- 薬機法
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健康食品業界では、商品に関するあらゆる表現において、薬機法に違反しないように注意する必要があります。
薬機法はもともと「薬事法」という名称でしたが、2014年に施行された「薬事法等の一部を改正する法律」により、法令名が薬事法から薬機法へと変更されました。
薬機法関連は「医薬品」「医療部外品」「化粧品」「医療機器」の4分野からなっているため、健康食品は直接薬機法と関係していません。
そのため、健康食品に関する表現が薬機法の領域に入り込むことで「薬機法違反」となります。ですが、どこまで表現して良いのか、どんな表現がNGとなるのか、わからない方も多いのではないでしょうか?
そこで本記事では、健康食品での表現範囲や薬機法違反になるケースをご紹介します。また、薬機法の「明らか食品」に関しても解説しているので参考にしてくださいね。
目次
健康食品は薬機法を介すると一般食品にあたる
健康食品は、薬機法上の分類においては「一般食品」となります。ここでは一般食品となる根拠や健康食品に関連する法令などを紹介します。
健康食品は一般食品に分類される理由
そもそも健康食品は法律上の定義がなく、「通常の食品よりも健康に良い」といったことを指しています。
健康食品は薬機法で規制されていないため、一般食品となります。ただし、一般食品が「脂肪燃焼に効果があります」「痛みの症状を軽くする」など、具体的な効果効能を謳うと薬機法では医薬品と見なされ、薬機法違反に該当するので注意しなくてはなりません。
薬機法に違反した場合は、2年以下の懲役または200万円以下の罰金が課せられます。
いわゆる「健康食品」と呼ばれるものについては、法律上の定義は無く、医薬品以外で経口的に摂取される、健康の維持・増進に特別に役立つことをうたって販売されたり、そのような効果を期待して摂られている食品全般を指しているものです。
そのうち、国の制度としては、国が定めた安全性や有効性に関する基準等を満たした「保健機能食品制度」があります。
関連記事:薬機法違反による罰則|行政処分や広告の際に知っておくべきことを解説
サプリメントも一般食品
薬機法では「特定成分が濃縮された錠剤やカプセル形態の食品」がサプリメントに該当します。
サプリメントも健康食品と同様、薬機法では一般食品と同じ分類となり、「病気の改善」や「健康になる」などの表現を使うと薬事法違反となるので注意しなくてはなりません。
また、国が定めた栄養成分や下限値および上限値の範囲内であれば、栄養素についての表現は可能ですが、以下のような基準を逸脱してしまうと医薬品と見なされ、薬機法に抵触する恐れがあります。
サプリメントの薬機法違反と見なす判断基準 | |||
---|---|---|---|
成分 | 剤型 | 用法用量 | 効能効果 |
効果が激しい成分等はNG |
アンプル等はNG (カプセルはOK) |
飲む時間や量を正確に決めるのはNG | 身体の変化を述べるのはNG |
総じて、医薬品かのような誤解を消費者に与える恐れがある場合に、薬機法違反となります。
もし上記のような製品の広告を出した場合、無承認無許可の医薬品を広告したということで、薬機法に抵触します。
健康食品の関連法令
健康食品には薬機法以外にも、気をつけなくてはならない関連法令があります。
健康食品の製造や輸入、販売するにあたって、食品衛生法や健康増進法健康増進法の規定が存在します。さらに、表示方法や販売方法に対して、食品表示法や景品表示法、特定商取引法により規制されています。
健康食品の製造・輸入・販売に対する法律 | |
---|---|
食品衛生法 |
・食品の安全性の確保 ・食品添加物や包装する容器などの情報を表示する ・__医薬品・医薬部外品を除く飲食物が対象 参考資料:e-Gov|食品衛生法 |
健康増進法 |
・「望まない受動喫煙」を防止する法律 ・喫煙室の設置 ・屋内での喫煙は原則禁止 参考資料:e-Gov|健康増進法 |
表示方法や販売方法に対する法律 | |
食品表示法 |
・消費者にとってわかりやすい表示 ・原料原産地表示の義務化 ・アレルギー表示 ・栄養成分の表示 参考資料:消費者庁|食品表示法等(法令及び一元化情報) |
景品表示法 (不当景品類及び不当表示防止法) |
・商品やサービスの品質、内容、価格等を偽って表示を行う ・景品類の最高額を制限する 参考資料:消費者庁|景品表示法 |
特定商取引法 |
・事業者による違法・悪質な勧誘行為等を防止 ・消費者の利益を守る 参考資料:消費者庁|特定商取引法 |
