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「cookie(クッキー)の受け入れを許可しますか?」
普段PCやスマホを使っている中で、このようなアラートを目にしたことはありませんか?
今回はcookie(クッキー)について、基礎的な知識からマーケティングにおけるcookieの役割、自分のパソコンでcookieを削除する方法まで徹底解説します。
また、cookieに関する最新情報についてもお知らせします。
個人情報保護法改正によるCookie規制の対策方法を知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
目次
cookie(クッキー)の概念を理解するには、病院の診察券や会員証をイメージすると分かりやすいかもしれません。
病院では初診、2回目、3回目と前回の診療の内容を引き継いで病気の治療を行っていきますが、これは診察券によって患者の情報を管理し、病状や治療の進捗具合の記録を参照できるからです。
同じように、cookieもユーザーの情報を一定の期間保存し、ユーザーが再度Webページを訪れた時に、サイト訪問回数や前回のサイト内での行動の情報をサーバーに渡します。
正確に言うと、cookieとはWebサーバーからユーザーのwebブラウザに送られる、ユーザーのデータを保存しておくためのファイルのことです。
私たちがWebサイトにアクセスしたとき、サーバーがユーザーのアクセス回数やサイト内での行動を認識してcookieを発行します。それが一定期間ユーザーのブラウザに保存されて次回以降のアクセス時にcookieのデータが利用されることになります。
多くのショッピングサイトでは、ユーザーのIDやカートの情報をcookieで保存しています。これにより、一回サイトを離れてしまったユーザーがまたサイトを訪れた時に、毎回IDを打ち込んだり商品をカートに入れ直したりすることなく、スムーズにショッピングの続きができます。
cookieを開発したのは、ルー・モントゥリ(Lou Montulli)という人物です。彼はMIT(マサチューセッツ工科大学)の「Innovators under 35(35歳以下のイノベーター35人)」に選ばれた人物であり、90年代のアメリカのIT業界で大活躍しました。
90年代初頭には現在のWWW(ワールド・ワイド・ウェブ)の技術のもととなるWebブラウザLynxを開発したり、ウェブページを作るのに必要なHTML言語の発展に貢献。1994年にネットスケープ社のエンジニアになったモントゥリは商用ウェブアプリケーションの開発を担当し、そこでcookieを開発しました。
はじめはネットスケープ社のウェブサイトを訪れたユーザーが、すでに訪問したことがあるかどうかを識別するのにcookieが使われていましたが、その後より詳細なユーザー情報が取得できるように発展してきました。
「cookie」と似ているものにキャッシュがあります。
キャッシュとはユーザーがサイトに訪れた情報を一時的に保存することにより、2回目に同じサイトを訪れた際に表示スピードがあがるようにするためのものです。
cookieはサイトに訪れた際に入力した情報を保存するのに対し、キャッシュはユーザーが閲覧したページを記憶しておくという違いがあります。
最初にcookieと聞いたとき、「えっ?お菓子のこと?」と思われた方もいるでしょう。調べてみると、cookieの語源は「マジッククッキー」であると言われています。マジッククッキーとは、フォーチュンクッキーとも呼ばれる、中に秘密のメッセージが入ったクッキーのことです。秘密のメッセージを入れるというところがユーザーの情報をやり取りする役割と重なり、cookieと名づけられたのです。
さて、ここまでcookieとはどういうものかを見てきましたが、今度は実際にcookieがどのように利用されているかをご紹介します。
cookieが使用される目的は大きく次の二つです。
- Webサイトでユーザー情報を保存し、利便性を向上させるため
- ユーザー情報を取得し、ユーザーごとに適した広告配信を行うため
ユーザーの利便性の向上
先ほどもご紹介した通り、cookieの役割として、ユーザーのIDやサイトでの行動履歴を一時的に保存する、というものがあります。
ユーザーが初めてWebウェブサイトを訪問した時、cookieに単一のユーザーIDのようなものが割り振られ、情報がWebブラウザに保存されます。
ユーザーが2回目にサイト訪問した時に、その情報が取り出されます。
SNSなどID・パスワードが必要なWebページでも、cookieを利用していればログインが簡単になります。
ただし、cookieはブラウザごとに保存されるため、初回はChromeでログインしたSNSにInternet Explorerなど、初回と異なるWebブラウザで2回目のアクセスをしても、IDやパスワードは保存されていません。また、デバイスをまたいで同じcookieを使うこともできないので、PC/タブレットなど複数の端末でWebサイトを使う場合には別々のcookieが発行されることになります。
ユーザーごとに適した広告配信
主に広告配信のターゲティングなどに利用されます。
