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健康増進法とは?景品表示法との関わりとコンテンツの表示・表現のリスク

私がご紹介します

Tanaka Yuta

TanakaYuta SEO Div. コンサルタント

現在までに100社以上のSEO対策に従事し、様々なジャンル・キーワードで上位表示を実現。薬機法管理者の資格を有しているいること、SEOライターとして自身でもライティングができることから、広告表現が難しい医療・美容・健康を得意領域としている。「成分名」や「〇〇 効果」などの難関キーワードでの上位表示実績多数。SNSでの情報発信にも力を入れており、約10,000名のフォロワーを獲得している。

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健康増進法は、誇大広告に係る規制を扱っており、広告に関わる業界にも深く影響しています。

Web業界においても、医療や健康等の商材を取り扱っているアフィリエイターやWebサイト、ホームページ運営者は、対策を考えなければなりません。そこでこの記事では、「健康増進法について」「健康増進法で影響するリスク」「健康増進法に触れるセールスコピー例」をご紹介します。

健康増進法とは

健康増進法とは、日本国民の健康を増進するための法令で、生涯健康に務めることを推進するものです。第三次国民健康づくり対策として2000年に厚生労働省が行った一連の運動施策「健康日本21」を、具体的に実行する法律として施行されました。

健康増進法の中には、「誇大表示の禁止」という項目があります。「誇大表示の禁止」とは、パンフレット、出版物、雑誌、冊子、インターネットコンテンツなどで健康に影響を及ぼす食品表示を誇大し、虚偽の情報による一般消費者の誤解から商品を購入させることを規制する法律です。

そのほかの健康増進法の内容について知りたい方は、以下の健康増進法についての案内を参考にしてください。健康増進法について

景品表示法との関連性

健康増進法の「誇大表示の禁止」には、下記のように記載されています。

最終改正:平成一五年五月三〇日法律第五六号

第三十二条の二 何人も、食品として販売に供する物に関して広告その他の表示をする

ときは、健康の保持増進の効果その他厚生労働省令で定める事項(以下「健康保持増進効

果等」という。)について、著しく事実に相違する表示をし、又は著しく人を誤認させる

ような表示をしてはならない。

引用元: 健康増進法について

つまり、誰であっても、どんな用途であったとしても、国民の健康の保持増進や安全に関わる食品の誇大表示はしてはいけないということです。

一方で景品表示法は、商品やサービスの販売を行う事業者が「一般消費者を誤認させるような不当な広告をすること」と、「一般消費者の判断を誤らせるような過大な景品の提供をすること」も禁止しています。

アフィリエイターも規制対象となる

健康増進法の規制対象には、以下のように記されています。

規制の対象となる者 景品表示法において規制の対象となるのは、商品・サービスを供給する事業者であるが、健康増進法は「何人も」虚偽誇大表示をしてはならないと定めているため、食品の販売業者等に限定されることなく「食品として販売に供する物に関して広告その他の表示をする者」であれば、規制の対象となり得る。

引用元:健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について・要約版

つまり、景品表示法に基づく規制で対象となるのは商品・サービスを供給する事業者であるが、健康増進法で規制対象となるのは、「食品として販売に供する物に関して広告その他の表示をする者」は誰であっても用途関係なく規制対象になるということです。

パンフレット、出版物、雑誌、冊子などでの記載だけでなく、自身のWebサイトやホームページ上でアフィリエイト商材として食品を扱っているアフィリエイターも同様に健康増進法の規制対象となります。

また、近年では商品・サービスを供給する事業者だけでなく、アフィリエイト広告を掲載しているアフィリエイターも景品表示法の規制対象と定める動きがあります。

実際に、消費者庁がアフィリエイト広告等に関する検討会の開催実施を発表しました。

参考:アフィリエイト広告等に関する検討会の開催について

コンテンツにおける表示・表現のリスク

消費者庁は定期的にインターネットコンテンツを監視し、健康増進法に触れているものについては「表示の最適化」を要請してきました。実際に、平成31年の4月から令和元年の6月までの期間に65事業者72商品に対して広告表示の改善を要請したとも発表しており、法を犯しているサイトには改善を依頼しています。改善されない場合は、サイトの閉鎖も行なっています。

参考:インターネットにおける健康食品等の虚偽・誇大表示に対する要請について

今後は景品表示法がアフィリエイターにも適用される可能性があるため、誇大広告をしているサイトにはすべて、広告表示の改善要請や場合によってはサイトの閉鎖という措置が取られる可能性があります。

また、アフィリエイターが健康増進法や景品表示法に触れるコンテンツを作成した場合、広告主側やASP側にもリスクが生じます。

広告主側のリスク

具体的な広告主側のリスクは、下記の通りです。

  • 販売停止
  • 刑事裁判(場合により)
  • 罰金・慰謝料
  • 社名公表(法人の場合)

2016年3月1日に、消費者庁から特定保健用食品(トクホ)の飲料に対して、健康増進法(誇大表示の禁止)違反だとして「勧告」が出され、社名が公表されました。

参考:特定保健用食品(トクホ)とは?

