- 運用型広告
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自社のなかで運用型広告の運用を内製化していくことを「運用型広告のインハウス化」と呼びます。
インハウス化をしていくことは、コスト削減や施策のスピード感の向上、ノウハウの蓄積など様々なメリットがあります。
しかしインハウス化をしていくことは注意点も多く、無計画に進めても効率的な運用ができず無駄なコストを使うだけになってしまいます。
そこで今回は運用型広告のインハウスについての概要、広告代理店に運用を外注した時と比較したメリット・デメリット、実際にインハウス化を進めていく際によくある相談事例などを解説します。
そして弊社の運用型広告のインハウス化支援のサービス、個別オンラインセミナーについてもご紹介します。
目次
そもそも運用型広告のインハウス化とは?
運用型広告のインハウス化とは、自社の商品・サービスを宣伝する広告の運用を、広告代理店へ外注するのでなく自社で運用していくことです。
具体的には、広告枠のバイイングやレポーティング、クリエイティブの制作などの業務を内製化していくことを指します。
また、実例を用いた解説に関しては以下の記事でご紹介しております。
運用型広告のインハウス化を始めるきっかけ
多くの企業が運用型広告のインハウス化を始める理由として、広告代理店に外注する際の手数料の高さが考えられます。代理店に外注すると、広告出稿金額の20~30%程度が手数料になります。
また固定で金額が定められているわけではなく、出稿金額に比例して支払う手数料も大きくなっていくので、広告にかける予算が大きい企業ほどインハウス化を検討する余地があります。
また広告代理店の担当者は一人でいくつものクライアントを担当します。その状況下で、代理店の担当者の対応に満足できずインハウス化を進める企業も存在します。
ここまでは運用型広告のインハウス化についての概要と、それに至る背景を説明しました。
次からはインハウス化のメリットとデメリットについて解説します。
広告代理店と比較した運用型広告のインハウス化のメリット・デメリット
ここでは広告代理店での運用を比較した時のインハウス化のメリット・デメリットについて解説します。
運用型広告のインハウス化するメリット
運用型広告のインハウス化するメリットとして以下の4つが挙げられます。
- コストが削減できる
- 広告運用のノウハウが蓄積される
- スピード感を持って施策を進行できる
- 自社データとの連携がしやすい
一つ一つ詳しく見ていきましょう。
コストが削減できる
運用型広告のインハウス化する一番のメリットとして挙げられるのが、コスト削減です。
インハウス化するきっかけのところでも少し触れましたが、広告に対して使うコストが大きくなるほど、広告代理店に支払う手数料も高くなります。
手数料として大きなコストを支払っているなら、社内に広告運用のための人員を確保した方が安くなる可能性があります。
ただし運用型広告のインハウス化する時の費用は、人員確保のための固定費だけとは限らないので注意が必要です。
インハウス化する際に重要なことは、手数料としてかかるコストと、社内でインハウスの運用の体制を整えるためのコストを比較し判断することです。
広告運用のノウハウが蓄積される
広告代理店に外注している場合、広告運用のノウハウが自社に蓄積されにくい
というデメリットがあります。
運用型広告のインハウス化を行っていく場合は、自社の商品・サービスに対してすべての要素を考える必要があります。
広告代理店に運用を外注する場合は、施策を考えて実行するのは代理店になり、自社では代理店から提供された、運用結果のレポート等の情報しか見ることはできません。
対してインハウス化し自社で運用していく場合は配信するセグメントや、入札単価など運用に必要なすべての要素を考える必要があります。
そのためインハウス化を行うことで、代理店に任せていた頃よりも深い所までPDCAが回り、広告運用のノウハウを蓄積することができます。
スピード感を持って施策を進行できる
広告代理店に外注する場合、施策への反応、返答を待つというコミュニケーションのための時間が必ず発生してしまいます。
広告代理店は通常、一人で複数社、多くなると数十社のクライアントを受け持ちお付き合いしています。そのため、場合によってはリアクションが遅くなり、スピード感をもって施策を進めるのは難しくなります。
インハウス化した体制であれば、社内タスク・社内コミュニケーションだけで完結するので、外部の干渉がない分だけ施策を進めるスピードを早くすることができます。
自社データとの連携がしやすい
運用型広告のインハウス化していくのであれば、社外に展開できない自社が所有するファーストパーティデータを連携させられます。
顧客情報やサービスの詳しい内容など、対外的に公開できない情報をマーケティングに活かすことが出来れば、広告代理店が運用するよりも深い視点でマーケティング施策を行うことができます。
