良な顧客に育成し、商談や売上の増加につなげるための過程を指して使われます。
リードナーチャリングでは多くの手順が必要とされますが、まずは既存の見込み顧客を特徴によっていくつかのセグメントに分類したうえで、それぞれのユーザーをどのようにして理想的な顧客(いわゆるホットリードやロイヤルカスタマー)にしていくかを考えるのがよいでしょう。
理想的な顧客を考える際は、できるだけ計測可能な指標を用いて具体化することでMA施策につながりやすくなります。例えば、下記のような定義をおこなうことで理想とすべきユーザー像が明確化されます。
BtoCの場合
- 過去3ヵ月の累計購入金額が10万円以上
- 過去1ヵ月以内にカートに商品を入れた
BtoBの場合
- 過去2週間以内に資料をダウンロードした
- 過去1週間の間に3回以上サイトに来訪している
- コンバージョンにつながりそうなページを閲覧している
上記のような指標を定め、ユーザーをその状態にするためにはどのようなアクションが必要かを考えていきましょう。
リードクオリフィケーション
リードクオリフィケーションとは、優良な見込み顧客の選別という意味で用いられます。多数の見込み顧客のなかでも自社に関心を持ってくれているユーザーやロイヤリティの高いユーザーを抽出することで、効率よく商談を増やしたり売上を増加させることにつながります。
リードクオリフィケーションにおいては、自社への興味関心度や商談を持ちかけるべき優先度を定量化したり、フラグを付けたりすることが必要となります。
例えば、Pardotのスコアリング機能を使ってメールをクリックしたりフォームを通過したりするたびに点数を増やすような手法が良く使われています。
あらかじめ、ページの閲覧で1ポイント、メール開封で5ポイント、フォーム通過で50ポイントのような定義づけをしておき、一定期間の間に何ポイント溜まっているかでユーザーの興味関心を数値化できます。
スコアの重みは企業によって異なるため、実際のサイトの構成や商談までのプロセスを加味してスコアの設計をおこなっていく必要がありますし、定期的に見直しをおこなう必要があります。
もし優良顧客の選別ができていなかったり、定義づけがあいまいになっていると、商談を取りに行く際の優先度を間違ってしまい、営業工数の無駄になりかねません。MA施策の実施時にマーケティング側と営業側で優良なリードについての定義を議論しておくことをおすすめします。
業務プロセスの自動化
MA活用においては、これまで人間が手作業でおこなってきた業務をどれだけ効率化できるかも重要です。
例えば、毎週決まった時間におこなうメルマガの配信や顧客リストの更新はPardotやMarketing Cloudで設定すれば自動化が可能です。
その他にも、一定間隔でメールを送ったり、メールの開封/未開封によって出し分けるメールを変えたりすることはツール側の設定でできるため、できるだけツールの自動化機能に頼るのがよいでしょう。
可能な限り自動化機能を使いこなし、どうしても人の手が必要なクリエイティブの改善やシナリオの考案に時間を使うことでMA施策の効果を最大化できます。
外部とのコネクター
PardotやMarketing Cloudは、ツール単体ではなく他ツールとの接続で効果を発揮する機能もあります。
Pardotのコネクターのなかでは、Google Analyticsとのコネクターが最もよく使われているでしょう。Google Analyticsのコネクターを使うことで、ユーザーが見込み顧客担った際の流入元情報をPardotに格納することができるため、経路別の見込み顧客獲得効率を見ることができます。さらに、キャンペーンと紐づけることで、特定のセミナーや展示会におけるリード獲得の良し悪しについても定量的に数値を見ていくことができます。
Marketing Cloudでは、CRMとのコネクター(Marketing Cloud Connect)がもっとも有名です。CRMとのコネクトをおこなうと、CRMの取引先責任者や商談といったオブジェクトをMarketing Cloudに同期できます。CRMのデータをほぼ即時でMarketing Cloudに受け渡せるため、常にMarketing Cloud側の顧客データを最新に保つことができます。顧客データをFTPなどで連携している方は試してみるとよいでしょう。
診断結果別の取り組み方
ここまで診断の各項目について解説してきました。実際に診断をおこなうと、PardotやMarketing Cloudの活用状況を客観的にとらえ直すことができます。
診断結果に応じてこのまま施策を継続的におこなっていくのか、手を付けられていないところに取り組んでいくのか、方針を決めていきましょう。
貴社の施策に関しては以下のボタンからご相談できます。