薬機法には厳格な規制が設けられており、違反をしてしまうと罰則や行政処分を受けることになります。また、会社や事業者としても罰則を受けたというレッテルを貼られてしまい、今後出す商品やサービスが立ち行かなくなるなどの恐れも生じます。
それらを防ぐためには、薬機法に関する概要を理解することはもちろん、罰則や行政処分に関しても知識を身につけることが大切です。そこで本記事では、薬機法の概要や罰則が強化されている背景、罰則の内容を解説します。また、薬機法違反による罰則や行政処分を受けないために重要なことも解説しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
薬機法の概要
まずは、薬機法の概要から見ていきましょう。薬機法とは「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」が正式名称の法律のことであり、医薬品などの商品に関して有効性や安全性を確保することが目的とされています。医薬品、医薬部外品、化粧品、医療用具などが薬機法の対象範囲であり、広告を打つ事業者のみならず、製造や安全対策まで包括的に規制されていることが特徴です。
加えて、サプリメントや健康食品、美容器具などに関しても薬機法の対象範囲であるため、これらに関わる事業を営んでいるすべての人間が薬機法に関して理解を深める必要があります。
なぜ薬機法の罰則が強化されているのか
薬機法の罰則が強化されている背景には、広告を打つ事業者が、過激な内容で商品を訴求していることが挙げられます。具体的にはアフィリエイト広告などで、化粧品の効果効能を超える範囲で「シミが改善します」と訴求したり、「美肌に変わります」などと謳ったりするのは過激な表現とみなされます。
実際に、令和2年7月には、医薬品としては認められていない健康食品であるにも関わらず、消費者の身体的機能が改善するなどと広告を打ったことで、関係者が逮捕された事案も発生しました。こちらの事案では、アフィリエイターが逮捕されることはありませんでしたが、広告代理店、個人のアフィリエイターなどが逮捕される可能性が示されたことも事実です。
製造業者からすれば、より多くの消費者に商品を届けるため、アフィリエイト広告やその他の広告手法を用いることは少なくありません。しかし、すべての広告業者がどのような手法で商品を販売しているのかまでは、把握しきれていないのも現状でしょう。
ただし、そのような状態では薬機法違反による罰則を受ける可能性が大いにあります。だからこそ、商品に関わるすべての人間が薬機法のルールを適切に理解しておくことが大切です。
薬機法の広告の定義
一般的には、広告と一口に言っても、捉え方が人それぞれ異なります。薬機法では、広告を下記のように定義しています。
(誇大広告等)第六十六条 ※一部抜粋
何人も、医薬品、医薬 部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。
2 医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の効能、効果又は性能について、医師その他の者がこれを保証したものと誤解されるおそれがある記事を広告し、記述し、又は流布することは、前項に該当するものとする。
(承認前の医薬品、医療機器及び再生医療等製品等の広告の禁止)第六十八条
何人も、第十四条第一項、第二十三条の二の五第一項若しくは第二十三条の二の二十三第一項に規定する医薬品若しくは医療機器又は再生医療等製品であつて、まだ第十四条第一項、第十九条の二第一項、第二十三条の二の五第一項、第二十三条の二の十七第一項、第二十三条の二十五第一項若しくは第二十三条の三十七第一項の承認又は第二十三条の二の二十三第一項の認証を受けていないものについて、その名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する広告をしてはならない。
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律
上記を見ても、内容がいまいち分からないと感じる方もいるかもしれません。要約すると、薬機法の広告では「誇大広告」「未承認の広告」の2つが禁止されています。ここで言う誇大広告とは、効果効能の範囲から漏れた表現や、安全性や確実性を表現することです。
上記の薬機法の広告範囲は、製造業者、販売に関わるすべての事業者が対象であるため、関係者は十二分に配慮して取り組みましょう。