また、別の例では、「飲むだけで痩せる」などの表現が誇大広告であり、景品表示法や健康増進法に違反するとして警告された例があります。

参考:「飲むだけで痩せる」「太っていると一億円損」の表示は問題では?

アフィリエイター側のリスク

アフィリエイター側のリスクは下記の通りです。

  • サイトの閉鎖
  • 刑事罰

アフィリエイターが健康増進法や景品表示法で摘発された例はありませんが、自身の運営するサイトで健康食品が「痛風や糖尿病の改善に効く」など根拠の無いことを書いたとして、

薬機法(旧:薬事法、2014年に改正)違反として書類送検されたということは起こっています。

参考:薬機法(旧:薬事法、2014年に改正)の概要

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健康増進法に触れるセールスコピー事例

健康増進法に触れるセールスコピーは、「著しく事実に相違する表示」及び「著しく人を誤認させるような表示」を行なっているコンテンツです。

  • たった1分続けるだけで〇〇kg痩せる
  • サプリを飲むだけで脂肪燃焼&肥満防止!
  • これだけ食べれば肥満が治る!
  • これだけ飲めば、業務効率爆上がり!

上記のように、個人差の出る食品であるのにも関わらず、誰でも確実に達成できるかのように期待してしまう表記を行うことを禁止しています。上記のような表現が一部でも含まれていると、「著しく事実に相違する表示」及び「著しく人を誤認させるような表示」を行なっているコンテンツと見なされる可能性があります。

また、「食品の〇〇で栄養を補給した結果、××が良くなりました」など、利用者の体験談が寄せられていたとしても、得られた効果に研究所や公的機関で得られた科学的根拠が無ければ「事実に相違する表示」に該当する場合があります。

特に「健康食品や特定保健用食品表示」において、医薬品と誤認されるような効能効果を表示・広告することはできませんので、注意が必要です。

参考:医薬品的な効能・効果について

食品の特別な効果・効能を示すためには、研究所などで臨床試験等を行なって効果の実証および公的機関による認証を受ける必要があり、それらの根拠なしに特別な効果・効能を謳うと誇大広告に相当します。

コンテンツの正確性を重視する

健康増進法により、インターネットに表示されるコンテンツにも正確性が必要です。

食品に関する情報を正確に説明するのはもちろんのこと、一定のキーワードにまつわる食品に関しても十分に注意して適切なコンテンツを作成する必要があります。

・特定の成分について、健康保持増進効果等が得られるだけの分量を含んで

いないにもかかわらず、生活習慣を改善するための運動等をしなくても、摂

り過ぎた栄養成分若しくは熱量又は体脂肪若しくは老廃物質等を排出し、又

は燃焼させることをイメージさせる

・健康保持増進効果等に関し、メリットとなる情報を断定的に表示している

にもかかわらず、デメリットとなる情報(例 効果が現れない者が実際にい

ること、一定の条件下でなければ効果が得られにくいこと 等)が表示され

ておらず、又は著しく消費者が認識し難い方法で表示されている

・健康の保持増進の効果等について公的な認証があると表示しておきながら、

実際には、当該効果等に係る認証を受けていない

・根拠となる学術データのうち、当該食品にとって不都合な箇所を捨象し、

有利な箇所のみを引用する

引用元:虚偽誇大広告

等の禁止及び広告等適正化のための監視指導等に関する指針(ガイドライン)

上記に該当するような「著しく事実に相違する表示」及び「著しく人を誤認させる

ような表示」は、健康増進法の違反とみなされます。したがって、コンテンツ作成時には上記に該当しない表示や表現を使用しましょう。

インターネットコンテンツを消費者庁が監視

事実、消費者庁がインターネットコンテンツを一部監視しています。消費者庁が発表している、直近のインターネット監視結果は下記の通りです。

監視期間

改善要請件数

改善件数

事業者数

商品数

事業者数

商品数

令和元年度 278 337 278 337
令和2年4~6月 93 107 93 107
令和2年7~9月 112 113 112 113
令和2年10~12月 150 152 150 152
令和3年1月~3月 99 101

引用元:インターネットにおける健康食品等の虚偽・誇大表示に対する要請について(令和3年1月~3月)

上記のように、健康増進法に違反すると認められる商品を販売している事業者(法人、個人問わず)には、改善要請や改善指導がされています。

監視されているキーワード

消費者庁は、ロボット型のキーワード検索ツールを用いて、以下のキーワードを満たすコンテンツに対して虚偽誇大表示がされていないかを監視しています。

監査期間

監査項目

平成31年4月から令和元年の6月まで

  • 「がん」、「糖尿病」、「認知症」等の疾病の治療又 は予防を目的とする効果があるかのような表現
  • 「アレルギー」、「ストレス」等の身体の組織機能 の一般的増強、増進を主たる目的とする効果があるかのような表現
  • 「ダイエット」、「美肌」等の身体を美化し、魅力 を増し、容ぼうを変える効果があるかのような表現等

