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近年、注目を集めている「DX(デジタルトランスフォーメーション)」。
2019年に発表された電通デジタルの調査によると、約7割の企業がDXに着手しており、その取り組みの中で成果を実感した企業は約6割程だったそうです。しかし、残りの約4割の企業は「一部のみ成果あり」や「全く成果がなかった」と答えています。
参照:電通デジタル
今回は、DXの導入手順や成功させるポイントについて解説いたします。
目次
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?
そもそも、DXとはどのような意味なのでしょうか?
ここではDXの意味と、デジタイゼーションやデジタライゼーションとの違いを説明します。
DX(デジタルトランスフォーメーション)の定義・意味
デジタルトランスフォーメーションの略称であるDXは、Degitalの「D」と、Transformationの接頭辞である「trans」を英語圏でXと省略されることに由来します。
Digital Transformationを直訳するとデジタル変換という意味ですが、DX(デジタルトランスフォーメーション)は社会や企業をデジタル技術で変革させるという意味を持っています。
DXという概念が生まれたのは今から16年前の2004年で、スウェーデン・ウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が提唱しました。この概念は、元々「進化し続けるテクノロジーが生活をより良くしていく」というものでした。
今日では、DXを経済産業省は以下のように定義づけしています。
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること
引用元:経済産業省-「DX 推進指標」とそのガイダンス
デジタイゼーション、デジタライゼーションとの違いとは?
デジタルトランスフォーメーションと似ている用語で、デジタイゼーションやデジタライゼーションというものがあります。
ここでは、それぞれの違いについて説明していきます。
- デジタイゼーションとは、デジタルツールの導入などによりビジネスの一部をアナログからデジタルに変換することを指します。
- 一方でデジタライゼーションとは、デジタル化させたものを利用・適用させて新しい行動様式や価値を生み出すことを指します。
- デジタルトランスフォーメーションは、デジタライゼーション(データやデジタル技術)を基に企業全体でビジネスの変革を行うことを指します。
以上をまとめると「デジタライゼーション」には、アナログなものをデジタル化させる「デジタイゼーション」が必要不可欠になります。
また「デジタルトランスフォーメーション」には、デジタル化させたものを用いてビジネスモデルを変革させる「デジタライゼーション」が必要不可欠ということになります。
DX(デジタルトランスフォーメーション)が注目される理由
では、なぜDXは今注目を浴びているのでしょうか?
注目を浴びているのは、以下のリスクが存在するためです。
- 2025年の崖
- 市場の変化に対応できなくなる
- 自社のデータを守ることができなくなる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
2025年の崖
経済産業省によると、今の状態(DXを導入しない)のままでは「IT人材不足」と「古い基幹システム」の影響で、2025年から2030年までの間に最大で12兆円の損失の可能性があるとしています。
また、これを経済産業省は「2025の崖」と呼んでいます。
DXの推進に成功すれば、2030年までに実質GDP130兆円の押し上げが実現される見込みです。
これらの危機を避けるために、DXの推進に注目が集まっています。
デジタルが必須の時代になってきている
今では日常生活やビジネスにはデジタルが欠かせなくなってきています。
今後も様々な業界でDX化が進み、市場の変化が起こることで、ビジネス業界が更に活性化されていくことが予想されます。
また、DXの導入により、業務の効率化や生産性の向上も期待できます。
そのため、従来のビジネスモデルそのままに、DX化による市場の変化に対応できない場合、競合に遅れを取ってしまう可能性もあります。
自社のデータを守ることができなくなる
社内のDX化が遅れた場合、自社のデータを失うリスクが高まります。災害や事故などが起きた場合、古いクラウドシステムだとデータの復旧ができない場合があるためです。
これら3つのリスクを避けるためにもDXの導入は必須といえるでしょう。
DXを導入するメリット
DXを導入することによりどのようなメリットがあるのでしょうか?
大きく分けて3つのメリットが存在します。
- 大きな利益を手にする事ができる
- 新たな商品に対応できる
- 危機的状況の中でも重要な業務が継続できる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
大きな利益を手にする事ができる
収益逓増という法則をご存知でしょうか?