ただし、データを上手く扱うための整理や継続的な情報のアップデートなど導入の段階から多くの工数がかかります。最近ではこれらの情報を整理するためのツールなどもあるので、実際に運用する際には手間とコストを鑑みて連携判断をする必要があります。
運用型広告のインハウス化するデメリット
インハウス化を行っていくデメリットは以下の3つが挙げられます。
- 各媒体社とのやり取りが煩雑になる
- 人材の確保が必要
- マーケティング施策の孤立化
以下で詳しく解説していきます。
各媒体社とのやり取りが煩雑になる
まずデメリットとして挙げられるのは各媒体社とのやり取りを行わなければならないことです。
通常、広告代理店では新規の媒体に広告を出稿する場合は、個人情報の取り扱いに関する覚書や代理店契約、申込書など必要に応じて契約を行っています。
広告代理店は専業で業務を行っているので、これらの契約において企業が直接契約を結ぶよりも円滑に対応を進めることができます。
またいくつかの特定の広告掲載場所については、直接ではなく代理店やメディアレップを通さなければ出稿できない場合もあるため、たとえインハウス化しても、自社の広告戦略によっては結局代理店を挟んで広告運用を行う場合もあり、想定した以上に施策スピードが上がらないことがあります。
人材の確保が必要
運用型広告のインハウス化を行っていくには、専門の広告運用経験のあるスタッフが必要不可欠になります。社内に広告に関する知識を有する人が少数しかいない場合、
否応なしにそのスタッフに頼りきりになり、広告運用の全体が属人化してしまいます。
広告代理店の場合、広告運用のプロフェッショナルが複数人在籍していて、社内のマーケティングスキルもある程度均一化できているため、担当者が突然退職することになるなどのアクシデントが起きても、引継ぎを行えばマーケティング施策全体に大きな影響及ぼす可能性は低いです。インハウス化を行う際は、こういった主要メンバーの退職にも耐え得る組織体制を作る必要があります。
マーケティング施策の孤立化
広告代理店がGoogleやYahooなどの媒体社とパートナー契約を結んでいる理由のひとつとして、最新の媒体のアップデート情報や運用の成功事例の共有など施策に活かせる情報が優先的に受けられることが挙げられます。
広告代理店はそれらの最新情報と社内で蓄積されていく複数社の運用ナレッジをもとに、日々の施策をアップデートしています。
インハウス化の場合は媒体社から手厚い待遇を受けることは難しく、また日々の運用業務に追われて、施策を改善するための情報収集までたどり着くことが難しくなることもあります。
情報の鮮度において競合他社から遅れをとってしまうと、マーケティングにおける打ち手、発想が鈍り、徐々に他社との相対的な競争に勝ちきれなくなる可能性があります。
その様な事態を防ぐ為に、日頃から効率的な情報収集方法を確立したり、場合によっては広告代理店が主催するセミナー等に出席してみても良いかもしれません。
運用型広告のインハウス化に切り替えるタイミングとは
ここまでは運用型広告のインハウス化と広告代理店への外注を比較してメリット・デメリットを整理しました。ここからは弊社がおすすめする運用型広告のインハウス化をしていくタイミングを紹介します。
運用手数料として毎月200万円以上支払っている
前述のとおり、広告に費やすコストが大きくなるほど、広告代理店に支払う手数料は大きくなります。代理店に支払う手数料が200万円を超えた時がインハウス運用に切り替える一つのタイミングになるかと思います。
200万円ほどの予算があれば、弊社がおすすめする運用型広告のインハウス化に必要なチーム体制を構築できます。以下で弊社がおすすめする運用チーム体制を紹介します。
運用に必要なチーム体制
具体的に最低限、必要なチームメンバーは以下の通りです。
- プロジェクトマネージャー(正社員・1人)
- プランナー(正社員・1人)
- オペレーター(アルバイト可・2人)
- デザイナー(正社員・1人)
ここにあるチームを構築出来れば、月間200万円以内の人件費で広告運用をしていくことができます。
それではそれぞれの役割を見ていきましょう。
プロジェクトマネージャー・プランナー
プロジェクトマネージャーはデジタルマーケティング全体戦略の構築、全体進行、情報管理を主に担い、プランナーがその戦略を元に広告施策の詳細についてプランニング、実行指示だし、施策管理を担います。
マネージャーとプランナーは、施策の全体設計に関わってくるため広告運用の経験者で、かつある程度マーケティングのリテラシーが高いことが望ましいです。
また、他のチームメンバーの教育やナレッジの蓄積を担う役職にもなるのでインハウス化の全体を担う人員といっても過言ではありません。
オペレーター
オペレーターはマネージャー、プランナーが描いたプランニングを実行に移したり、日々の運用の結果をまとめたりする役職です。
具体的な業務は、各媒体への設定業務、日々の運用調整、予算・成果等の進捗確認、
必要に応じて各種レポートの作成などです。
