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ビジネス戦略を考える上で超有効!PEST分析の考え方と使い方

新規事業を始めるときや、既存事業の売り上げを伸ばしていくとき…
どんなビジネスにも、必ず戦略が求められます。
そんなときに使えるフレームワークの一つが、「PEST分析」です。
PESTとは、政治(Politics)・経済(Economy)・社会(Society)・技術(Technology)の頭文字です。
PEST分析では上記4つを分析することで、自社の戦略を導き出すことができます。
この記事では、PEST分析とは具体的にどういうものなのか、どんなことを分析するのか、分析結果をどのように活用するのかについて解説していきます。

PEST分析ってなに?

PESTとは冒頭で述べたように、以下の頭文字を取ったものです。

  • 政治(Politics)
  • 経済(Economy)
  • 社会(Society)
  • 技術(Technology)

そもそも、マーケティング戦略の立案と実行にはいくつかのステップがあります。
一般的には、以下のようになっています。

  1. 内部環境と外部環境の分析し、市場機会を見つける
  2. 顧客を同質のニーズを持っているグループ(市場)に分ける
  3. 分けたグループ(市場)の中で、どこの市場を狙うかを決める
  4. 狙う市場の中での、自社の立ち位置を明確にする
  5. マーケティングミックスでマーケティング戦略を立案する
  6. 考えたマーケティング戦略を実行、評価する

この最初のステップでPEST分析が使われます。
他にも、このステップでは3C分析、5F(ファイブフォース)分析、SWOT分析などが使われます。

3C分析はこちらの記事をご覧ください。

マーケティング戦略で頻出のフレームワーク!3C分析ってなに?

ファイブフォース分析はこちらの記事をご覧ください。

5つの競争要因で市場環境を分析!ファイブフォース分析について

SWOT分析はこちらの記事をご覧ください。

内部環境と外部環境を分析!マーケティング戦略のフレームワーク、SWOT分析とは

ちなみに2~4ではSTP分析、5では4P分析が使われることが多いです。

STP分析はこちらの記事をご覧ください。

STP分析とは?分析方法や重要性、活用事例を紹介!

4P分析はこちらの記事をご覧ください。

4P分析とは?基礎から事例、活用のポイントを徹底解説

では、PEST分析はなにを目的として行われるのでしょうか?

PEST分析って何のためにするの?

PEST分析は、外部環境を分析するために行われます。
それも主に、中長期的なマクロ環境を分析するために用いられます。
マクロ環境とは、世の中の流れのことです。
PEST分析は政治・経済・社会・技術の動向を分析し、世の中の流れを把握するために使われるということです。
PEST分析によって、中長期的な政治・経済・社会・技術の動向を把握することで、将来のリスクに備えたり、自社が時流に乗って成長するための戦略を立てるのです。
それでは、PEST分析の項目について詳しく解説します。

PESTについて詳しくみてみよう

前述したように、PEST分析のPESTは、

  • 政治(Politics)
  • 経済(Economy)
  • 社会(Society)
  • 技術(Technology)

の頭文字を取ったものでした。
では、PESTそれぞれには、具体的にどんな項目があるのでしょうか?
また、それらは自社のビジネスにどんな影響を及ぼすのでしょうか?

Politics(政治的要因)

Politics(政治的要因)は、法律や条例、規制などを指します。
政治的要因は、市場競争のルールに対して影響を及ぼします。
法律の改正によって、新たな市場が生まれたり、反対に消滅したりします。

政治的要因に含まれる項目

政治的要因には、

  • 法律、法改正、判例、規制緩和
  • 条約
  • 税制の変化
  • 政治、政権の動向
  • 政治思想の潮流
  • 補助金または交付金制度、特区制度

などがあります。

Economy(経済的要因)

Economy(経済的要因)は、物価や為替推移やGDPや経済成長率など、経済指標の動向のことです。
経済的要因は、自社の売り上げや利益などの業績に関わってきます。
例えば、外国から原料を輸入している場合、為替の変動によって仕入コストにも影響が出るでしょう。
また富裕層が増えている国では、質の高い製品ブランドに参入の余地があるでしょう。
このように経済的要因を分析することで、リスクヘッジや新規参入などに活かすことができます。

経済的要因に入る項目

主な経済的要因は、

  • GDP
  • 経済成長率、景気動向
  • 賃金の推移
  • 物価の動き
  • 消費動向
  • 株価、為替、金利

などです。

Society(社会的要因)

Society(社会的要因)は、人口動態や生活者の慣習や意識の変化です。
社会的要因は、顧客の需要そのものに影響があります。
生活者の慣習や意識の変化は、新たな需要を生み出すことも、市場を減退させることもあるのです。
社会的要因をしっかりと分析することで、いち早く成長市場に参入することができるでしょう。

社会的要因に分類される項目

社会的要因としては、

  • 人口、人口比率、人口密度
  • 社会インフラ
  • 社会の流行
  • SNS上の流行
  • 社会的な事件
  • 言語、コミュニケーションのあり方
  • 生活者の慣習
  • 文化的または宗教的背景
  • 教育体制

などが挙げられます。

Technology(技術的要因)

Technology(技術的要因)は、通信・デジタル技術、商品開発・生産技術や、マーケティング技術など、広義的な技術革新の動向を意味します。
例えば近年、人工知能のディープラーニングや、5Gなどが話題になりますよね。
他にも、新素材の開発や新たな生産技術の確立、マーケティングでいえばデータドリブンマーケティング、Web制作でいえばSPAやPWAといった設計手法の登場などが挙げられます。
技術的要因を分析にすることによって、自社の体制やビジネスのあり方を社会の変化に対応させていく糸口をつかめるでしょう。