薬機法違反になる健康食品
健康食品は薬機法で規制はされていませんが、医薬品と誤認してしまうような表現方法で販売、広告すると薬機法違反の対象になることもあります。ここでは薬機法に規制される可能性の高い健康食品をご紹介します。
医薬品しか使えない成分を使用
厚生労働省の46通知に「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」があり、植物由来や動物由来の成分本質が記載されています。
また、「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)リス」もあり、効果効能を謳わなければ成分本質を使用しても良いとされています。
以下は、ほんの一例ですが参考にしてみてください。
医薬品となる原材料(一部抜粋) | |
---|---|
名称 | 部位 |
アロエ |
葉の液汁 根・葉肉・キダチアロエの葉は「非医」 |
トリカブト属 | 塊根 |
モッコウ | 根 |
センナ |
果実・小葉・葉柄・葉軸 茎は「非医」 |
ゴオウ (ウシ) | 胆嚢中の結石 |
胎盤 | ヒト胎盤 |
医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない原材料(一部抜粋) | |
アガリクス | 子実体 |
アセロラ | 果実 |
エニシダ |
花 枝・葉は「医」 |
オオバコ | 全草 |
カイソウ<海藻> |
海中の食用藻類 カイソウ<海葱>属の鱗茎は「医」 |
クズ |
種子・葉・花・クズ澱粉・蔓 根(カッコン)は「医」 |
参考資料:厚生省|無承認無許可医薬品の指導取締りについて(46通知)
同じ原材料でも、使用する部位によって医薬品となるため、注意しなくてはなりません。
医薬品的な効果効能を表示
病気の改善や、身体の変化を表すような表現はNGです。医薬品的な効果効能を標ぼうするような表示は、薬機法違反となります。
たとえば、「便秘にいい」「生活習慣病の予防ができる」「体内の血中濃度を抑える」といった内容を記せば法律に抵触します。
アンプル状など医薬品と混合する形状
医薬品で使用される薬の形状で販売すると薬機法違反となります。注射器のアンプル剤や舌下錠、舌下に落とすような形は健康食品では使えません。
よって、「舌下で溶かして効き目を高める」「舌下に垂らして効果を発揮」などの表現は健康食品では認められていないので気をつけてください。
用法用量が明示されている
健康食品で服用する時間や間隔、用量などが明示されていると、医薬品とみなされます。
健康食品は医薬品ではないので、きっちり決める必要はありません。
NG表現としては「1日に3回」「食前食後に飲む」などが挙げられます。反対に「1日2~3粒が目安」など「目安」をつければ基本的に問題ありません。
また、例外として、明らか食品や保健機能食品は「効果効能がある」と言えるケースもあります。下記で詳しく解説しているので確認してみてください。
健康食品の目的別に見る表現範囲
健康食品でOKな表現やNGな表現の事例をまとめました。それぞれ目的別で紹介しているので、参考にしてください。
ダイエット系
ダイエット系で表現する際は、身体についての変化を謳うと薬機法に抵触する可能性があります。
OKな表現方法 | NGな表現方法 |
---|---|
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|
食品を摂取することで、直接身体に関わるような表現の仕方だと薬機法に抵触することがあります。
ダイエットを目的とする健康食品を販売するなら、ダイエット=痩せると紐付けたいところですが、医薬品ではないのであくまでも栄養補給として伝えることが大切です。
また、食事の代わりに低カロリーな食品に置き換えることで、物理的にカロリーを減らすことが可能な「置換食品」があります。この場合は「痩せる」ことが明らかなので使用しても問題ありません。
ただし、お腹や脚など特定の部位や、身体の機能に効果を与えるといった表現はNGです。
妊活系
妊活系は主にサプリメントが挙げられますが、赤ちゃんや胎児に効果があるといった表現はNGです。
OKな表現方法 | NGな表現方法 |
---|---|
|
|
「飲む(食べる)とどうなる」ではなく、栄養補給や抽象的な表現であればOKです。
美容系
美容系のサプリメントも表現に注意しなくてはなりません。
OKな表現方法 | NGな表現方法 |
---|---|
|
