Cross Talk
自動化やAIなど
絶え間なく変化し続ける広告業界の
未来を語るインタビュー。

#03

クッキーレスやAI、自動化などホットトピックの絶えない広告業界がどう変化していくのか。
これから代理店や広告担当者に求められるものは何か。
現状の実態と未来の予測を交えながら話してもらいました。

MEMBER

近藤 皓

取締役

近藤 皓

佐野 泰成

Consulting Div.兼 Ad Strategy div.
 / 執行役員

佐野 泰成

中山 惟知也

Ad Strategy div.
 / シニアマネージャー

中山 惟知也

01

クッキーレス時代、広告業界にはどのような影響が?

中川(インタビュアー)

広告業界ホットトピックの一つにクッキーレスがあると思いますが、実際に広告効果がわるくなったなどの実感値はありますか?

佐野

三度目の延期を発表したchromeのクッキー規制なども騒がれていたけどGoogleの収益構造を考えれば、そりゃそうせざる終えないだろうなとも思うし。 Web広告の中でも高い効果のあったリターゲティング広告(一度サイトを訪れたユーザーに対し広告を配信するターゲティング手法)などはもう終わりそうなタイミングではあるけど、それ以外のオーディエンスターゲティング(例えばWeb上で商品を購入したユーザーと類似の行動を取っているユーザーをターゲティングする手法)などの精度も上がってきているから、例えリターゲティング広告が明日から全く配信できなくなりますとなったとしてもなんとかなるイメージ。 今まで効果の良い広告運用をするためには、誰に広告をあてるかのターゲティングを代理店、人の手で工夫して行う必要があったんだけど、各媒体の機械学習が進んで、それが前ほど必要ではなくなったイメージ。
クッキーレスと機械学習の波が同時に来ているイメージかな。機械学習の方が若干先に波はきていたけど。

近藤

GoogleやYahoo、Metaなど媒体(メディア)によって差はないの?

佐野

その三社では大きく差は感じてないけど大量のデータをもっているメディアがやっぱり精度が高いし、精度が高いから広告主を出稿するしで、より市場で強くなってきている。DSPなどの第三者データをもてなくなってきている媒体、メディアはより厳しい状態ですね。

中川

持っているデータ量が膨大なメディアは脱リタゲの準備をしなくてもなんとかなるイメージだね。

近藤

そういう環境になっていく中でのDIとしての介在価値はどこにあると思う??

佐野

二つあってターゲティング精度での他代理店との差別化は難しくなってくるからクリエイティブでの差別化は必要不可欠だし、強みになっている。
あとは機械学習するからどの代理店でも成果が同じになるかというとそういう訳でもなくて、機械学習の基になるデータをどれにするか、どうやって学習させるか、などのデータの取捨選択というか、戦略をどうするかは他社との差別化になるし、DI、代理店の介在価値にはなってくると思う。

02

クッキーレス×機械学習の波が強まる中で広告運用者に求められるものは?

中川

クッキーレス×機械学習で広告代理店のあり方も変わってきているということですね。クリエイティブへの影響もありそうですが、そこはどうですか?

近藤

クリエイティブとか広告の提案してる立場で最近感じてるのは、もともと広告のクリエイティブってTVCMが一番メジャーで、TVCMって当然費用が膨大にかかるから何本も作れず、特定の1人に向けた強いクリエイティブを作り込みそれを大多数に当ててその中で響く人を獲るみたいな形だったものが、Web広告が誕生して細かくターゲティングができるようになり、クリエイティブも細かくいっぱい作っていろいろ当て分けていこうみたいな細分化が進んだ。
ただ今の機械学習が進んだことによって細かく人の手で設定する必要なくなったというか、そもそもできなくなり、その分媒体が賢くなって適切な人に自動で当ててくれるようになった。
一周回ってクリエイティブが集約されてきてるなと思っていて強いクリエイティブを特定の人に作り込んで、機械学習に委ねれば適切なターゲットにアプローチしてくれるっていうTVCMの状態に近くなってきてるなと感じている。

佐野

僕の感覚でいうとまだそこまではいかなくて、TVCMのターゲットは完全にマス向けで、どちらかというと個々に最適化するがあまり細分化されすぎたクリエイティブがある程度集約されていっているという感覚。
機械学習の観点で言うと一定学習させるための母数は必要、でもマスほどのオールは必要ないので、それぞれのクラスターみたいに分けて、マスと今までのWeb広告の中間みたいな母数、クラスターに対してクリエイティブをまわしていくのが機械学習上では最適なんじゃないかと。
これは数の問題なので予算がめちゃくちゃあって、とか、マス向けに広告打ってっていう場合はもっとたくさんクラスターできるんですけど。お客さんの予算感によっては特定のクラスター向けにしか広告作れないとか、回せないという場合は集中する、そのくらいの母数感。

中川

広告運用者としてはどういう役割が求められてくると思いますか?

