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薬機法における広告の3要件について|禁止事項や違反表現事例も

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Tanaka Yuta

TanakaYuta SEO Div. コンサルタント

現在までに100社以上のSEO対策に従事し、様々なジャンル・キーワードで上位表示を実現。薬機法管理者の資格を有しているいること、SEOライターとして自身でもライティングができることから、広告表現が難しい医療・美容・健康を得意領域としている。「成分名」や「〇〇 効果」などの難関キーワードでの上位表示実績多数。SNSでの情報発信にも力を入れており、約10,000名のフォロワーを獲得している。

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薬機法には、3つの広告要件と4つの広告禁止事項が定められています。また、1年間に1回程度の頻度で改正が繰り返されており、常に最新の情報をキャッチアップしていく必要があります。

本記事では、薬機法における広告の3要件と規制事項を解説するとともに、薬機法に関わる違反広告の事例をご説明しますので、ぜひ参考にしてください。

また、薬機法の基本については以下の記事を参考にご覧ください。
薬機法とは?景表法との違いと広告規制を解説

薬機法における広告の3要件について

薬機法では、下記の3要件を満たす場合は広告に該当するとみなされています。

  • 顧客を誘引する(顧客の購入意欲を昴進させる)意図が明確であること。
  • 特定医薬品等の商品名が明らかにされていること。
  • 一般人が認知できる状態であること。

引用:薬事法における医薬品等の広告の該当性について

それぞれの要件について詳しく見ていきましょう。

要件1:顧客を誘引する(顧客の購入意欲を昴進させる)意図が明確であること

これは要件の通り、「商品を販売したい」「売りたい」という意図が明確にわかることを指します。

  • アフィリエイトリンクがある
  • インフルエンサーによるPR投稿
  • 商品販売ページに誘導するWebサイト
  • チラシ

などがこれに当てはまります。また、商品名での検索を促すような文言も、誘引する意図があると判断される可能性があります。

特定の食品の効果についてまとめた論文などは販売の目的がないので、広告には当てはまりません。

要件2:特定医薬品等の商品名が明らかにされていること

この要件は総合的に判断され、詳細がわかりづらいので、具体的な例を挙げて説明します。

以下の図解をご覧ください。
要件2:特定医薬品等の商品名が明らかにされていること

上図のように、成分の効果効能と商品オファーが同一サイト内の場合には、ページAは広告として扱われます。化粧品等を製造・販売する企業が自社商品の成分の効果効能を記載しており、別ページの通販サイトで購入することができるのであれば広告と捉えられるというイメージですね。

一方で、ページBが存在せず、成分の効果効能と商品オファーが別サイトに掲載されている場合は、ページAは広告ではない、となります。こちらは、成分に関する論文が掲載されているサイトと、その成分が含まれた商品を扱う通販サイトの関係を想像してもらえればイメージがつきやすいでしょう。

ただし、後者の場合でも、ページAからページCへリンクが貼られている場合には、広告と見なされる場合があるため注意が必要です。

また、特定の商品に対して、商品の成分の効能を述べるチラシ”と”広告チラシ”を日にちをズラして送るといった行為も上と同じく広告要件に当てはまります。

要件3:一般人が認知できる状態であること

一般人とは、自社以外の全ての人を指します。

3つの要件の中で最も広く解釈・運用されています。

IDやパスワードを入力しないと入れないサイトでも一般人が認知できる状態に当てはまるという旨が平成26年5月22日に厚生労働省から通知されました。

広告に該当する条件についての注意

注意点として、下記のように消費者や見る人が「広告」と認識できる場合は広告に該当するとしています。

  • 無承認医薬品の商品名等の表示については、名称の一部を伏せて表示する等の場合であっても、顧客誘引性が認められ、商品に認知度、付随している写真および説明書き等から特定商品であることが認知できる場合は、広告に該当する
  • 形式ではなく、消費者がこれらの3要件を満たすと認識できれば広告に該当する
  • 広告制限は事業者だけでなく、個人も対象としており、ブログや個人のホームページも規制の対象になる

薬機法の広告規制事項

薬機法では、特に下記のような広告が禁止されています。

  • 誇大広告の禁止
  • 承認前の医薬品、医療機器及び再生医療等製品の広告の禁止
  • 他社商品の誹謗広告の制限
  • 医薬関係者等の推せんの禁止

それぞれ順番にご説明します。

誇大広告の禁止

誇大広告とは、事実に反する虚偽の表現や誇張した表現により消費者に誤った認識をさせる恐れのある広告のことです。

薬機法第66条では、「誇大広告」について、下記のように規制されています。(薬機法第六十六条:誇大広告等)

