- 薬機法
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薬機法の規制内容の改正は、定期的に行われています。薬機法に違反した場合には、2年以下の懲役や課徴金納付などの重い罰則が課せられるため、常に最新情報をキャッチアップし対策していくことが大切です。
今回は、2023年の薬機法改正についてまとめています。医療広告の規制に関わる内容として、2023年10月に行われたステマ規制強化についても解説していますので、ぜひ参考にしてください。
なお、過去の改正薬機法に関しては以下にまとめているので併せてご覧ください。
【2021年8月改正】薬機法改正の概要と規制対象【違反しないためのポイントも解説】
目次
そもそも薬機法とは?
薬機法とは、「医薬品等の品質・有効性・安全性を確保することなどによって保健衛生の向上を図る(国民の健康を保ち生命を護る)」ことを目的に制定された法律です。
医薬品等とは、主に「医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品」を指し、それらの開発・承認・製造・流通・使用の各段階において、必要な規制や制度を設けています。
旧名は薬事法であり、2014年の改定に伴って現在の名称に変更されました。正式名称は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」ですが、通称として「薬機法」や「医薬品医療機器等法」が浸透しています。
以下の記事にて、薬機法と薬事法の違いや、薬機法の対象範囲と禁止事項の詳細などをまとめていますので、ぜひ併せてご覧ください。
薬機法による規制や制度
薬機法では、主に医薬品に関する製造、販売、取り扱い、広告が規制されています。
医薬品等を製造する事業者や病院、薬局などの医療機関は、事業を始める際には厚生労働大臣や都道府県知事による承認が必要であり、医薬品等の販売や取り扱い、情報発信・広告宣伝は薬機法の規制範囲内で行う必要があります。
以下の記事では、医薬品等に関する規制のうち、広告に関する規制事項や禁止事項について詳しくまとめています。医療機関や医療広告に携わる方はぜひ参考にしてください。
薬機法における広告の3要件について|禁止事項や違反表現事例も
また、薬機法は、「特例承認」や「緊急承認制度」など、規制だけでなくさまざまな制度も設けています。
「特例承認」の制度とは、緊急時に感染症などの健康被害の拡大を防ぐため、一定の要件を満たしている場合、海外に流通する国内未承認の医薬品等の有効性と安全性を早急に確認し使用を認めるものです。
「緊急承認制度」は2022年に新設されたもので、特例承認と同様に緊急時における薬事承認制度ですが、海外に流通していない医薬品等も対象としています。さらに、一定の要件を満たし安全性を確認した場合、有効性が推定されれば使用を認めるものです。
薬機法が改正される理由
医療や科学などの目覚ましい発展により、医薬品や医療機器等の共有状況は日々移り変わっています。
薬機法は、時代や国民のニーズの変化に伴い、患者さんが安心して医薬品を使用できる環境を整えられるよう改正を繰り返しています。
2023年施工の薬機法改正
2023年に公布・施行された薬機法における改正を以下の表にまとめました。
交付日 | 施行日 | 改正内容 |
---|---|---|
2023年2月8日 | 2023年4月1日 | 濫用等のおそれのある医薬品の範囲変更 |
2023年3月10日 | 2023年3月20日 | 危険ドラッグの成分7物質を新たに指定薬物に指定 |
2023年6月21日 | 2023年7月1日 | 危険ドラッグの成分3物質を新たに指定薬物に指定 |
2023年7月25日 | 2023年8月4日 | 危険ドラッグの成分2物質を新たに指定薬物に指定 |
2023年8月31日 | 2023年9月10日 | 危険ドラッグの成分3物質及び2物質群を新たに指定薬物に指定 |
2023年10月26日 | 2023年11月5日 | 危険ドラッグの成分3物質を新たに指定薬物に指定 |
2023年11月22日 | 2023年12月2日 | 危険ドラッグの成分1物質を新たに指定薬物に指定 |
2023年12月27日 | 2024年1月6日 | 危険ドラッグの成分1物質群を新たに指定薬物に指定 |
「濫用等のおそれのある医薬品の範囲変更」とは
令和5年2月8日付け薬生発0208第1号厚生労働省医薬・生活衛生局長通知による改正では、厚生労働省が薬機法の第十五条の二の規定に基づいて指定している「濫用等のおそれのある一般用医薬品等」の指定範囲の見直しが行われています。
鎮咳去痰薬に限る指定範囲であった「コデイン、ジヒドロコデイン、メチルエフェドリン」の範囲を変更し、これらは鎮咳去痰薬に限らず指定範囲となりました。
昨今では、市販薬等の多量服用等の実態が報告されており、実際に厚生労働省が行った「民間の依存症支援団体利用者を対象とする依存実態の再解析及び追加調査」により、一般用医薬品の濫用による薬物依存が報告されています。
このような背景から、濫用等を未然に防ぐことを目的に、今回の「濫用等のおそれのある医薬品の範囲変更」が施行されました。