例えば、ある企業の生産規模が2倍に増えたとします。そうすると、生産効率が向上し、生産量が2倍以上に増加します。これを収益逓増の法則といいます。
DXを導入し生産規模を拡大することにより生産効率性が高くなることで大きな利益を生み出す事ができるのです。
新たな商品に対応できる
DXを導入する、すなわちAIやビッグデータ、5Gなどの技術を活用することにより顧客の需要を満たす新たな商品を用意する事ができます。
その結果、大きなビジネスに繋がる可能性が増えるだけでなく、顧客満足度の向上も図れます。
危機的状況の中でも重要な業務が継続できる
2020年の新型コロナウイルスの影響で消費行動に大きな変化がありました。
このコロナ渦の中、企業利益の明暗を分けた要素の一つとして、DXの導入があげられます。
日経新聞の1面によると、ニトリやAmazonなどはコロナ渦の中でも売上高を前年より増収することに成功しています。
とくにニトリでは、ネット通販の機能強化を進めることで、店舗への客足が少ない中での売上増加を実現させています。
参照:D X レポート ~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~
参照:【日経新聞1面】DX改革が企業の明暗を分けることがコロナで鮮明に
DX(デジタルトランスフォーメーション)化する上で活用されるデジタルテクノロジー
DXを導入するにあたり、活用されているテクノロジーにはどのようなものがあるでしょうか?
ここでは、6つのテクノロジーについて詳しく説明していきます。
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近年注目を浴びているのが「IoT」というテクノロジーです。
IoTは「Internet of Things」の略で、モノがインターネット経由で通信することを意味します。
身近な例でいうと、自宅にあるエアコンを、外出先からスマホで操作できるシステムです。
このように、ネットワークを通じて様々な操作や情報を得ることができます。
このIoT技術を用いることにより、これまで抽象的であったモノの使用状況などを数値化することができます。
ビッグデータ
ビッグデータは、「データの量(Volume)」「データの種類(Variety)」「データの発生頻度、更新頻度(Velocity)」の3つのVで構成されています。
このビッグデータは、従来の管理システムでは記録・保管・解析が難しいデータでした。
近年、コンピュータの処理能力が上がっています。
コンピューターでビッグデータを高速処理することにより、これまでにない新たな仕組みやシステムを生み出すことができ、大きなビジネスに繋がる可能性が出てくるのです。
AI
AIは「Artificial Intelligence」の略で、人工知能という意味になります。
DXを活用するにあたりとても重要になってくるテクノロジーで、身近な電子機器であるスマートフォンやPCなどにも搭載されています。
AIの技術は、画像分類や数値予測、機械翻訳など様々な分野で用いられており、より一層DXの実現に貢献してくれるでしょう。
ICT
ICTは「Information and Communication Technology(情報通信技術)」の略称で、例としてメールやSNSなどがあげられます。
また、教育や防災の現場でも活用されており企業やビジネスに有益なメリットを与えています。
RPA
RPAは「Robotic Process Automation」の略称で、PCなどを用いて一連の業務を自動化させる「ソフトウェアロボット」のことです。
例えば、Excel作業やシステムに手入力するなどの反復性の高い作業をRPA化することで、業務効率化や生産性向上を実現します。
5G
5Gとは「第5世代移動通信システム」のことで、日本では2020年から商用サービスがスタートしました。
5Gの特徴は「高速大容量」「高信頼・低遅延通信」「多数同時接続」で、これらを活用することによりIoT化を加速させ、DX化に大きなメリットを与えます。
DX(デジタルトランスフォーメーション)の導入手順
電通アイソバーブログによると、DXを導入する際に5stepが必要とされています。
ここでは、5stepの概要を簡単に説明していきます。
- デジタル化
- 効率化
- 共通化
- 組織化
- 最適化
それぞれ詳しく見ていきましょう。
step1.デジタル化
今まで業務に使用していたツールをデジタル化させる段階です。
デジタル化によりデータが蓄積されていきます。
step2.効率化
蓄積されたデータをそれぞれの部門ごとに活用していく段階です。
蓄積されたデータを活用することで、業務が効率化や生産性の向上が見込まれます。
現在、日本の多くの企業がこの効率化の段階にあります。
step3.共通化
これまでの段階で蓄積されてきたデータを、他部門で活用できるよう基盤を構築していく段階です。
仮説を立て、施策を実施し、データを検証することで部門間でのデータの有効化が可能になります。
step4.組織化
これまでに構築してきた基盤をもとに、より効率化を図るために組織を作る段階です。
組織を設立することで、業務を明確化することができます。
step5.最適化
今までに蓄積されたデータをもとに事業の未来予測を行い、事業全体に大きな技術革新を起こす段階です。
以上が、DX導入の5stepの概要です。
企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)を成功させる4つのポイント
DXを導入するにあたり、どのようなことを意識すればいいのでしょうか?