薬機法違反の罰則
ここまで、薬機法や広告の範囲に関して解説をしました。ここからは、薬機法違反による罰則についてご紹介します。
2年以下の懲役もしくは罰金
薬機法に違反した場合、2年以下の懲役、もしくは罰金、及びこれら両方が課される可能性があります。なお、逮捕要件に関しては「逮捕の理由と逮捕の必要があること」とされています。つまり、薬機法に違反した後、逃亡の危険性があるなどと判断された場合は逮捕される可能性もあるということです。
行政処分
薬機法に違反した場合、行政処分を受ける可能性もあります。販売停止命令、業許可の取り消しなどが行政処分の具体的な内容です。また、薬機法の違反に関する報告書を提出することを求められるケースもあります。
令和3年からは課徴金制度導入
薬機法の違反において、令和3年からは改正薬機法が施行され、課徴金制度が導入されました。課徴金制度では、薬機法に違反して販売していた期間の売上の4.5%を納付する必要があります。
当然、薬機法に違反しないことはもちろんではあるものの、万が一気付かぬ内に違反してしまっていた場合、売上の4.5%を徴収されるのは相当なものです。企業としての損失を防ぐためにも、薬機法に違反しないための十分な体制を整えるべきでしょう。
薬機法違反で罰則/行政処分を受けないために重要なこと
ここまで、薬機法の罰則に関する内容を解説しました。ここからは、薬機法違反で罰則や行政処分を受けないために、重要な下記4つのポイントをご説明します。
- ガイドラインの確認
- レギュレーションの作成
- 薬機法に知見のある監修者への依頼
- 顧問弁護士の検討
それぞれ順番に見ていきましょう。
ガイドラインの確認
まずは、薬機法ガイドラインを確認することが大切です。薬機法ガイドラインは、いわば薬機法に関わるルールブックであり、これらがすべての基本としてみなされます。薬機法に関連する商品を提供しているのにも関わらず、ガイドラインの内容を把握していないのは非常に危険な状態と言えます。
広告を打つ前に、必ず薬機法ガイドラインを読み込んでおきましょう。
レギュレーションの作成
次に、広告に関するレギュレーションを細かく作成することも重要です。社内のみならず、社外のアフィリエイターなどにも公開できるレギュレーションを作成することで、目の行き届かないところで違反されてしまうリスクを軽減できます。
薬機法に知見のある監修者への依頼
薬機法ガイドラインを読み込んだり、レギュレーションを作成したりしても、やはり知見のない方が取り組むには限界があることも事実です。そこでおすすめなのが、薬機法に知見のある監修者に監修を依頼することです。
知見のある監修者は、薬機法におけるあらゆる広告に対する経験と知識を持ち合わせており、社内のみで取り組むよりも確実に広告の信頼を高められます。デジタルアイデンティティでは、薬機法の専門家が監修をするコンテンツマーケティングや、リライトサービスをご提供しています。
薬機法は、近年規制が強まっている背景もあり、不安が残る中で広告を打つのは得策ではありません。安心して消費者に商品を届けるためにも、ぜひ一度薬機法に関するサービスの概要資料をダウンロードしてください。
顧問弁護士の検討
最後に、顧問弁護士への依頼も検討しましょう。弁護士は法律の専門家であるため、不安が残る場合に都度リーガルチェックを依頼できるのは非常に大きな安心材料となります。また、消費者からしても、会社に顧問弁護士が付いているのは信頼する要素の1つであるため、会社の状況に合わせて積極的に依頼を検討してみると良いでしょう。
まとめ
本記事では、薬機法の罰則や行政処分に関して解説をしました。薬機法に違反してしまうと、2年以下の懲役、200万円以下の罰金、もしくは両方が課されます。また、令和3年からは薬機法の内容も改正され、売上に対する4.5%の課徴金も課されるようになりました。
これらを防ぐためには、薬機法のガイドラインを都度確認したり、レギュレーションを細かく作成したりすることが大切です。さらに、本質的に安全な広告戦略やコンテンツを制作するためには、知見のある外部の専門家に依頼することも十分検討する必要があります。
デジタルアイデンティティでも、薬機法を細かく対策したコンテンツマーケティングや、監修者による細かな確認サービスもご提供しておりますので、消費者の安全を守るためにもぜひ一度無料で資料をダウンロードしてみてください。
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