引用元:インターネットにおける健康食品等の虚偽・誇大表示に対する要請について

監査で見つかった虚偽誇大表示の例として、具体的に下記のような表示があったと認められています。

商品区分

表示されていた健康保持増進効果等

加工食品

(農産加工食品、畜産加工食品、水産加工食品等)

【2商品】

・生活習慣病予防、免疫力向上、肝機能の回復、中性脂肪の減少、糖尿病、認知症に効果を有すること等を標ぼうする表示

飲料等

(茶、コーヒー及びココア調製品、飲料、酒類)

【4商品】

・ダイエット、生活習慣病予防、メタボリックシンドローム、美肌・老化防止、風邪・感染症予防、肝機能強化、疲労回復に効果を有すること等を標ぼうする表示

いわゆる健康食品

(カプセル、錠剤、顆粒状等)

【66 商品】

・がん予防、動脈硬化、心疾患予防、免疫力向上、便秘解消、アレルギー症状・うつ症状緩和、肝機能改善、生活習慣病予防、疲労回復、ダイエットに効果を有するこ

と等を標ぼうする表示

・女性ホルモンの活性化に働きかけ、美白美肌、エイジングケアに効果を有すること等を標ぼうする表示

引用元:インターネットにおける健康食品等の虚偽・誇大表示に対する要請について

GoogleによるYMYLアップデートの影響

健康増進法は、GoogleのYMYLアップデートにも影響を及ぼしています。 YMYLとは『Your Money, Your Life』の略で、お金と人生(医療・健康等)に関わる業界のことを示します。

健康アップデートとも呼ばれるYMYLアップデートは、YMYLに関するコンテンツ及び、医師などが監修してない正確性のないコンテンツに対して、Googleの検索結果における評価を下げるようにしたというものです。

当時は、コンテンツを量産することがSEO対策やWeb集客に有効とされ、有名な大手情報メディアに『肩こりの原因は幽霊』などといった記事が掲載されるほど、Web上に信頼性が低い情報が溢れていました。Googleの検索結果で上位になっているサイトの信頼性が揺らげば、Google検索サービス自体の信頼性にも関わりユーザーの減少を招きかねません。

そのため、Googleの信頼性をさらに高める対策としてYMYLアップデートが実施されました。その結果、その分野のスペシャリスト(医師・専門医など)でない人が提供しているコンテンツや正確な情報と判断できないコンテンツを掲載しているサイトで、ランキングが高めに表示されていたものは大幅に下落。Googleのアップデートの中でも歴史に残るアルゴリズムの更新となりました。

GoogleはYMYLアップデート以降、特に医療・健康に関するキーワードの検索結果に60%以上の影響をもたらしたと説明しています。

参考:Googleウェブマスター向け公式ブログ(医療や健康に関連する検索結果の改善について )

Googleも企業であるため、国の指導や法令には基本的に従うということを考えておかなければなりません。

YMYLアップデートで分かることとしては、どれだけ適切なSEO対策がされ、ユーザーが利用しているサイトでも、法律制度に違反しているようなサイトやコンテンツの順位は落とされる措置が取られるということです。

したがって、サイトやコンテンツの作成者はSEO対策だけでなく、国の法律制度も遵守したサイト運営が求められています。

ガイドラインを遵守する

消費者庁は、ガイドラインを作成し、健康増進法を遵守する案内に努めています。

健康増進法に違反しないサイトやコンテンツ作成には、消費者庁が発表しているガイドライン(ルール)を遵守する必要があります。

特に、「著しく事実に相違する表示」及び「著しく人を誤認させるような表示」は禁止対象とされているため、広告やコンテンツを作成した際は、1ページでも、ガイドラインに掲載されているようなルールに違反してないか確認しておきましょう。

まだ一度もガイドラインを読んだことがない方は、この機会にぜひ全ページを一読してみてください。また、ガイドラインを読んでも健康増進法に違反しているかの判断が難しいという場合は、直接消費者庁の窓口に相談してみるのも1つの手段です。

まとめ

アフィリエイターやWebサイトを運営する方も、「食品」や「健康に影響するもの」を表現する際は、国民の安全に直接影響することを考えましょう。そのため、コンテンツを作成する際は、正しく、信頼できて、公的な情報に基づいた適切な表現を徹底することが大切です。

また、今後はアフィリエイターにも景品表示法が適用される可能性もあります。紹介しようとする商品の効果・効能について疑問がある場合には、ASPや広告主に効果が実証されたデータはないかなど、表現可能な範囲について相談しておくと良いでしょう。

既に健康増進法のガイドラインに違反するような誇大表示をしている可能性がある場合は、この機会にコンテンツの表示や表現、場合によっては業務内容を改善しましょう。アフィリエイターが虚偽誇大な表現をした場合、広告主やASP側も同様に責任を問われます。

広告出稿時に、表現可能な範囲について詳細に示すとともに、アフィリエイターが危険な表現をしていないかを定期的にチェックできるような体制を整えておくことが期待されています。

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