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マーケティング戦略を立案・実行するときには、様々なフレームワークがあります。
その中の一つがSTP分析です。
STPとは、セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニングの略です。
この記事では、STPそれぞれが何を意味しているのか、何のために行うのか、どのようにSTP分析を活用するのかについて解説していきます。
STP分析ってなに?
STP分析の「STP」とは、
- Segmentation:セグメンテーション
- Targeting:ターゲティング
- Positioning:ポジショニング
の頭文字を取ったもので、マーケティング戦略の中で使われるフレームワークの一つです。
そもそもマーケティング戦略の立案と実行にはいくつかのステップがあります。
一般的には、以下のようになっています。
- 内部環境と外部環境の分析し、市場機会を見つける
- 顧客を同質のニーズを持っているグループ(市場)に分ける
- 分けたグループ(市場)の中で、どこの市場を狙うかを決める
- 狙う市場の中での、自社の立ち位置を明確にする
- マーケティングミックスでマーケティング戦略を立案する
- 考えたマーケティング戦略を実行、評価する
この中で、2に当たるのがセグメンテーション、3がターゲティング、そして4がポジショニングになります。
つまりSTP分析は、同質のニーズを持った市場に細分化し、細分化した市場の中でどこを狙うのかを明確にし、さらに狙う市場の中での自社の立ち位置を明確にするという役割があるのです。
ちなみに、1ではPEST分析、3C分析、5F(ファイブフォース)分析、SWOT分析などが使われます。
PEST分析はこちらの記事をご覧ください。
3C分析はこちらの記事をご覧ください。
ファイブフォース分析はこちらの記事をご覧ください。
SWOT分析はこちらの記事をご覧ください。
また、5では4P分析が使われることが多いです。
4P分析はこちらの記事をご覧ください。
STP分析の目的って?
では、上記のマーケティング戦略を立案・実行するプロセスの2~4の部分、つまりSTP分析をする目的はどこにあるのでしょうか?
STP分析のメリット
STP分析には、以下の3つのメリットがあります。
- 顧客やニーズについて整理できる
- 自社の商品の強みを明確化できる
- 他社との競争を回避できる
顧客やニーズについて整理できる
STP分析を行うこと最初のメリットは、顧客やニーズについて整理することができることです。
STP分析は、どのようなニーズがあるのか、そのニーズの中でどういった市場をターゲットにするのかを分析します。
ですので、STP分析をしっかりと行えば、商品を購入してくれるユーザー像(ペルソナ)を具体的にイメージできるでしょう。
自社の商品の強みを明確化できる
また、ペルソナが具体的に導き出せれば、自社の商品の強みやアピールポイントも自ずと明確になってくるでしょう。
さらに、チーム全体で自社のアピールポイントを言語化し、共通認識として持つことで、組織力を強化することにも貢献します。
他社との競争を回避できる
STP分析によって、他社との不必要な競争を回避することも可能でしょう。
STP分析によって、競合の状況を分析し、自社が勝てる市場を見出すことができます。
STP分析について詳しくみてみよう
ここまでSTP分析の目的とメリットを解説してきました。
ここからはSTP分析のSTPが具体的になにを意味しているのかを見ていきましょう。
セグメンテーション
セグメンテーションとは、市場を顧客やニーズなどの共通項によって細分化する作業になります。
市場は、消費財市場と生産財市場に分けられます。
また、消費財市場と生産財市場はそれぞれ4つの軸に分類できます。
消費財市場の4つの軸
消費財市場は以下の4つの軸に分類されます。
- 人口動態軸(年齢、性別、家族構成、職業)
- 地理軸(地域、人口密度、住まい、文化、行動範囲)
- 社会心理学軸(ライフスタイル、価値観、パーソナリティ、購買動機)
- 行動軸(購買活動、購買心理、購買契機)
生産財市場の4つの軸
生産財市場は、次の4つの軸に分かれます。
- 人口軸(業種、規模)
- オペレーティング軸(使用頻度、顧客の能力)
- 購買アプローチ軸(購買方針、購買意欲)
- 状況要因軸(緊急性、受注量)
セグメンテーションで大切なこと
セグメンテーションで大切なことは、どういった観点でどのくらい厳密に細分化すべきかの塩梅です。
現在は消費行動が多様化しているので、消費財市場は特に、どこまで細分化して考えるべきか難しい局面も考えられます。
セグメンテーションを行うにあたっては、「細分化した市場が充分なサイズか」「自社の強みを生かしやすい市場か」を考えるのが一つのポイントになるでしょう。
ターゲティング
ターゲティングでは、細分化された市場の中からどこを標的とするのかを決定します。