  1. 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。
  2. 医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の効能、効果又は性能について、医師その他の者がこれを保証したものと誤解されるおそれがある記事を広告し、記述し、又は流布することは、前項に該当するものとする。
  3. 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品に関して堕胎を暗示し、又はわいせつにわたる文書又は図画を用いてはならない。

引用:厚生労働省「医薬品等の広告規制について」

上記のように、誇大広告を禁止しています。

また、第1項に「何人も」とあるように、商品の製造業者や企業だけでなく、ライターやアフィリエイターなども規制の対象となります。

承認前の医薬品、医療機器及び再生医療等製品の広告の禁止

薬機法の第68条では、承認を受けていない医薬品、医療機器、再生医療等製品の広告を禁止しています。(薬機法第六十八条)

何人も、第十四条第一項又は、第二十三条に関する広告をしてはならない。

引用:厚生労働省「医薬品等の広告規制について」

たとえば、健康食品などの販売において、医薬品や医療機器、再生医療等製品として承認を受けてないにも関わらず、効果効能を標ぼうした広告を用いて販売を行うと第68上の違反になります。

したがって、医薬品や医療機器、再生医療等製品を販売するのであれば事前に必ず承認を得ましょう。

他社商品の誹謗広告の制限

「医薬品等適正広告基準」では、他社商品を誹謗する広告を禁止しています。

9 他社の製品の誹謗広告の制限
医薬品等の品質、効能効果、安全性その他について、他社の製品を誹謗するような広告を行ってはならない

引用:厚生労働省「医薬品等適正広告基準の改正について」

たとえば、下記のような広告は他社商品の誹謗に当たります。

  • 他社の商品は古いので、使用しないようにしましょう。
  • まだ〇〇製法を使っている会社は時代遅れです。

また、他社商品と比較をしている「比較広告」に関しても注意が必要です。「医薬品等適正広告基準」では、比較広告を行う場合は自社商品の範囲で、対象商品の名称をしっかり明示する場合に限定しています。

製品同士の比較広告を行う場合は、自社製品の範囲で、その対照製品の名称を明示する場合に限定し、明示的、暗示的を問わず他社製品との比較広告は行わないこと。この場合でも説明不足にならないよう十分に注意すること。

引用:厚生労働省「医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等」

医薬関係者等の推せんの禁止

医薬関係者等が商品やサービスに関して推せんやコメントを行うことは、それが事実であったとしても禁止されています。

10 医薬関係者等の推せん
医薬関係者、理容師、美容師、病院、診療所、薬局、その他医薬品等の効能効果等に関し、世人の認識に相当の影響を与える公務所、学校又は学会を含む団体が指定し、公認し、推せんし、指導し、又は選用している等の広告を行ってはならない。
ただし、公衆衛生の維持増進のため公務所又はこれに準ずるものが指定等をしている事実を広告することが必要な場合等特別の場合はこの限りでない。

引用:厚生労働省「医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等」

薬機法に関わる違反広告表現例

薬機法に関わる違反広告表現例

ここまで、薬機法の広告に関する概要を解説しました。続いて、具体的な違反広告表現例をいくつかご紹介します。

健康食品の違反広告表現例

違反表現 広告基準等 解説
お肌やおなかの調子はどうですか 法第68条 身体の特定部位(肌、おなか)に作用を及ぼすかのような表現は、
医薬品的な効能効果に該当するため広告できない。
歯の再石灰化を促進する働きもあります。 法第68条 身体の特定部位(肌、おなか)に作用を及ぼすかのような表現は、
医薬品的な効能効果に該当するため広告できない。
血圧の気になる方に 法第68条
法第55条第2項
疾病の治療又は予防を暗示する表現は、医薬品的な効能効果に
該当するため広告できない。(特定保健用食品は除く。)
肝臓を気にしている方に使用されてきたハーブです。 法第68条 疾病の治療又は予防を暗示する表現は、
医薬品的な効能効果に該当するため広告できない。
ぶよぶよ脱ぎ脱ぎ、トウガラシが効く。 法第68条 起源、由来などの説明で、身体の組織機能の増強、促進を暗示している
体の疲れ、心の疲れ、色々な疲れ、疲れた体に 法第68条 疲労回復効果を述べており、疾病の治療又は予防を目的とする表現にあたる。
あなたの理想のバストに確実に近づけます。 法第68条 身体の組織機能の増強、促進を目的とした表現にあたるため不可である。
抗酸化成分[ゴマリグナン]の働きで 法第68条 身体に対し抗酸化作用を表現することは、身体の組織機能の増強、
促進を目的とした表現にあるため不可である。
入院中腫瘍マーカーCEAが107だったのが、
これを飲み始めて2ヶ月後には28になった。
法第55条第2項 体験談を引用し、疾病の治療効果を暗示する表現であるため不可である。