ショッピングサイトでTシャツを検索していたら、その後訪れた違うページでも同じTシャツの広告が出てきた…そんな経験をしたことはありませんか?実はcookieがその広告に関わっているのです。
例えばショッピングサイトでは、ユーザーが閲覧した商品の情報をcookieに保存し、別のサイトを訪れた際にcookieから情報を読み出して過去に閲覧した商品の広告を出す「リターゲティング」と呼ばれる手法が使われています。
また、Webページで広告をクリックした場合も、どんな広告がクリックされたかがcookieに蓄積され、別のページでも同じ広告を出すようなこともされています。
ユーザーが普段見ているサイトの情報がcookieに保存されていれば、ユーザーの年齢や性別を推測して、それをターゲットに広告を配信することもできるのです。
cookieを使うメリットは、ログイン情報やカートの中身を保存できて便利だということ。
メール、SNS、ネットショッピング、ブラウジング…毎日使う様々なWebページで、IDやパスワードを毎回毎回打ち込むのは面倒ですよね。先ほども紹介しましたが、cookieの使用を許可すれば、多くのWebページではID、パスワードやショッピングカートの中身を保存し、次に来た時はすぐにログインすることができます。
ただ、cookieの使用については、気を付けなければいけない点もあります。それは、共用パソコンで個人情報を流出してしまうことです。
cookieは利用者のIDやパスワードを保存します。学校のパソコンやネットカフェなど他の人も使えるパソコンで自分のショッピングサイトなどにログインする場合、自分のIDやパスワードが他人に知られないようにcookieを無効にするか、削除する必要があります。
ここまでcookieがどのように利用されるか見てきましたが、cookieにはファーストパーティーとサードパーティーの2種類があり、それぞれの使われ方も違います。
ここでは、これら2種類のcookieについて見ていきましょう。
ファーストパーティーcookieとは、ユーザーがアクセスしているドメインが発行しているcookieのことです。例えば、ユーザーが靴のショッピングサイトにアクセスしたとき、そのショッピングサイトがユーザーIDやお買い物情報を保存するために発行するcookieがファーストパーティーcookieにあたります。
ファーストパーティーcookieはドメインをまたいだ使用はできません。つまり、そのサイト内でのみユーザーの情報を取得し保存することが可能だということです。
ファーストパーティーcookieは訪問しているサイトのドメインから発行される一方で、サードパーティーは、ユーザーが訪問しているサイトのドメイン以外から発行されたものです。
「セカンドパーティーcookie」もありそうですが、もともとサードパーティーとは「第三者」を意味し、発行者が「ブラウザで表示されているページのドメイン名」か「そうでない」かの二択なので、必ずファーストパーティーかサードパーティのどちらかになります。
サードパーティーcookieはファーストパーティーcookieと異なり、複数のドメイン間で共有することができます。先ほど紹介した広告のcookieの多くはサードパーティーであり、複数サイトにまたがってユーザーの興味や行動を収集し、どのような広告を出せばユーザーの興味にマッチするかを知るために使われます。
例えば、cookieを利用してあるユーザーがサッカーのニュース記事やテニス選手のインタビュー記事を読んでいることが分かった場合、そのユーザーはスポーツに興味関心がある、ということが推測できます。そのようなユーザーの興味に合わせて、スポーツ用品やスポーツイベントの広告を出す、といったことが行われています。
法律の改正にともない、GoogleやAppleはcookieに対する扱い方を変更しました。以前と比べ制限があるため、変更前後の違いに注意して見ていきましょう。
法律によるcookieに対する制限の他に法律における規制は「クッキーを利用する場合、必ずユーザーに許可を取らなければならない」までとなりますが、Googleはサードパーティークッキーを2023年中に廃止することを発表しました。
参考:プライバシーサンドボックスマイルストーンの更新されたタイムライン
ただし、Googleはサードパーティより個人情報を守り、なおかつ機能としては引けを取らないサービス「プライバシーサンドボックス」の開発を進めています。
参考:プライバシーサンドボックスに対する当社の取り組み
サードパーティクッキーに関しては、「サードパーティクッキーとは?概要から今後の行方まで徹底解説」で詳しく説明していますので、あわせてご覧ください。
改正個人情報保護法
改正個人情報保護法とは、近年急速に進んでいる個人情報保護に関する新たな法律で、個人情報の取り扱い方を示したものです。ここでcookieは「個人関連情報」、すなわち特定の個人が識別できない要素と定義されているため、cookieの利用そのものが規制されているわけでは決してありません。
その他細かなcookieの扱い方に関して、「改正個人情報保護法が成立!cookieの取り扱いやGDPR・CCPAとの違いは?」で詳しく説明しているのであわせてご覧ください。