実際に雑務を伴う業務になるので、正社員ではなく臨時の人員、アルバイトなどでも担うことができます。
デザイナー
デザイナーは広告のクリエイティブやLPなどのデザイン・制作を行う役職です。
運用型広告のインハウス化を行う場合は制作物などを個別で発注する場合は、費用面で通常よりも高くつくことが多いため、全てを自社で内製することをおすすめします。もしくは制作指示などのディレクション機能だけを社内で持ち、安価にデザイン、コーディング対応を行う外注先と連携を強くすることも、デザイナーが確保できない際の対策として有効です。
準備期間と振り返りのタイミング
運用型広告のインハウス化を始めるためのチーム体制をご紹介しましたが、いきなり人を揃えたからといって運用が滞りなく進むとは限りません。
いざ実装してみたら予期せぬトラブルや、必要な人材、ツールが出てくるかもしれません。
そのため最初の3ヶ月~半年間はインハウス運用のコンサルティング、適用支援ができる企業に依頼することをおすすめします。
また、定期的に戦略、施策の振り返りを行う場をチーム内で設けて、必ず現状の課題や進捗状況、情報共有の確認をしあうタイミングを作るようにしてください。
日々の業務に追われ、場当たり的な戦略、施策を消化するだけになっていないか、中長期的な視点での目標に対してアクションがなされているかを必ず定点で確認していきましょう。
インハウス時によくある相談事例
ここでは実際にインハウス運用をしてみてよく聞かれる悩み、相談事例をご紹介します。
運用の中心となるメンバーが抜けてしまった
人員の確保のところで触れましたが、実際に運用に携わるメンバーが少数であるが故に、ナレッジが属人化し、そのメンバーが抜けてしまった時にマーケティング施策全体が立ち行かなくなったという事例です。
不十分な環境の中でインハウス運用を継続していくことはマーケティング全体へのリスクともなり得ます。代行できる人員を確保できるまで一時的に代理店運用に戻す、または完全に代理店運用に戻すことになる場合もあります。
このようなリスクが起こらないよう、知識共有、ノウハウの汎用化、定期的なスキル教育ができる体制を事前に作っていきましょう。
最新情報を得る体制ができていない
こちらも、施策の孤立化のところで触れましたが、広告の媒体は日々アップデートを繰り返し、施策の幅は広がっています。
チームとして運用していくだけで手一杯になり、最新情報のアップデート、施策全体の更新ができていないという相談も多いです。
媒体独自の最新情報については可能な限り媒体各社とのパイプを強固にし、定期的な打合せや情報共有の時間をとってもらうことをおすすめします。ただ媒体社にも対応する企業の優先度がありますのでサポートを厚くしてもらうために、指定される売上の上限を達成することや、事例創出を手伝うなど媒体への貢献が一定必要になります。
その他にも、定期的に代理店主催のセミナーやツール会社が主催する懇親会などに出席し最新情報に触れる環境を整えていくことも施策の1つとなります。
日々の運用調整に追われゴールを見失う
こちらはインハウス化した結果、広告運用の為に個々の業務に追われ、チーム全体としての最終的なKGIやマーケティングの目的を見失ってしまうという事例です。
この例では、前述のプロジェクトマネージャーが機能不全となっている、もしくはそもそもプロジェクトマネージャーが不在となっていることが主な原因となります。
運用型広告のインハウス化といっても広告の運用者だけをメンバーとして揃えるのではなく、運用業務から距離を置いて戦略構築など頭を使う業務ができる人員の確保する必要があります。スキルセットが変わってくるため、可能な限り分業制を敷いて役割を個々で明確にしていくことがポイントです。
弊社のインハウス支援について
今までは運用型広告のインハウス化していく上でよくある相談事例をご紹介しました。
ここからは実際に弊社が行っているインハウス運用の支援プランについてご紹介します。
運用スタッフの教育
相談事例として多くある、チームメンバーの教育体制の構築、ナレッジの蓄積方法など運用が属人化してしまうことを防ぐことを支援いたします。
弊社のコンサルタントが講師となっての定期的な勉強会実施や、運用改善のアクションを弊社プランナーと並走することでPDCAの方法を間近で理解いただくようなスキームを組むことも良くあります。これら役割をすべて備えたメンバーの一部常駐対応など幅広く対応しております。
最新情報・事例の共有
施策が古いものになってしまわないように、最新の媒体アップデート情報を定期的に共有します。媒体情報以外にも弊社の他社運用実績や調査結果など、実際の施策に生かせる形でご提供します。
インハウス運用体制の再構築
うまく立ちいかなくなったインハウスプロジェクトを1からの支援、体制の再構築いたします。チームメンバーに対する教育、ナレッジの蓄積、最新事例の共有などインハウス運用に必要なすべてを支援いたします。
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