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令和5年10月1日から始まったステマ規制。
「何となく知っているけど、定義はうまく説明できない」「何に気をつけたらいいのかわからない」という人も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、ステマとは?という定義から規制の対象、問題になりやすい広告や違反しないための対策について解説。
知らず知らずのうちに違反していたなどということにならないよう、要点をわかりやすく説明します。
令和5年10月1日からステマ規制が開始
今まで日本では、広告であるにもかかわらず広告であることを隠すステルスマーケティングいわゆるステマは規制されていませんでした。
しかし、令和5年10月1日にステマは景品表示法で禁止されている不当表示に指定されました。
このため商品やサービスを提供する事業者は、従来と同じ方法で広告やSNSを運用していると、法律違反になる可能性があります。
また、9月30日以前の投稿でもネット上に残っている場合は規制対象となるため、今後だけでなく過去の広告についても対策が必要です。
そもそもステマ(ステルスマーケティング)とは?
ステマとは一言で説明すると、広告であることを隠して行われる広告・宣伝のことです。
ステマには大きく分けてなりすまし型と利益提供秘匿型の2つがあります。
なりすまし型
なりすまし型とは、商品やサービスを提供している会社の人が一般消費者になりすまして広告・宣伝をおこなうことです。
具体的には、化粧品会社の広報担当である社員が、その身分を隠して自社製品を個人ブログで紹介する、口コミを投稿するなどの行為が該当します。
利益提供秘匿型
利益提供秘匿型とは、企業から依頼を受けた第三者が利益を受けていることや依頼されたことを隠して広告・宣伝をおこなうことです。
例えば、インフルエンサーが企業から商品の紹介を依頼されたことを隠して、あたかも個人的な感想であるかのようにSNSで商品を紹介した場合などが該当します。
ステマ規制導入の経緯や背景
ステマ規制の導入は、近年SNSの普及とともに有名人を利用したステマが横行し、消費者の判断を鈍らせる行為として問題視されたことがきっかけです。
消費者が商品やサービスを適切に選択できるよう保護する法律としては、景品表示法があります。
景品表示法では、事業者が自社の商品・サービスのPRのために、虚偽や誇張など消費者の誤解を招くような不当表示を禁止しています。
その分類としては、実際にはそうでないにも関わらず「これは質のいい商品だ」と消費者に思わせる優良誤認表示(景表法5条1号)や「これはお得な商品だ」と思わせる 有利誤認表示(景表法5条2号)などがありますが、ステマはこれらに該当しないため現行の法律では取り締まることができませんでした。
そこで令和4年9月「ステルスマーケティングに関する検討会」という有識者会議が設置され、ステマ規制の導入やその内容、方法などを議論。
その提言を受けた消費者庁が令和5年10月1日、景品表示法の不当表示の3つ目の分類である 内閣総理大臣が指定する不当表示にステマを追加することで、ついに規制が始まりました。
ステマ規制の告知内容
それではここで、実際にステマ規制について内閣府が発表した告示を見てみましょう。
このようにステマ規制に関する告示は非常にシンプルです。
ステマの対象は「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」であり、具体的には「事業者が自己の供給する商品又は役務の取引について行う表示であって、一般消費者が当該表示であることを判別することが困難であると認められるもの」とその内容を定義しています。
規制されるのは「広告」で対象は「事業者」
告示のままだとわかりづらいためもう少し噛みくだいて説明すると、まず今回の告示で規制を受けるのは広告です。
テレビ、新聞、ラジオ、雑誌、SNSやレビュー投稿などさまざまな広告がありますが、そのなかでも一般消費者が広告であるとわからないものがいわゆるステマとして規制されます。
個人の感想など広告でないものや、テレビCMなど広告であることが明らかなものは対象外です。
また、規制の対象となるのは、商品・サービスを供給する事業者です。
企業から広告・宣伝の依頼を受けたインフルエンサーなどの第三者は規制の対象となりません。
ステマ規制の対象となるポイント
ステマ規制の対象となるかどうかは主に以下の2つが判断基準となります。
①事業者の表示であることがわかるかどうか
第三者が行っているように見えるのに、実は事業者が行っている表示は、いわゆる「なりすまし型」のステマに該当し、規制の対象となります。
例えば、化粧品会社が自社製品を公式サイトや公式アカウントなどで紹介する場合、事業者自ら行う表示であることが明らかなため、規制の対象とはなりません。
しかし、化粧品会社の広報担当が、身分を隠して自社製品を個人ブログで紹介した場合、一見第三者による表示に見えますが、実際には事業者が自ら行う表示であるため規制の対象となります。
②広告であることがわかるかどうか
個人の感想など中立的な立場に見えるのに、実は広告という表示もステマに該当し、規制の対象となります。
企業から依頼・指示を受けたインフルエンサーが、それを伏せてSNSで商品を紹介する「利益提供秘匿型」などがその一例です。
また、広告であることを表示した場合でも「フォントが小さい」「動画内で一瞬だけテロップが流れる」などその文言や大きさ、場所などがわかりにくい場合はステマに該当します。
ステマとして問題になりやすいのはどんな広告?