ここまでcookieの役割についてお話してきましたが、やはり自分の情報が知らないうちに取られているのはイヤだ…と思う方もいるでしょう。ということで、ここではブラウザでcookieを有効化/無効化/削除する方法をご紹介します。
iPhone(Safari)でcookie設定を変更する方法
iPhone(Safari)でcookie設定を変更する方法は、以下の2ステップです。
- ホーム画面から「設定」→「Safari」を選択します。
- 「すべてのcookieをブロック」からcookieをブロックする/しないを設定できます。
iPhone(Safari)でcookieを削除する方法
iPhone(Safari)でcookieを削除する方法は、以下の3ステップです。
- ホーム画面から「設定」→「Safari」を選択します。
- 「履歴とWebサイトデータ消去」をタップします。
- 「履歴とデータを消去」を選択します。
Chromeのcookie設定を変更する方法
Chromeのcookie設定を変更する方法は、以下の5ステップです。
- Chrome右上のメニューボタンをクリック、「設定」を選択します。
- ページ下部に出てくる「詳細設定」をクリックします。
- 「サイトの設定」をクリックします。
- 「cookie」を選択します。
- cookieを見たり、ブロック/有効の設定をすることができます。
Chromeでcookieを削除する方法
Chromeでcookieを削除する方法は、以下の6ステップです。
- Chrome右上のメニューボタンをクリック、「設定」を選択します。
- ページ下部に出てくる「詳細設定」をクリックします。
- 「サイトの設定」をクリックします。
- 「cookie」を選択します。
- 「すべてのcookieとサイトデータを表示」をクリックします。
- 「すべて削除」を選択します。「すべてクリア」で削除できます。
Internet Explorerでcookie設定を変更する方法
Internet Explorerでcookie設定を変更する方法は、以下の5ステップです。
- Internet Explorer右上の設定ボタンをクリックします。
- 「インターネットオプション」をクリックします。
- 「プライバシー」タブを選択し、「詳細選択」をクリックします。
- ブロック/許可したいcookieを選び、チェックを入れます。
- 「OK」をクリックすると設定完了です。
Internet Explorerでcookieを削除する方法
Internet Explorerでcookieを削除する方法は、以下の3ステップです。
- Internet Explorer右上の設定ボタンをクリックします。
- 「セーフティ」から「閲覧履歴の削除」をクリックします。
- 「クッキーとWebサイトデータ」をチェックして「削除」をクリックするとcookieが削除できます。
まとめ
ユーザーの情報を保存したり、広告配信にデータを活用したりと、cookieのはたらきについて理解していただけたかと思います。普段何気なくWebページを見ているときにも知らぬ間に自分の情報が取られ、広告に使われているとは知らなかった…と驚かれた方もいるかもしれません。現代のオンラインマーケティングにおいて、cookieが重要な役割を果たしていることは間違いありませんね。
Googleの発表にもあった通り、近年ではインターネット空間の拡大に伴い個人情報保護が叫ばれており、cookieに対する見方も変わってきています。特にEUでは個人情報保護を「基本的人権」と位置づけ、IT企業に対して規制を強化する方向に動いています。
2018年5月25日に施行が始まった欧州データ保護規則(通称GDPR)はcookieの使用に関しても個人情報保護の観点を強化しており、前文30条では次のような記述がされています。
Natural persons may be associated with online identifiers provided by their devices, applications, tools and protocols, such as internet protocol addresses, cookie identifiers or other identifiers such as radio frequency identification tags.(筆者訳:自然人はIPアドレスやcookieの識別子、RFIDのタグなど、デバイスやアプリ、ツール、プロトコルから供給されるインターネット上の識別子と関連付けられる。)
参照元:https://gdpr-info.eu/recitals/no-30/
つまり、インターネット上の個人は、匿名であっても個人として認識され、cookieのデータも明確に個人情報とみなされるようになったということです。
また、もう一つのプライバシー保護法案であるePrivacy規則もcookieの使用を制限する方向に働いており、cookieの使用に関してユーザーの許可が必要であり、いつでもその使用を制限できるようにしなければならなくなりました。
このように、プライバシーに対する考えが変化する中で、cookieをめぐっても議論が起きているのです。
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