自社の商品の強みや、ブランドイメージが生かされるような市場を選択します。
狙いを定める市場を決定するときには、大きく3つのパターンがあります。
- 無差別型マーケティング
- 差別型マーケティング
- 集中型マーケティング
それぞれのパターンは何を意味するのでしょうか。
無差別型マーケティング
無差別型マーケティングは、セグメンテーションで分類した市場をあえて無視して、様々な市場に共通の商品を提供する戦略です。
これは、資金力が豊富な大企業向けの戦略です。
また、消費行動が多様化している現在では、大企業であっても有効とは言えないケースも増えているでしょう。
差別型マーケティング
複数の市場に対して、それぞれ異なる商品を提供する戦略です。
例えば、多くの自動車メーカーが採用しているのは、まさしくこの戦略です。
商品そのものを分けるのではなく、複数の料金タイプの設定や、似たジャンルの商品を機能を変えて販売することも差別化マーケティングの一種になります。
集中型マーケティング
集中型マーケティングとは、狙う市場を絞って経営資源を投下することで、自社の強みを最大限に活かすという戦略です。
高級ブランドやニッチな商品など、コアなファンがついているような場合に有効です。
ポジショニング
ポジショニングでは、狙うと決めた市場の競合を調査し、自社がどのような立ち位置で勝負するかを決定します。
ポジショニングでは、ポジショニングマップという2軸のマトリックス図を作成することが多いです。
X軸とY軸それぞれにどのような価値の軸で分類するかを設定し、自社がどのような立ち位置かを分析していきます。
価値の軸に関しては、値段や品質、販売チャネルなど様々なものがあります。
ここでは、「データに基づいた分析を行うこと」「一度に多くの指標を比較しないこと」が大切です。
感覚で判断すると正確な分析ができない上に、多くの指標を同時に比較するとデータが複雑になってしまい、大事なデータを見落とす可能性が上がります。
同時に比較する指標は、1~4つくらいにするのが良いでしょう。
STP分析ってどう活用するの?
これまでSTP分析の具体的内容を見ていきました。
ここからは、STP分析の活用の仕方を解説します。
主な活用方法は以下の4つです。
- 自社に適した消費者グループを見つけ出す
- 自社の優位性を見極める
- 3C分析と組み合わせる
- 5R視点で評価する
では一つずつ解説していきましょう。
自社に適した消費者グループを見つけ出す
まずは自社に適した消費者グループを見つけ出すという活用方法です。
STP分析では、顧客やニーズによって市場を細分化し、どこの市場を狙うかを見極めます。
そこで、自社に適した消費者グループを見つけ出すことができれば、そのグループに向けて、新しい商品を提供することができます。
自社の優位性を見極める
またポジショニングでは、競合を分析し、自社がどの立ち位置で勝負を仕掛けるかを決めていきます。
そのとき、様々な観点からポジショニングマップを作成することで、自社の優位性を再認識するきっかけになるでしょう。
3C分析と組み合わせる
STP分析は、3C分析と組み合わせて使われるケースも多いでしょう。
3C分析とは、内部環境と外部環境を分析し、市場機会を見つける時に使われ、Customer(市場・顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)から分析します。
ターゲティングをCustomer(市場・顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)の観点で、自社に適した市場を見つけ出しやすくなるでしょう。
反対に、3C分析で魅力的な市場でないと分かれば、狙う市場を変えるというのも有効かもしれません。
3C分析はこちらの記事をご覧ください。
5R視点で評価する
さらに、狙う市場が本当に正しいかを見極める方法として、5R視点で評価するという方法があります。
5Rとは、
- Realistic Scale(充分な規模があるか?)
- Rate of Growth(成長率は高いか?)
- Rank & Ripple Effect(優位性と波及効果はあるか?)
- Reach(達成することは現実的か?)
- Rival(競合の状況はどうか?)
というものです。
5R視点で評価することで、狙うと決めた市場が本当に正しい選択となっているかを確認する手助けになるでしょう。
まとめ
STP分析は、市場を顧客やニーズなどの共通項によって細分化し、細分化された市場の中からどこの市場を狙うのか、その市場の中で自社の立ち位置はどこになるのかを分析するものです。
競合に差をつける優れた施策を行えるか否かは、STP分析をどの程度行ったかによって左右されるでしょう。
自社の収益を大きく伸ばしたいときは、このSTP分析に立ち返ってみてください。
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