指定薬物の範囲変更が続いている理由
近年、指定薬物の範囲変更が続いている背景として、インターネットの普及やコロナ禍による医薬品等の個人輸入の増加が挙げられます。
インターネットの普及やコロナ禍の影響によって、ECサイトの需要と活用の幅が拡大し、一般の方も医薬品等を手軽に購入できる環境になりました。それにより、海外の医薬品等を個人で取り寄せる方が増加しています。
厚生労働省は、個人輸入に関する注意喚起を行ったり、水際(輸入)対策の強化や、薬機法に基づく無承認無許可医薬品としての指導取締りの強化をしていく方針であることを発信したりしています。
参考:「医薬品等を海外から購入しようとされる方へ」厚生労働省
参考:「危険ドラッグの成分7物質を新たに指定薬物に指定」厚生労働省の報道発表資料より(令和5年3月10日(金)掲載)
薬機法違反における罰則は強化傾向
薬機法違反における罰則は以下の3つです。
- 2年以下の懲役もしくは罰金
- 行政処分
- 課徴金制度
薬機法違反を犯した場合、行政機関からの指導にとどまらず、「懲役」や「罰金」、販売停止命令などの「行政処分」といった罰則を課せられることもあります。
また、2021年の薬機法改正では、薬機法に違反して販売していた期間の売上の4.5%を納付する「課徴金制度」が新設されました。課徴金制度に関する詳細は、以下の記事にてまとめていますのでぜひご覧ください。
このように、薬機法違反における罰則は強化されており、その背景には過剰表現による広告の増加が挙げられます。
実際に令和2年7月には、医薬品として認められていない健康食品の広告で身体的機能の改善を示唆する内容を掲載したとして、一部の関係者が逮捕された事案も発生しました。
医薬品等の製造、取り扱い、広告に関わる事業者は、薬機法の規則を遵守した活動が求められます。
薬機法に違反しないための対応
薬機法に違反しないためには、以下の対応を心がけることが大切です。
- 薬機法の理解を深める
- 最新情報を追う
- 広告の表現方法に注意する
薬機法の理解を深める
まずは、厚生労働省が発表している「医薬品等適正広告基準」などの薬機法に関するガイドラインを読み、薬機法について勉強しましょう。
解釈が難しく不明な点がある場合は、薬機法専門のコンサルティング会社や弁護士などの専門家に尋ね、理解を深めるのがおすすめです。
最新情報を追う
先述したように、薬機法の改正は定期的におこなわれています。
厚生労働省や各自治体、薬機法に知見のある団体などが発信する情報や通知を常にチェックして、薬機法に関する最新の情報を取得するよう心掛けましょう。
以下のようなサイトは参考になるかと思います。
- 医薬品・医療機器 |厚生労働省
- 報道発表資料 |厚生労働省
- 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
広告の表現方法に注意する
近年では、アフィリエイト広告やSEO対策を活用して宣伝活動をする企業や事業団体が増えていますが、医薬品等の情報を消費者に発信する際には、薬機法が規制する表現方法を遵守する必要があります。
以下の記事では、薬機法ライティングで留意するべきポイントや、ライティングのコツなどについてまとめていますので、ぜひ参考にして広告制作を行ってください。
薬機法の広告表現違反をチェック!初心者が抑えるべきポイントとライティングの6つのコツ
また、以下の記事では医療広告で注意が必要となるガイドラインについて解説しています。
医療広告ガイドラインとは【医療事業者が留意するべきポイント】
2023年10月施行「ステマ規制」にも注意
医療広告は、景品表示法による規制にも注意が必要です。
景品表示法とは、消費者が騙されたり不利益を被ったりしないよう、販売商品に関する表示を規制する法律のことであり、規制対象には医療広告も含まれます。
景品表示法による規制内容や違反しないためのポイントについて、以下の記事で説明しているのでぜひご覧ください。
また、2023年10月より、景品表示法によってステルスマーケティング(以下、ステマ)の規制が施行されています。
事業者が消費者になりすました口コミや、第三者が企業から利益を得ているにも関わらず依頼を受けていることを隠して投稿した口コミは、ステマ規制の対象となります。
施行日以前に投稿したものも規制の対象となるため、過去の投稿の対策もする必要があります。
ステマ規制に関しては、以下の記事にて詳しく説明しているので、ぜひ参考にしてください。
まとめ:医薬品等の広告はプロに依頼がおすすめ
今回は2023年に公布・施行された、薬機法の改正についてまとめました。
国民にとってより安全な医薬品等の提供・使用環境の整備が為されるよう、薬機法の改正は今後も行われていきます。
医薬品等の製造や取扱い、広告作成などに関わる方は、薬機法に関する最新の情報をキャッチアップし、薬機法に違反しないよう気をつけましょう。
また、医薬品等の広告制作や医療機関のHP運営において、自社での対応が難しい場合にはプロに依頼するのがおすすめです。
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