消費者庁では「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の運用基準を発表しており、その考え方や具体例などを整理しています。
ここからは、その運用基準をもとにステマとして問題になりやすい表示について紹介します。
事業者の従業員による表示
事業者が自ら行う表示は、基本的に第三者のものだと誤認させるような表示でなければステマとして問題になることはありません。
事業者が自ら行う表示として問題になりやすいのは、従業員が自社製品をSNSの個人アカウントで紹介するなど「事業者と一定の関係性を有し、事業者と一体と認められる従業員や、事業者の子会社等の従業員が行った事業者の商品又は役務に関する表示」です。
営業や広報、製造に関わる子会社など販売・開発チームの従業員が、商品の認知向上のために表示を行った場合、事業者が自ら行う表示=広告と見なされ、規制の対象になります。
その一方で、販売などに関与しない従業員が、消費者でも知り得る情報で販売促進の目的ではない投稿を行った場合は、自社の広告にはあたらないと見なされ規制の対象とはなりません。
ただし、これはグレーな部分やケースバイケースな部分も多く、消費者庁の見解も変わる可能性があるため今後の動向に注意が必要です。
第三者に対して明示的に依頼・指示していない表示
インフルエンサーなどの第三者に商品の紹介を依頼・指示した場合、基本的にはその旨をきちんと投稿に反映してもらえればステマとして問題になることはありません。
しかし、はっきりとした依頼・指示がない場合でも、客観的に見て第三者の自主的な意思による投稿ではないと判断された場合はステマ規制の対象となるため注意が必要です。
具体的には、以下のようなケースが例としてあげられます。
- 過去にも同じ事業者の依頼を受けて投稿した実績がある
- 「星5つをつけてくれた購入者にはポイントバックがあります」などの対価がある
- 商品やサービスの無償提供がある
- 「商品の特徴をさりげなく紹介して」など投稿のないようについてやりとりがある
総合的な観点から事業者が関わっていると判断された場合は、第三者の自主的な意思によるものとは認められず、ステマ規制の対象となる恐れがあります。
事業者による表示だとわかりにくい表示
ステマとならないためには、誰がいつ見ても広告だとわかる必要があります。
このためステマ規制の対象のポイントでも少し触れましたが、事業者の表示であることを示している場合でも、その文言や大きさ、場所などがわかりにくい場合はステマに該当するため注意が必要です。
具体的には、以下のような表示が例としてあげられます。
- フォントが小さい
- 背景と同系色で見えない
- 大量のハッシュタグの中に事業者の表示である旨が埋もれているSNS投稿
- 認識できないほど短い時間や末尾にだけ事業者の表示であることを示す動画
ステマ規制の対象外となるもの
ここまで、ステマ規制の対象となるものや問題になりやすいケースを見てきました。
次はそれとは反対に、ステマ規制の対象とならない以下の表示やケースについて紹介します。
- 第三者の自由な意思による表示
- 広告・事業者の表示であることが明らかな場合
第三者の自由な意思による表示
仮に事業者が第三者の表示に関与していても、客観的な状況に基づいて、それが第三者の自主的な意思による表示と認められればステマには該当しません。
第三者の自由な意思による表示の例としては、主に以下のようなものがあげられます。
- 事業者に依頼を受けているが、低い評価をつけた投稿
- サンプルとして受け取ったものの結果、感想を自由に書いた投稿
- 事業者が行うキャンペーンに応募するためのコメント など
これらは事業者の指示ではなく、自主的な意思に基づいて自分の感想を投稿しているため、事業者の表示とはならずステマ規制の対象外となります。
広告・事業者の表示であることが明らかな場合
ステマ規制は、あくまでも広告であることを隠す表示、広告と判別することが困難な表示が規制対象です。
このため以下のように、事業者の表示であることが社会通念上明らかであるものは、ステマ規制の対象とはなりません。
- テレビCM
