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mugenとはGoogleが推奨している新しいアカウント設計です。
これまでGoogleは「hagakure」「GORIN」など変わった名称のアカウント設計の概念を提唱してきました。今回はそんな最新のフレームワークである「mugen」についてご紹介します。
まず、mugenの説明に入る前に「hagakure」「GORIN」についておさらいしてみましょう。
- hagakure…アカウント構造をシンプルにして機械学習を機能しやすくする
- GORIN…機械学習によりユーザーにとって最適な情報を適切なタイミングで届ける
どちらも効率的な機械学習を前提としたアカウント構造です。
そして、これらをベースにしてさらにリーチの拡大を図ることを目的としたアカウント設計がmugenです。
hagakure、GORINを前提として機械学習による最適化を維持しながら新規ユーザーにリーチを拡大するという運用指針です。
hagakure→GORIN→mugenの流れ
mugenの詳しい概要を説明する前にベースとなるhagakure、GORINがどのような流れで推奨されるようになったか知っておく必要があると思うので簡潔に説明していきます。
hagakure登場まで
hagakureのアカウント構造の概念が登場するまでは「1広告グループ・1キーワード」のようなアカウント設計をできるだけ細かく設定する方法が主流でした。
理由としては、アカウント設計を細かく設定することで登録キーワードに合わせた広告文を設定することができ、推定クリック率の向上が見込めます。
推定クリック率が向上することによって広告の品質スコアがあがり、入札単価が低額でも上位表示されやすいと考えられていたためです。
hagakure登場
前述で説明したアカウント設計を細分化する手法が主流だった中Googleが旧来とは真逆ともいえる、アカウント設計をできるだけシンプルにまとめる設計のhagakureを提唱し始めました。
hagakureが推奨されるようになった背景として、機械学習の精度が向上し始めたことが挙げられます。
機械学習の精度が低かった頃は、アカウント構造をシンプルにまとめると検索キーワードに対して確度が低い広告が表示されてしまうなどのデメリットの方が大きく、その分人の手で細かく管理する方が効果を出すことができるという時代でした。
ですが、細分化されたアカウント構造だと工数がかなりかかってしまい、なおかつ重要な指標の一つである「IMP数」も分散されてしまうため、品質スコアが下がってしまうという懸念もありました。
そこでGoogleは機械学習の精度が高くなってきたタイミングで管理工数が削減され、IMP数も集約されるシンプルなアカウント構造を推奨するようになりました。
IMPが集約されることでCV数も一つのキャンペーンに集約でき、機械学習による運用に必要なデータの蓄積が以前より容易になり、機械学習を活用してPDCAサイクルを回して常に広告を改善していくことが重要視されるようになりました。
GORIN登場
hagakureの概念が提唱されてから約2年、Googleは新しくhagakureをベースとしたGORINの概念を提唱するようになりました。
hagakureから2年もの年月が空いたのは、hagakureの普及に2年かかったからともいえます。
GORINのコンセプトは、「ユーザーが求めた情報を正しく・適切なタイミングで届ける」ことです。
ユーザーの行動が複雑化、多様化していき、手動での広告の最適化が難しくなる一方で、機械学習の精度がさらに向上して、広告配信のパフォーマンスを最大化できるようになりました。そういった変化に合わせ、hagakureをベースとして打ち出されたプロジェクトが「GORIN」です。
GORINは下記の5つの要素で構成されています。
- アカウント構成…hagakureに乗っ取りシンプルにする。(機械学習のためのデータ蓄積)
- リーチ…データ蓄積のためのIMPを多く獲得するためにリーチを広くとる必要がある
- ターゲティング…確度の低いユーザーに配信しないようにターゲティングを設定する(広告の無駄打ちによる広告費の削減)
- 広告フォーマット…広告がユーザーの目に留まるよう掲載順位の向上を目指す(拡張テキストや広告表示オプションの活用)
- 効果測定…ビジネスごとのKPIを定め、次の改善につながるように効果測定する
mugen登場
2019年にGoogleはhagakure、GORINをベースとした新しいアカウント設計の概念であるmugenを発表しました。GORINの特徴が「効率化」だとするとmugenの特徴は「拡大」です。
効率化を前提として、「ビジネス成長のための価値のあるIMPの拡大」がコンセプトとなります。
mugenを構成する要素は大きく分けて3つです。
- 入札戦略
- リーチ
- 広告品質
上記の3つの要素について、もう少し掘り下げて説明していきます。
構成要素1入札戦略
入札戦略において、mugenの場合はアトリビューションを活用してコンバージョンに至るまでの中間経路についても評価した上で「KPIに合ったスマート自動入札を使用すること」が推奨されています。
コンバージョントラッキングを設定している場合はKPIに応じて以下の入札戦略の導入がGoogle広告によって推奨されています。
- コンバージョン数の最大化…設定した予算内でコンバージョン数を最大化するように調整
- 目標コンバージョン単価…指定したCPA内でコンバージョン数を最大化するように調整
- 目標費用対効果…指定した目標費用対効果でコンバージョン数を最大化
この3点の中で、目標費用対効果のみ過去30日間で15件以上のコンバージョン数があることが必須条件となっています。
構成要素2リーチ
GORINを構成する要素でもリーチが出てきましたが、ここでいうリーチはGORINのそれとは異なります。mugenのリーチはIMPを拡大するための指針です。
特に推奨されているのが動的検索広告(DSA)の導入です。
DSAとは、指定したWEBサイトのURLを元に関係するキーワードが自動生成され、そのキーワードが検索されたときに見出しを自動生成し、該当ページに飛ばす広告を表示させる機能です。
手動では網羅できなかった検索語句に対しても広告を表示させられるため、今まで以上にリーチを広げることが可能です。この機能をスマート自動入札と組み合わせることで、通常のキャンペーン以上のパフォーマンスが期待できます。
注意点としては予期しないキーワード(想定していなかった除外すべきキーワードなど)で広告が表示される可能性があるので目視での確認が必須となります。
リーチを拡大するために部分一致キーワードや絞り込み部分一致キーワードの活用が推奨されていますが、絞り込み部分一致はmugenから外れる可能性もあるそうです。
構成要素3広告品質
広告品質においてmugenで特に推奨しているのがレスポンシブ検索広告(RSA)です。
通常のテキスト広告よりも見出しや説明文を多く設定することができ、設定した選択肢の中から検索キーワードと関連性の高いものを配信するという機能です。
自動的に成果の良い組み合わせを機械学習して配信するためクリック数やコンバージョン数の増加が見込めます。
ただ、現在RSAはベータ版のみの提供となっているため、一部の広告主のみしか利用できません。
mugenのメリット
mugenを活用する最も大きなメリットはmugenのコンセプトが拡大であるように、今までアプローチできていなかった層のユーザーを獲得できることです。
検索広告の対象キーワードは一部のキーワードに偏りがちですが世の中は新しいものを含め、クエリが常に生まれています。
もちろん既存の知見は踏まえたうえで、新しく生まれるクエリ発掘にも目を向けることが重要になります。
まとめ
今回はGoogleが新たに発表したアカウント構造の概念「mugen」を、今までの構造の概念であるhagakureとGORINと併せて解説しました。
mugenはベースであるhagakure、GORINの設計ができていないと費用が増えるだけで、成果につなげることはなかなか難しいです。まずはアカウント設計のベースをしっかり整えてから活用することをおすすめします。
また、mugenはCPAが高騰しやすいといったデメリットもあるのでメリット・デメリットを踏まえながら活用してみてください。
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