ここではDX導入を成功させる4つのポイントについて説明していきます。
組織全体の意識を向上させる
DXを成功させるためには、DXを推進する部門とその他の部門での情報格差をなくす組織全体の意識改革が重要です。
組織全体でDXの重要性について理解することでスムーズに施策を行うことができます。
各部署に適当な人材を配置する
DXを進めるにあたって、ITの知識がある人、すなわちIT人材が必要になってきます。
各部署にIT人材を配置することで、的確にDXを進めていきましょう。
社内の既存システムを分析する
新たなシステムを導入するにあたって、「既存システムをどうするか」が課題になってきます。
特に、個人情報を扱っている企業や部署別にシステムを管理している場合、新たなシステムを導入するのは容易ではありません。
そのため、既存システムには何が足りないのか、どのように新システムを導入するのかを分析し、社内全体で意思決定することが重要になってきます。
自社の現状を把握する
DXを推進するにあたって、まず何から始めたらいいのかわからないという企業も多いと思います。
分からないままに進めてしまうと、DX導入した際のプランを的確に立てられず失敗に終わってしまう可能性があります。
そうならないためにもまずは、自社の現状を把握することが重要になってきます。
経済産業省のサイトで企業のDX度を診断することができます。
その診断結果をIPA(独立行政法人情報処理推進機構)に提出することで、全体データとの比較を可能にするベンチマークや分析結果などを確認することができます。
分析結果を基に自社の現状を把握し、今後の施策の参考にしましょう。
DX(デジタルトランスフォーメーション)が成功した企業の事例
DXの技術はすでに様々な分野、企業で活用されています。
ここでは、DX導入に成功した企業を紹介します。
安川電機
安川電機は、部門によって異なっていたデータの管理方法を社内で一元化するシステムを開発しました。
システムを開発するにあたり、社内では今までのやり方を一新し、データを一元化することの必要性について不安が大きかったようです。
その不安を解消するため、社長は2つの施策を行いました。
1つ目は、「組織再建」です。組織再建を行い、手入力やデータを異なるコードで処理することの煩わしさを実感させました。この施策により、社員はデータの一元化による利便性・有用性について理解することができました。
2つ目は、データ一元化によってもたらす利益を社内全体で共有する施策です。情報を共有するために社長自ら対話集会を開き、DXの必要性について説明を行いました。
安川電機はこのシステム開発により、今まで社内で埋もれていたデータや利益の「見える化」に成功しました。
参照:「データこそ共通言語」DXで見える化進める安川電機・小笠原社長 | 日経XTECH
株式会社ミスミグループ
株式会社ミスミグループ本社は、AIによって見積もりや発注を自動的に行い、機械加工品が調達できる「meviy」という仕組みを開発しました。
当時、機械加工品を顧客の手元に届けるまで約3週間ほどの日数が必要でした。
しかし、「meviy」の導入により顧客に届けるまでの日数を2週間以上縮めることに成功しました。
参照:設計、発注から納品までの業務を効率化する次世代ものづくりプラットフォーム「meviy(メヴィー)」始動
まとめ
DXを導入することで「2025年の崖」や「市場の変化」「データの損失」など様々なリスクに対応することができます。
また、DXを導入することで業務の効率化が進み、大きな利益を獲得することが可能になります。
DX導入を成功させるために、今回紹介したDX導入の5step手順や成功事例を参考にしてみてください。
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