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美容系もこれまで紹介してきたダイエット系や妊活系と同じく、身体の変化を明示してはなりません。
爪や髪、肌への効果ではなく、あくまでも抽象的に表現する必要があります。
健康食品と薬機法(旧薬事法)について【違反条件や代替表現例について解説】
薬機法の明らか食品とは
健康食品を医薬品として誤解するような売り方をする場合は、薬機法違反となりますが、誰が見ても明らかな食品なら医薬品と誤解する人はほとんどいません。
明らか食品とみなされるのは以下のようなものがあります。
・野菜、果物、
菓子、調理品等その外観、形状等から明らかに食品と認識される物
※菓子は平成19年4月に、明らか食品から外されました。
また、明らか食品に効能を述べても薬機法違反にはならないのが特徴です。ただし、効能によっては健康増進法に抵触するおそれがあるため、注意しなくてはなりません。
以下を参考にしてください。
- 減塩しょうゆは明らか食品であっても、高血圧に効果的と言ってはならない
- 低カロリー食品でも糖尿病や肥満解消など言ってはならない
参考:薬事法ドットコム|明らか食品って何ですか?《健康食品カテゴリー》
たとえば、「塩分を制限している人に」「カロリー制限が必要な方へ」などの表現もできません。病気を絡めたいのなら「血圧が気になる方へ」「免疫力UP」のような表現で薬機法対策する必要があります。
特保とは?保健機能食品の解説と健康食品の違い
画像引用:消費者庁|機能性表示食品って何?
国が設定した安全性や有効成分などを踏まえ、基準を満たしている場合は、「保健機能食品」となります。保健機能食品はそれぞれ以下のように分類されます。
- 特定保健用食品(特保)
- 機能性表示食品
- 栄養機能食品
健康食品とは違い、機能性の表示ができるのが特徴です。それぞれ詳しく見ていきましょう。
特定保健用食品(特保)
画像引用:消費者庁|特定保健用食品について
特定保健用食品は、「特保」とも呼ばれ、CMなどで知名度が高くなりました。身体の機能に影響を与える有効成分を特保では関与成分と言います。また、医薬品の効能にあたるものは、「許可表現」と言います。
特保として販売するには、国の審査をいくつも受け、許可を得なくてはなりません。(健康増進法第43条第1項)
機能性表示食品
健康食品の効果を表現するためには、「栄養機能食品」「特定保健用食品」のみが認められています。
しかし、これらは対象が限られており、多くの企業が健康食品の効果について表示できないことから、「機能性表示食品」が認められるようになりました。
赤枠が機能性表示食品が表現できる範囲です。
栄養機能食品 | 特定保健用食品 | 一般食品 | |
機能性表示食品 | その他の食品 |
機能性表示食品が言えない表現は、以下のようなものがあります。
例:「花粉症が治ります」「糖尿病の疑いがある方へ」
・肉体改造の表現
例:「AカップからDカップへ」
花粉症なら「目や鼻が気にならない」、糖尿病予防なら「血糖値が気になる方へ」といった表現に変える必要があります。
栄養機能食品
栄養機能食品とは、食生活の中で1日の必要な栄養成分を摂取することが困難な方のために、栄養補給として利用してもらう食品です。
国が指定する基準に従っていれば効能が表示できます。栄養機能食品の表示事項は以下の通りです。
<栄養機能食品の表示事項>
- 栄養機能食品である旨及び当該栄養成分の名称
- 栄養成分の機能
- 1日当たりの摂取目安量
- 摂取の方法
- 摂取をする上での注意事項
- バランスのとれた食生活の普及啓発を図る文言
- 消費者庁長官の個別の審査を受けたものではない旨
- 1日当たりの摂取目安量に含まれる機能に関する表示を行っている栄養成分の量が栄養素等表示基準値に占める割合
- 栄養素等表示基準値の対象年齢及び基準熱量に関する文言
- 調理又は保存の方法に関し特に注意を必要とするものにあっては、当該注意事項
- 特定の対象者に対し注意を必要とするものにあっては、当該注意事項
参考資料:日本健康・栄養食品協会|栄養機能食品の表示について
まとめ
健康食品のビジネスモデルがあっても、薬機法の理解がなかったことで、罰金だけではなく、行政指導や広告の中止・製品回収などのリスクが考えられます。
食品関係に携わっている企業なら、日頃から薬機法対策や対応などを確認しておく必要があります。
ここで紹介した項目をチェックして、どこまで表現が可能なのかを知っておきましょう。
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