技術的要因に該当する項目

技術的要因に該当するものとして、

  • 通信技術、デジタル技術
  • 設計技術
  • 研究技術
  • 開発技術
  • 生産技術
  • 特許などの知的財産
  • ビッグデータ
  • マーケティング技術

などが考えられます。

PESTのまとめ一覧

ここまでPESTについて詳しく見ていきました。
下記に、PESTがそれぞれなにを指すのか、どのような部分に影響を及ぼすのかを一覧でまとめました。

与える影響 分析する項目の例
政治(Politics) 市場競争のルール 法律、法改正、判例、規制緩和
条約
税制の変化
政治、政権の動向
政治思想の潮流
補助金または交付金制度、特区制度
経済(Economy) 自社の業績 GDP
経済成長率、景気動向
賃金の推移
物価の動き
消費動向
株価、為替、金利
社会(Society) 顧客の需要 人口、人口比率、人口密度
社会インフラ
社会の流行
SNS上の流行
社会的な事件
言語、コミュニケーションのあり方
生活者の慣習
文化的または宗教的背景
教育体制
技術(Technology) 自社の体制やビジネスのあり方 通信技術、デジタル技術
設計技術
研究技術
開発技術
生産技術
特許などの知的財産
ビッグデータ
マーケティング技術

ここからは、PEST分析の活用の仕方を解説します。

PEST分析ってどう活用するの?

ここまで、PEST分析の項目を解説しました。
PEST分析の活用で最も大事なことは、「それは変化に着目すること」です。
政治・経済・社会・技術それぞれの観点で、どのようにマクロ環境が変化しているのかを見極めましょう。
ではPEST分析の結果は、どのように活用すればいいのでしょうか?
大きく分けると、以下の3つのような活用ができるでしょう。

  • ブランドの価値を見つめ直す
  • 潜在的なリスクを把握する
  • 新たなビジネスチャンスを見つける

それでは、一つずつ詳しく見ていきましょう。

ブランドの価値を見つめ直す

PEST分析は、自社ブランドの提供している価値を見つめ直すことに活用できます。
政治・経済・社会・技術の動向の変化によっては、自社が提供してきた価値が顧客のニーズとかけ離れてしまう…ということが考えられます。
ニーズの変化や、今後のビジネストレンドなどを把握することで、自社がどのように変わっていくべきなのかを検討することができます。

潜在的なリスクを把握する

また、ブランドの価値を見つめ直すのと同時に、潜在的なリスクを把握することにもつながるでしょう。
例えば技術革新によって、参入障壁が下がれば競争が激化するでしょう。
また政治的な動向の変化によって、企業が変革を迫られることもあります。
最近では、プラスチックを減らそうという動きがあったり…
PEST分析では、こういった潜在的なリスクを把握できるのです。

新たなビジネスチャンスを見つける

さらにPEST分析は、潜在的なリスクを把握するだけでなく、新たなビジネスチャンスを見つけることにも貢献するでしょう。
日本国内でいえば、Society5.0というコンセプトを打ち出していますし、通商・貿易においてはTPPやRCEPを進めています。
また、SDGsに注目が集まるなど、地球環境に配慮したビジネスが注目されています。
このような変化はリスクであると同時に、チャンスでもあります。

SWOT分析と組み合わせよう

上記の潜在的なリスクや新たなビジネスチャンスを見つけるときには、PEST分析とSWOT分析を組みわせることが有効です。
SWOTとは、

  • Strength(自社の強み)
  • Weekness(自社の弱み)
  • Oppotunity(市場機会)
  • Treat(脅威)

の頭文字を取ったものです。
SWOT分析では、自社の強みでどのように市場を制するかを考えたり、反対にどのように脅威に対抗するかを考えたり、自社の弱みをどのようにカバーするかなどを考えます。
SWOT分析で市場機会と脅威を分析するときに、PEST分析が役立ちます。

SWOT分析はこちらの記事をご覧ください。

内部環境と外部環境を分析!マーケティング戦略のフレームワーク、SWOT分析とは

PEST分析の注意点

ここまで、PEST分析の活用の方法について説明してきました。
PEST分析が充分に有用であることはご理解いただけたかと思います。
しかし、PEST分析には注意点があります。
それは、「PEST分析はゴールが見えにくい」ということです。
例えば、PESTそれぞれの動向について情報を収集しようにも、膨大な情報量があるでしょう。
さらに、情報収集だけに力を入れすぎると、自社の戦略の立案まで時間がかかってしまうことも考えられます。
ですので、PEST分析を行うときは、「自社のビジネスの提供価値に大きく影響を及ぼすPESTはなにか」を意識することが大切です。
この点を意識することで、自社に関わりの高いPESTの情報を収集・分析、今後の戦略の立案までをスムーズに行えるでしょう。

まとめ

政治(Politics)・経済(Economy)・社会(Society)・技術(Technology)の観点から、中長期的マクロ環境を分析するPEST分析。
最近では、東南アジアがめざましい発展を遂げ、日本企業にはインバウンドや東南アジア進出で、様々なビジネスチャンスがあります。
日本と政治体制、経済状況、社会的慣習の違う国の方々に対してビジネスを行っていくときには、PEST分析は大いに効果を発揮するでしょう。
また、日本国内でも教育改革や働き方改革など、様々な変革が起こる中で、PEST分析を活用すべきタイミングは多いでしょう。
これを機会に、ぜひPEST分析を使ってみてください。

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