医薬部外品の違反広告表現例

違反表現 広告基準等 解説
白髪を防ぐエキス発見。黒髪が白髪になるのを予防します。
白髪を予防・改善するサンショウ抽出エキスを〇〇(会社名)が発見。
3(1) 白髪予防の効果は、承認効能外である。
あなたまで一緒に悩まなくていいのです。
なぜって?それは〇〇から新発売のアクネ専門対策チームのおかげ。
あなたを悩ます問題はさっぱり解消です。
3(6) 効能効果に関連して、その効果が確実に得られるかのような表現は使用できない。
シワを取り去る。
肌の老化、特にシワの改善にもっとも効果がある。
レチノール/ホエイプロテイン(配合目的が記載されていない。)
大ヒット、大ブーム。
3(1)
3(4)
3(6)
有効成分以外の成分を特記表示する場合は、
認められた配合目的を併記しなければならない。3(4)
肌白くなった、早い人なら6週間で白さ実感、差がついちゃった。 3(6) 薬用化粧品
はえる。 3(1) 本品は育毛剤であり、承認された効能効果は「育毛促進」「発毛促進」である。
よって、「発毛」など毛が生えると言い切ってしまう表現は使用できない。
約束できる。 3(6) 前後に効能効果を明示して「約束できる」と
表現した場合、効能効果の保証表現にあたる。
皮脂腺を正常な状態にしてくれる効果抜群。悩みから解放される。 3(1)
3(6)
10
育毛剤では、皮脂腺そのものを正常化するという効能は認められていない。3(1)
妊娠線・肉割れの予防に。 3(1)
3(4)
3(6)
薬用化粧品である本品においては、認められていない効果である。3(1)
用法用量の記載がない。 法第60条準用

法第52条第1号

薬機法で定められた表示がない。

医薬品の違反広告表現例

違反表現 広告基準等 解説
だるい、カルシウム不足、肩こり、腰痛のある人、糖尿、血圧が心配な人 3(1) 承認された効能効果は「滋養強壮」「虚弱体質」等であり、
「肩こり」等の効能効果は認められていない。
免疫機能を高める免疫系に作用して、細胞を賦活させる 3(1) 承認された効能効果は「化膿性疾患」等であり、
免疫機能増強に関わる効能は承認されていない。
日本に数台しか導入されていない特殊な機械を使い、生薬を煎じたもの 2 「特殊な機械」により作った旨の表現は、消費者に特別良い製品であるかのような誤解を与える。
製造方法に関して、優秀性を強調する表現は使用できない。
「まあ、元気」
(承認効能で「次の場合ビタミンCの補給:肉体疲労、妊娠・授乳期、
病中病後の体力低下時、老年期」があるが、これが広告中で明記されていない。)
3(1) 滋養強壮保健薬において「元気」という文句を用いる場合、承認効能を明記しなければならない。
「目の下に何かついてますよ」「これは私の疲れです」画面:目の下の「クマ」を指している。 3(1) 「クマ」に効果があるように受け取られるが、承認効果外である。
効き目新しい

効き目アップ

3(6) 効能効果は従来の医薬品と変わらない。あたかも新しい効果が追加されたような表現である。
ひとみに栄養。 3(1) 「瞳に栄養を与える」という効能は認められていないため、効能効果の逸脱にあたる。
男性が目をおさえながら「疲れたなー」というシーンが承認効能外の眼精疲労を暗示する。 3(1) 眼精疲労の効能は有していない。
タクシーの運転手の疲れを表現した広告であるが、全体的に眼精疲労を暗示する。 3(1) 眼精疲労の効能は有していない。

