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STP分析とは?分析方法や重要性、活用事例を紹介!

マーケティング戦略を立案・実行するときには、さまざまなフレームワークがあります。
その中の一つがSTP分析です。
STP(エスティーピー)とは、セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニングの略です。
この記事では、STPそれぞれが何を意味しているのか、分析するメリットや注意点について解説していきます。

 

STP分析ってなに?

STP分析の「STP」とは、

  • Segmentation:セグメンテーション
  • Targeting:ターゲティング
  • Positioning:ポジショニング

の頭文字を取ったもので、マーケティング戦略の中で使われるフレームワークの一つです。
マーケティング戦略の立案と実行には、いくつかのステップがあります。
一般的には、以下のようになっています。
マーケティング戦略手順つまりSTP分析は

  1. 同質のニーズを持った市場を細分化
  2. 細分化した市場のなかでどこを狙うのかを決定
  3. 狙う市場のなかで自社の立ち位置を明確にする

という役割があるのです。
内部環境と外部環境の分析では、3C分析5F(ファイブフォース)分析SWOT分析などが使われます。
では、上記のマーケティング戦略を立案・実行するにあたってSTP分析をする目的はどこにあるのでしょうか?

なぜSTP分析が重要?

市場や顧客のニーズは時代とともに変化していきます。時代の変化に対応していくためには、ターゲットを明確にしたマーケティング戦略が必要です。
ターゲットを明確にしていない商品・サービスは、訴求軸がぶれてしまい、顧客に魅力が伝わりません。そのため、自社の強みを活かせない結果となってしまうでしょう。
マーケティング戦略を考えていくうえで、事前の調査・分析は欠かせないといえます。

STP分析のメリット

STP分析には、以下の3つのメリットがあります。

  • 顧客やニーズについて整理できる
  • 自社の商品の強みを明確化できる
  • 他社との競争を回避できる

顧客やニーズについて整理できる

STP分析を行う最初のメリットは、顧客やニーズについて整理できることです。
STP分析は、どのようなニーズがあるのか、そのニーズの中でどういった市場をターゲットにするのかを分析します。
ですので、STP分析をしっかりと行えば、商品を購入してくれるユーザー像(ペルソナ)を具体的にイメージできるでしょう。

自社の商品の強みを明確化できる

ペルソナが具体的に導き出せれば、自社の商品の強みやアピールポイントも自ずと明確になってくるでしょう。
さらに、チーム全体で自社のアピールポイントを言語化し、共通認識として持つことで、組織力の強化に貢献できます。

他社との競争を回避できる

STP分析によって、他社との不必要な競争を回避することも可能でしょう。
狙う市場を分析し、競合をしぼり出せば、自社が優位に立つ戦略を練ることができます。

STP分析の項目・指標を詳しくみてみよう

STP分析の「STP」とは、下記の指標を意味します。

  • Segmentation:セグメンテーション
  • Targeting:ターゲティング
  • Positioning:ポジショニング

それぞれ具体的に解説していきます。

セグメンテーション

セグメンテーションとは、市場を顧客やニーズなどの共通項によって細分化する作業です。
市場は、消費財市場と生産財市場に分けられます。
消費財市場と生産財市場は、それぞれ4つの軸に分類されます。

消費財市場の4つの軸

消費財市場は以下の4つの軸に分類されます。

  1. 人口動態軸(年齢、性別、家族構成、職業)
  2. 地理軸(地域、人口密度、住まい、文化、行動範囲)
  3. 社会心理学軸(ライフスタイル、価値観、パーソナリティ、購買動機)
  4. 行動軸(購買活動、購買心理、購買契機)

生産財市場の4つの軸

生産財市場は、次の4つの軸に分かれます。

  1. 人口軸(業種、規模)
  2. オペレーティング軸(使用頻度、顧客の能力)
  3. 購買アプローチ軸(購買方針、購買意欲)
  4. 状況要因軸(緊急性、受注量)

セグメンテーションで大切なこと

セグメンテーションで大切なことは、どういった観点でどのくらい厳密に細分化すべきかの塩梅です。
現在は消費行動が多様化しています。
消費財市場は特に、どこまで細分化して考えるべきか難しい局面も考えられます。
セグメンテーションを行うにあたっては、「細分化した市場が充分なサイズか」「自社の強みを生かしやすい市場か」を考えるのが一つのポイントになるでしょう。

ターゲティング

ターゲティングでは、細分化された市場の中からどこを標的とするのかを決定します。
自社の商品の強みや、ブランドイメージが生かされるような市場を選択します。
狙いを定める市場を決定するときには、大きく3つのパターンがあります。

  1. 無差別型マーケティング
  2. 差別型マーケティング
  3. 集中型マーケティング

それぞれのパターンは何を意味するのでしょうか。

無差別型マーケティング

無差別型マーケティングは、セグメンテーションで分類した市場をあえて無視して、さまざまな市場に共通の商品を提供する戦略です。
無差別型マーケティングは、資金力が豊富な大企業向けの戦略です。
また、消費行動が多様化している現在では、大企業であっても有効とは言えないケースも増えているでしょう。

差別型マーケティング

複数の市場に対して、それぞれ異なる商品を提供する戦略です。
例えば、多くの自動車メーカーが無差別型マーケティングを採用しています。
商品そのものを分けるのではなく、複数の料金タイプの設定や、似たジャンルの商品を機能を変えて販売することも差別化マーケティングの一種になります。

集中型マーケティング

集中型マーケティングとは、狙う市場を絞って経営資源を投下することで、自社の強みを最大限に活かすという戦略です。
高級ブランドやニッチな商品など、コアなファンがついているような場合に有効です。