- 新聞などの広告欄
- 事業者の公式サイトやSNSの公式アカウント
- 映画のエンドロール
- ラッピングバス など
ステマ規制に違反した場合の罰則
ステマ規制に違反することは、景表法5条3号の違反行為にあたるため、社名の公表などのペナルティや、消費者庁などによる行為の撤回および再発防止を命じる措置命令の対象となります。
また、措置命令に違反した場合は刑事罰(景表法36条等)の対象となるため、事業者に対して2年以下の懲役または300万円以下の罰金のいずれかまたは両方が科されます。
ステマ規制に違反しないための対策
ステマ規制に触れてしまうと、企業として信頼を失う、法律違反となりペナルティを受けるなどさまざまなリスクがあります。
ステマ規制に違反しないための主な対策は以下のとおりです
広告であることをわかりやすく表示する
ステマ規制対策では誰がいつ見ても広告だとわかるような表示にすることが大切です。
特にインフルエンサーなどに第三者に投稿を依頼・指示する場合は、X(旧:Twitter)ならハッシュタグ、インスタならタイアップ機能、You Tubeならテロップなど各媒体に合った機能で広告、PRの記載をしてもらうとよいでしょう。
#PRなどのハッシュタグなら先頭、少なくとも1行目につける、動画なら上の方にずっとテロップを出すなど、ぱっと見て広告だとわかるよう位置や表示も工夫する必要があります。
発信者と事業者の関係性を明示する
第三者に対して明示的に依頼・指示していない場合でも、総合的に見て投稿の内容に企業が関わっていると判断された場合、事業者が行う広告と見なされてステマ規制に違反するおそれがあります。
このような事態を防ぐためには、常に発信者と事業者の関係性を明示しておくことが大切です。
例えば、単に商品や書籍を献品した場合でも、感想を投稿する際には無償提供だとわかるような表示をしてもらうなど、関係内容を記載することで「そのつもりはなくてもステマに該当してしまった」というケースを予防できます。
SNSに関する社内ルールの策定
従業員のSNS投稿も、ステマに該当してしまう危険性がある行為の一つです。
事業主の預かり知らぬところで違反が行われないようにするためには、 SNS利用に関する社内ルールを策定したり、教育や研修を行ったりして全従業員に周知を徹底する必要があるでしょう。
ただし、従業員の投稿に関しては、地位や担当業務、表示目的などを考慮したうえで、ステマかどうかが総合的に判断されます。
今後、消費者庁の見解や判断基準が変わる可能性があることも考えると、思わぬトラブルを避けるためにも当面の間は「個人のアカウントで自社製品に関連する投稿を行ってはならない」などのルールを定めておくのが安心かもしれません。
過去の投稿にも同様の対応をする
令和5年9月30日以前の投稿でも、基本的にネット上に残っているものはすべてステマ規制の対象です。
これから発信するものと同様の内容が求められますので、ネットでまだ閲覧できる投稿に対しては、修正や削除の要請をするなど可能な限り対応する必要があります。
投稿主の連絡先がわからない、何度も連絡しても連絡がつかないなどの場合はやむを得ないかもしれませんが、その場合は万が一に備えて接触の記録を残しておくようにしましょう。
まとめ
ステマ規制の対象となるのは、広告であることを隠す広告、広告であるとわかりづらい広告です。
事業者自らが行う表示でも第三者に依頼・指示する表示でも、誰がいつ見ても広告だとわかるような表示にしておけば基本的に違反とはなりません。
しかし、従業員が個人アカウントで自社商品を紹介した場合や、第三者に明示的に依頼・指示していなくても、投稿の内容に事業者が関わっていると見なされた場合には、ステマと判断されることがあるため注意が必要です。
また、ステマ規制の対象には9月30日以前の投稿も含まれるため、必要に応じて修正・削除などの対応が求められます。
知らないうちにステマ規制に違反してペナルティを受けてしまうことがないよう、これから発信するものはもちろん、過去のものについてもしっかり対策しておきましょう。
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