医療機器の違反広告表現例

違反表現 広告基準等 解説
痛みの緩和・万病の予防をします。 3(1) 承認された効能効果を逸脱している。
危険性はありません。 3(6) 安全性に関わる保証表現は使用できない。
メガネやハードコンタクトでしか乱視を矯正できなかったのは、
もう昔の話。乱視は〇〇(商品名)が常識です。
3(6) 効能効果を保障する表現である。
移転前の住所が表示されており、現住所の記載がない。 法第63条第1号 薬機法で定められた表示がない。

薬機法に違反した場合のリスク

薬機法に違反した場合は、下記のようなリスクがあります。

  • 措置命令・中止命令
  • 課徴金が課せられる
  • 社会的信用が失われる
  • 逮捕される

それぞれ順番に解説します。

措置命令・中止命令

1つ目のリスクは、措置命令や中止命令が下されることです。薬機法に違反した事業者や法人には、厚生労働大臣や都道府県知事から違反行為の中止や排除、再発防止策の実施を命じる「措置命令」や「中止命令」が下されます。

また、未承認の医薬品や医療機器を販売した場合は、刑事罰が適用される可能性もあります。

課徴金が課せられる

2つ目のリスクは、課徴金が課せられることです。2021年8月より虚偽・誇大広告の違反を行った事業者や法人に対して、課徴金制度が施行されました。

課徴金額は、原則として違反を行った期間中の対象商品の売り上げ額×4.5%とされています。

社会的信用が失われる

3つ目のリスクは、社会的信用が失われることです。薬機法に違反し行政処分が行われた場合、企業としての信用やイメージが失われます。消費者だけでなく、株主やメディア関係者の信頼も失われてしまうことをしっかり理解しておきましょう。

逮捕される

最悪の場合、逮捕される可能性もあります。実際に、2020年7月に、医薬品として承認を受けていない健康食品について、身体的な機能を改善する効果があるかのような記事広告を行ったとして広告主、広告代理店及び制作会社の役員従業員等が薬機法違反(未承認医薬品の広告禁止)の疑いで逮捕されました。

このように、1つの広告で非常に大きな損失になる可能性があることを念頭に置いておきましょう。

広告が薬機法に違反しないためのポイント

広告が薬機法に違反しないためには、下記の2点を行いましょう。

  • ガイドラインの確認
  • 薬機法に関する情報収集
  • チェックツールの利用

それぞれ順番に解説します。

ガイドラインの確認

まずは、ガイドラインを確認しましょう。ガイドラインを理解しておくことで、広告を作成する際に意識して違反表現を避けることができます。

ガイドラインは、厚生労働省が発表している薬事法における広告規制
を確認しておきましょう。

また、厚生労働省が定めたガイドラインを基にして、自社で広告作成用のガイドラインを作成しておくのもいいでしょう。

”この表現はOK”、”この表現はNG”など、社内で取り扱う商品に対する表現をある程度定めておけば、社外への依頼の際もスムーズにやりとりできます。

薬機法に関する情報収集

薬機法に関する情報は、随時アップデートされます。

厚生労働省からは”通知”という形で、直近起こった事例などが公開されていきます。ほんの少しの言い回しや表現によって薬機法に準ずるか反するかが変わってくるので、具体例を知るためにもこまめに通知を確認するのがおすすめです。

また、薬機法の最新情報に関するニュースやサイト、メールマガジンなどを日々チェックするのもいいでしょう。

広告表現のチェックツールの利用

広告表現のチェックツールなども活用しましょう。薬事法 広告表現チェックツールを使用すれば、広告文が薬機法に違反していないか無料でチェックできます。

100%のチェックはできませんが、ある程度の確認は可能です。また、不安が残る場合は、薬機法の専門家の監修を入れることも積極的に検討しましょう

まとめ

薬機法の広告に関する概要
本記事では、薬機法の広告に関する概要を解説してきました。薬機法では特に、下記のような広告が禁止されています。

  • 誇大広告の禁止
  • 承認前の医薬品、医療機器及び再生医療等製品の広告の禁止
  • 他社商品の誹謗広告の制限

薬機法に違反した場合は、措置命令や中止命令、社会的信用を失ってしまうリスクがあります。これらを防ぐためにも、薬機法に対する理解を深めることが重要です。また、不安が残る場合は専門家の監修を入れることも検討してみて下さい。

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