ポジショニング

ポジショニングでは、狙うと決めた市場の競合を調査し、自社がどのような立ち位置で勝負するかを決定します。
分析方法として、ポジショニングマップという2軸のマトリック図を作成することが多いです。
positioningmap
X軸とY軸それぞれにどのような価値の軸で分類するかを設定し、自社がどのような立ち位置かを分析していきます。
価値の軸に関しては、値段や品質、販売チャネルなどがあります。
positioning
ポジショニングでは「データに基づいた分析をおこなうこと」「一度に多くの指標を比較しないこと」が大切です。
データを無視して感覚で判断すると、正確な分析ができない場合があります。
また、多くの指標を同時に比較するとデータが複雑になってしまい、大事なデータを見落とす可能性が高くなります。

同時に比較する指標は、1~4つくらいにするのが良いでしょう。

 

STP分析の活用事例

俺の株式会社

ミシュラン獲得レストランで活躍したシェフの料理を、手頃な価格で楽しめるという型から外れたコンセプトで大ヒットした「俺のイタリアン・フレンチ」。
特徴として知られているのは、下記2点です。

  • スタンディング席を採用し、二時間制にすることで回転率を上げる
  • 高級食材や有名シェフ、好立地を実現し、ブランディングを確立する

「居酒屋よりも高級な料理を提供し、高級レストランよりも低価格で提供する」といったポジショニングで、社会的地位を中間所得層に設定しています。
通常、飲食店でのフード原価率は25-30%ですが、俺の株式会社は40%超え、店舗によっては60%を超えている状態です。
回転率を上げることで、食材の大量発注が可能となり、コストを下げられるというシンプルな仕組みがうまく機能しています。そのため、低価格のメニューを提供しても売上を上げられています。

株式会社ニトリ

小価格・中価格でありながら高品質で高機能な商品を提供するという、圧倒的なポジションを確立している「ニトリ」。
「お、ねだん以上 ニトリ」というフレーズがCMで浸透し、ブランディングに成功しました。

家具だけでなく、インテリア用品や消耗品まで取り揃えることで「トータルコーディネートをイメージしたい」という顧客のニーズをつかみ、生活環境を豊かにしたい幅広い年齢層に支持されています。
そのなかでも20~30代の女性や、新生活を始める若い夫婦にターゲットを定めています。

STP分析をおこなう際の注意点

分析順は柔軟に考え、各要素の連動性を意識する

セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングはそれぞれ別で考えずに、連動させて考えることで正しい分析ができます。
また、どのような商品をアプローチするのかで、分析順は変わります。
縦の順番にこだわりすぎず、ポジショニングを最初におこなうなど、柔軟に考えるようにしましょう。

市場を多角的に分析する

狙う市場から十分な収益が得られるかを考慮し、選定しましょう。
あまりに小規模すぎたり、成長が見込めない市場は、そもそも売上がたたない可能性があります。
STP分析でしぼった市場であっても、多方面からの分析を重ねて、最適な市場を導きましょう。

客観的な視点を意識する

自社の強みを最大限に活かすには、顧客のニーズを理解する必要があります。
良い商品であっても、アプローチする場所が違えば、誰にも響かない商品となってしまいます。
競合を分析し、自社のポジションを優位にするには、客観的な視点での分析が必要です。

フレームワークを組み合わせ、分析を見直す

STP分析はあくまで、正解を導くものではなく分析法の1つです。
各注意点を意識しつつ、4P分析PEST分析など他のフレームワークを組み合わせて、自社の分析結果を見直しましょう。

STP分析の活用方法

ここからは、STP分析の活用の仕方を解説します。
主な活用方法は以下の4つです。

  1. 自社に適した消費者グループを見つけ出す
  2. 自社の優位性を見極める
  3. 3C分析と組み合わせる
  4. 5R視点で評価する

では一つずつ解説していきましょう。

自社に適した消費者グループを見つけ出す

まずは、自社に適した消費者グループを見つけ出すという活用方法です。
STP分析では、顧客やニーズによって市場を細分化し、自社が狙う市場を見極めます。
そこで、自社に適した消費者グループを見つけ出すことができれば、そのグループに向けて、新しい商品を提供することができます。

自社の優位性を見極める

またポジショニングでは、競合を分析し、自社がどの立ち位置で勝負を仕掛けるかを決めていきます。
そのとき、さまざまな観点からポジショニングマップを作成することで、自社の優位性を再認識するきっかけになるでしょう。

3C分析と組み合わせる

STP分析は、3C分析と組み合わせて使われるケースも多いでしょう。
3C分析とは、内部環境と外部環境を分析し、市場機会を見つける時に使われ、Customer(市場・顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)から分析します。
ターゲティングをCustomer(市場・顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)の観点で、自社に適した市場を見つけ出しやすくなるでしょう。
反対に、3C分析で魅力的な市場でないと分かれば、狙う市場を変えるというのも有効かもしれません。

5R視点で評価する

さらに、狙う市場が本当に正しいかを見極める方法として、5R視点で評価するという方法があります。
5Rとは、

  • Realistic Scale(充分な規模があるか?)
  • Rate of Growth(成長率は高いか?)
  • Rank & Ripple Effect(優位性と波及効果はあるか?)
  • Reach(達成することは現実的か?)
  • Rival(競合の状況はどうか?)

というものです。
5R視点で評価することで、狙うと決めた市場が本当に正しい選択となっているかを確認する手助けになるでしょう。

まとめ

STP分析は、市場を顧客やニーズなどの共通項によって細分化し、細分化された市場の中からどこの市場を狙うのか、その市場で自社の立ち位置はどこになるのかを分析するものです。
競合に差をつける優れた施策をおこなえるか否かは、STP分析をどの程度おこなったかによって左右されるでしょう。
自社の収益を大きく伸ばしたいときは、このSTP分析に立ち返ってみてください。

 


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