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ios17のアップデートによるコンバージョン測定・デジタル広告への影響と対策について

ios17のアップデートによるコンバージョン測定・デジタル広告への影響

Apple社が新しくリリースしたIOS17とmacOS Sonomaには、「ある条件下においてトラッキング用のパラメーターを自動的に削除する機能」が搭載されています。

これは、近年、プライバシー保護の観点から強まっている「Cookie規制」が、今後さらに強化されていくことを示唆するような内容でした。

この記事では、ios17のアップデートの実施内容や、それによるコンバージョン計測(cv計測)・デジタル広告への影響、今後の対策について解説しています。

ios17のアップデートに関わる「Cookie」とは

まずは、今回のアップデートに大きく関わるCookieについて解説します。

Cookieとは、簡単に説明すると「ユーザーの情報を保存しておくためのファイル」です。ここで言う情報とは、「Webサイトで入力したデータ」や「行動履歴」を指します。

ユーザーが、一度訪問したサイトでIDなどのアカウント情報を入力しなくてもログインや買い物ができるのは、Cookieにデータが保存されているためです。

Cookieには「1st Party Cookie」と「3rd Party Cookie」があり、それぞれに保存されたユーザーのデータは、Webサイトを効果的に運営するうえで重要な役割を担います。

ユーザーにとってのCookieの使用目的や、メリット・デメリットが知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

cookie(クッキー)とは?有効・削除の方法や危険性を解説

コンバージョン測定に役立つ「1st Party Cookie」

1st Party Cookieは、訪問したウェブサイトによって発行されるCookieです。
所有者のドメインのみで有効であり、ユーザーの設定した情報やショッピングカートの内容などを記録します。

1st Party Cookieで得た情報は、コンバージョンしたユーザーと紐付けることができるので、コンバージョン測定に役立ちます。

ターゲティングに役立つ「3rd Party Cookie」

1st Party Cookieとは対照的に、3rd Party Cookieは、外部のドメインによって発行されるCookieです。

サイトを横断してユーザーの行動を追跡し、所有するドメイン外でのユーザーの行動履歴を記録します。

3rd Party Cookieで得た情報から、ユーザーが興味・関心のある内容を詳細に把握できるため、広告のターゲティングに役立てることができます。

Cookie規制による3rd Party Cookieの廃止

このように、Cookieはトラッキング技術のうちのひとつであり、効果的なウェブサイトの運営に役立ちます。

しかし最近では、Cookieは「ユーザーのプライバシー侵害にあたる」と問題視されはじめました。

実際にCookie利用の規制が始まっており、現在はユーザー本人の許可を得なくてはCookieを利用することができません。

また、safariはすでに3rd Party Cookieを廃止にしており、Googleにおいても今後廃止する予定です。

Cookie規制は、今後も強化されていくと予想されています。

【2022年最新】3rd Party Cookie規制下でも広告効果を高める秘訣

ios17のアップデートの実施内容

今回ios17でアップデートされた内容のひとつに、「トラッキング用のパラメーターを自動的に削除する機能の搭載」があります。

トラッキング用のパラメーターを自動削除

トラッキング用のパラメーターとは、1st Party Cookieで使用している識別子のことです。
多くの計測ツールでは、ドメインURLの最後にパラメーターを付け足すことで、1st Party Cookieトラッキング設定を有効にしていました。
今回のアップデートは、この1st Party Cookieで使用しているパラメーターを自動的に削除するというものです。

ただし、パラメーターが削除されるのは、以下のような特定の場面に限られます。

  • メールやメッセージなどで他人にリンクを共有する
  • safariでプライベートブラウズモードを使用する

ios17のアップデートによる影響

ios17で実施されたアップデートは、どのような影響を与えるのでしょうか。
以下のそれぞれの観点から、考えられる影響を解説します。

  • ウェブサイト運営者
  • トラッキングツールを提供している企業

ウェブサイト運営者:コンバージョン測定への影響

今回のアップデートは1st Party Cookieに関わる内容ですが、限定的なものであり、コンバージョン測定を行うにあたって現状大きな影響はないでしょう。

しかし、将来的にはCookieに対する規制が進み、1st Party Cookieが使えなくなる可能性は高いと考えられます。
1st Party Cookieを利用したコンバージョン測定を実施しているサイト運営者は、測定方法を変更する必要があるでしょう。

トラッキングツール提供企業:機能改善の必要性

パラメーターの付与により1st Party Cookieを有効的にするトラッキングツールを提供している会社も、今回のアップデートによる大きな影響はありません。

しかし、将来的に1st Party Cookieの廃止や、トラッキング用パラメーターの常時自動削除などが実施された場合、サイト運営者と同様に影響が及ぶ可能性が高いです。

Apple社からはPCM広告アトリビューションの利用を推奨

Apple社は、ユーザーのトラッキングが難しくなることを考慮し、サイト運営者に「PCM広告アトリビューション」の利用を推奨しています。

PCMとは、Private Click Measurementの略です。Apple社は広告アトリビューションに関して、以下のように定義しています。

SKAdNetworkおよびPrivate Click Measurementを利用すると、広告主はユーザーのプライバシーを保護しながら、複数のソースにわたって広告を分析できます。さらに強化されたSKAdNetwork 4.0では、Webからアプリに転送される形式のキャンペーンのアトリビューション情報がサポートされるため、広告主は、さらに多くのソースにわたり展開するキャンペーンを、より適切に最適化できます。

引用:広告アトリビューション – App Store – Apple Developer

PCM広告アトリビューションでは、ユーザーを特定する情報は取得はできません。ユーザーのプライバシーを保護しながらコンバージョン測定ができるツールです。

今後のデジタル広告運用における対策

今後もApple社による定期的なアップデートが行われていくなかで、デジタル広告を効果的に活用するためには、どのようなことに気をつければ良いでしょうか。

今後のデジタル広告運用における対策を3つ紹介します。

プライバシー保護を重視する

Apple社に限らず、デジタルマーケティング業界において、プライバシー保護は今後さらに重要視されていくでしょう。
ユーザーのプライバシーを尊重した広告運用、サイト運営を試みることが重要です。

Cookieに依存しない計測体制に移行する

今後もCookie規制は更に強化されていくと考えられます。
1st Party Cookieの廃止が予想されることからも、Cookieに依存しない広告運用を行うことを推奨します。

「コンバージョンAPI(CAPI)」など、Cookieを使用せずコンバージョン測定を行う方法の導入を検討してみましょう。

Apple社の今後の動向を注視する

Apple社は、今後もプライバシー保護を重視したアップデートを実施していくでしょう。
アップデートに伴う変化に対し、迅速に対応できるようApple社の動向に注視する必要があります。

また、Appleは特に個人情報の保護に力を入れている企業ですが、個人情報保護は世界的な潮流ですので、AppleだけでなくGoogleやMetaなど、大手企業の動向には注意しておきましょう。

まとめ

今回は、ios17でトラッキング用のパラメーター削除が実施されることにより、コンバージョン計測・デジタル広告が受ける影響に関してまとめました。

プライバシー保護を重視したアップデートは今後も実施されると考えられます。
マーケティング担当者は、Apple社の動向を注視しながら、Cookie規制の対策を練る必要があるでしょう。

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