投資信託業界のAIOs/LLMOの傾向を分析！マクロ調査・ミクロ調査で見えた傾向とは

近年、AIの発達に伴い、ユーザーの検索行動が大きく変化していることはご承知のとおりです。

具体的には、以下のような例が挙げられます。

Google検索結果画面上部の「AIによる概要（AI Overviews、以降AIOs）」で情報収集が完結するケースの増加
ChatGPTやGemini（以降LLMO）といったLLMを活用した、対話形式の検索行動の増加

このようなAIの発達による検索行動の変化は、従来SEO対策を施していたサイトへの流入減少にもつながりつつあります。

本記事では、弊社が実際に調査を行った投資信託業界の事例をもとに、AIの発達にどう向き合い、どのような対策を講じるべきかをご紹介します。

全ての業界に共通するとは限りませんが、AI時代における新たな対策方針のヒントとして、ぜひ参考にしてください。

AI検索時代に必要な「LLMO/AIO対策」とは？

「ChatGPTに自社情報が出てこない…」「AIに正しく引用されない…」
そんなお悩みに、生成AIに選ばれるための新しい検索最適化「LLMO対策（Large Language Model Optimization）」をご提案しています。
従来のSEOとは異なる評価軸に対応し、AI検索でも存在感を発揮できるよう、戦略策定からコンテンツ改善、技術的なサポートまで一貫してご支援します。

また、無料のLLMO/AIO診断を実施しています！現在のWebサイトの対策状況や生成AIにおける表示状況などを詳細に分析・見える化します！

無料LLMO/AIO診断、実施中！

1 ご相談のきっかけ・調査の背景
2 投資信託業界の傾向を把握するための調査方法
- 2.1 AIOs
- 2.2 LLMO
3 投資信託業界のAIOs・LLMOの傾向
- 3.1 AIOs
- 3.2 LLMO
4 自社のAI対策方針を検討しているなら、まずは無料診断から！
5 人からも、AIからも選ばれるLLMO対策を！まずは無料診断から！

ご相談のきっかけ・調査の背景

今回ご相談いただいたお客様は、独自性の高い商品をはじめ、幅広い資産運用サービスやソリューションを提供されている企業様です。

今後のSEO戦略立案にあたり、「業界内における自社の立ち位置を把握したい」という課題解決のために、現状分析の基礎材料収集を目的にご支援させていただきました。
さらに、他部署（他支店）で未着手の領域である「AIOs（AI Overviews）」「LLMO（LLM Outputs）」対策についても視野に入れ、全社的な対策の方向性を提示することを目的として調査を実施しました。

投資信託業界の傾向を把握するための調査方法

ファンド・投資信託会社に関するAIOsおよびLLMOの傾向分析は、以下の項目を軸に実施しました。

AIOs

対策キーワード選定
キーワード順位の定点観測
AIOs表示有無の観測
傾向分析の実施

「SEO上位サイトがAIOsにも多く引用される」という仮説に基づき、キーワードの上位表示率とAIOs引用率の相関を定常的に調査し、傾向を把握しました。
また、競合調査も同様に実施し、引用されやすいサイトの特性を把握しました。

具体的には、AIOsに引用されたいサービス・商品種別キーワードを選定。キーワードの掲載順位とAIOsの表示有無を一覧化し、表示率をクロスチェックすることで傾向を把握しました。

LLMO

訴求したいプロンプト（約300個）の選定
ChatGPTおよびGeminiにおける自社・競合の掲出率確認
各プロンプトの掲出内容検証
サイトごとの掲出傾向把握（マクロ調査）
プロンプトごとの掲出傾向把握（ミクロ調査）

LLMOから主に引用されるサイトの傾向を把握するため、調査を二層構造で実施しました。

マクロ調査：自社・競合サイトの全体的な掲出傾向を横断的に確認
ミクロ調査：各プロンプト種別における引用競合との比較分析

掲出率変動と掲出内容の確認、およびマクロ調査のみでは明確な傾向が掴めなかったため、「プロンプト種ごとによってLLMの掲出傾向に変動がある」と仮説を設定し、より詳細なミクロ調査を複数プロンプトで実施することで、傾向把握を深めました。

投資信託業界のAIOs・LLMOの傾向

調査結果に基づき、投資信託業界におけるAIOsおよびLLMOの表示傾向を分析したところ、以下の傾向が見られました。

AIOs

AIOsの表示有無は、検索キーワードや確認タイミングによって変動します。

しかし、キーワード順位が高順位（10位圏内）であるほどAIOsに引用される確率が高いという傾向が見られました。このことから、SEO上の評価とAIOsへの引用には一定の相関関係があると結論付けられます。

ただし、高順位を獲得しているページであっても、AIOsに引用されやすいページ種別と異なる場合（例：AIOsは「コラム記事」を引用する傾向が強いが、上位ページは「ファンド詳細」である場合）は、引用されにくい傾向がある点に注意が必要です。

LLMO

LLMOによる掲出内容も、デバイスや確認時間によって変動しますが、サイトごとの掲出割合（引用されやすさ）に大きな変動はなく、特定のサイトが引用されやすいという一定の傾向が確認されました。

マクロ調査

約300件のプロンプト全体を対象に、競合の掲出率なども加味した全体的な傾向把握（マクロ調査）を実施しました。その結果、全体的な言及率と相関性の高い単一指標は見られず、プロンプトごとに掲出傾向が細分化されているため、横断的な傾向把握は困難であると判断しました。

ミクロ調査

この課題を受け、プロンプトを複数選定し、個別のプロンプト回答に基づく詳細な分析（ミクロ調査）を実施。その結果、プロンプトの種別によって引用されるページの傾向が明確に異なるという傾向が見られました。

以下が掲出傾向の一覧となります。

■プロンプト種別ごとの引用傾向一覧

プロンプト種別	引用されるページの特徴
「おすすめ」「ランキング」など比較検討関連のプロンプト	・比較サイトからの引用・ファンド詳細からの引用
投資信託会社の選定方法・選び方などの方法を問うプロンプト	・コラムからの引用
「○○株」など特定の株の種別について問うプロンプト	・「○○株」関連のページ数・ニュースリリースなどの情報

■具体的な引用傾向

・比較検討（おすすめ・ランキング）
比較・検討を目的とするプロンプトでは、主に比較サイトやファンド詳細ページに記載された特徴、おすすめの理由が引用されています。
特に、プロンプトのニーズに沿った情報が、AIに認識されやすい構造でページ内に掲載されているかが、引用の可否を分ける重要な要素となります。

・方法を問うプロンプト（選び方など）
「選定方法」などノウハウや方法論を問うプロンプトでは、コラム記事からの引用が多数を占めていました。
メリット・デメリットといった一般的な詳細内容、いわゆる「お役立ち情報」を解説するコラムがあることで、引用元として掲出される確率を高めます。

・特定銘柄・種別を問うプロンプト（「○○株」など）
特定のファンドや銘柄について問うプロンプトでは、該当する株の種別に関するページを多く保有しているサイトが引用されやすい傾向が見られました。
自社で積極的な情報発信（ニュースリリース等）を行うことで、当該テーマと自社の関連性が高まり、掲出確率は向上すると考えられます。

これらのことから、プロンプトごとのニーズに合わせて引用されるページの傾向は変動するため、『どのような役割（情報源）で掲出されたいか』と『いかに自社の情報を発信し、関連性を高めるか』の2点を加味した戦略的なLLMO対策が必要であると結論付けられます。