中山

集約されていて、こういうターゲティングの箱が一個効果いいよねというのがあります、ただ+αでもっとターゲットを広げていくために新しい視点の箱作ってテストしたらどうなの?っていう設計が僕らが介在する価値であり、役目になってきている。
今までリソースを割いてきた毎日の運用とかは機械に任せて、より挑戦的というかターゲットや市場を見つけるみたいな、新しい視点に対して広告運用者、人が介在し続けないといけないなと思う。

佐野

結局クリエイティブの側まで思考をめぐらせないといけないので、広告”運用者”というよりはクリエイティブも考えた上で設計を組めなきゃいけない。
運用者や作業者というよりプランナー。

03

ファーストパーティの活用は海外に比べて日本の動きはまだ顕著でない?

中川

クッキーレスの波によってファーストパーティをどう使うかが今後テーマになると思いますが、どういった動きが想定されそうですか?

近藤

メディア側は少しずつ出てきていると思っていて、例えばANAとか銀行とか膨大なデータを持っている会社が広告事業を始めようとしていたり、ディズニーみたいなデータももっていて自身でコンテンツ配信しているところはもう独自の広告作ろうとしていたり、大きな小売のリテールメディアに手を出していたりとか。 自分たちのファーストパーティデータを渡して、Google以外のメディアに親和性の高いユーザーを探しにいくみたいな動きは今後おこるんだろうなと。
メディアって増えては淘汰されて、増えては淘汰されて、というのを繰り返しているけど、直近でまたそれが起こりそうだなと。
そういうことができるメディアを見つけたり、御社が保有するファーストデータだとこういう使い方するといいよねみたいな視点は広告プランナーというかお客さんに向き合う者としては必要になってくるんだろうなと思う。
ただ海外の動きとか、日本でも動きの早い大手だけでしかまだその動きは見えていないと思っていて。。
実際に2人はお客さんと話しててとか現場でそういう動きって感じる?

佐野

全然そこへの動きはまだ見えてきてないですね。
まだビッグメディアが強いっていうのはあります。
仕組化もかなりされていてCPCも安くて広告在庫やビッティング、機械学習、ターゲティングなど、広告効果を安定化するための基盤が整いすぎている状態から、いきなりまだ在庫関連やビッティングとかが整っていないようなメディアにいくっていうのが、我々代理店もだし、お客さん的にもなかなかハードルが高いなと。そこへの将来性はもちろん感じながらも。

中山

個々のメディアを選ぶというよりかは、メディアをいかに横断できるか、もちろんGoogle、Yahoo!もできるけど、現状の運用型広告だけでは追えないメディアを横断できるプラットフォームの方に2、3年後は集約されていくと思う。

近藤

データクリーンルームをGoogleとかは持っていて、渡したらGoogleはあくまでもGoogleの提供するサービス範囲でしか使ってくれない。
広いんだけど閉ざされてるっちゃ閉ざされてる。
もっと広くデータと自分たちのファーストパーティデータをつなげて、見てみたい、広告を出してみたいっていう動きは現れると思う。
GoogleはGoogle、MetaはMeta。それ以外の動きで、仲よくファーストパーティデータをうまく使いませんか?みたいな動き。それが今はバラバラだけどプラットフォーム化するかもしれない。結局それはGoogleがやりかねないけど(笑)。
※企業が保有している顧客情報(氏名・住所などはもとより購買履歴や嗜好性等に関するさまざまな情報)から、個人を特定・識別できるデータを取り除いてプライバシー保護に配慮した形で、他の企業などのデータと統合的な分析等に供することができる環境のこと。

佐野

ただ結局ファーストパーティに集約していくってなったら、サードパーティクッキーを投下した意味がないというか。その連携を許すのであれば、ユーザーからしたら結局同じじゃんっていう。ジレンマというか矛盾は起こりますよね。 データ受け渡しされていて、勝手に売ったりされてみたいな気持ち悪さは変わらないので、仕組み上はファーストパーティであるって話しなんですけど、逆行にも見える。
ファーストパーティのデータって好かれるメディアとかファンになるメディアならどんどん顧客からデータを渡すと思うんですよ。
ディズニーとか、アマゾンとか普段使うところってどんどん個人情報渡してその中でよりよい商品とか、サービスを受けたいから顧客も個人情報を提供していると思ってるので、それ以外のメディアやプラットフォームに連携するというのは、どうなんだろう。

中山

今ってあくまで広告主が自社で持ってるファーストパーティをいかに使うかってところまでにしかとどまってない。それを媒体に渡してってところまでしか進んでないし、企業によってコンプラでやれるところやれないところあるから、ちょっとずつ扉が開き始めてるかなくらいの感覚ですね。

佐野

法律的なところがついてきてない感じがありますよね。
今みたいなデータクリーンルームとかマーケッターはなんとなく理解し始めているんですけど、法務にも通せないというのが最近すごく多いので、プライバシーポリシーとかも当分動かないし、そこが足かせになりそうなにおいがしてます。
広告担当者としてもコミュニケーションめんどくさいし法的なところがまったくわからないみたいな。
となるとのリーガルの部分をサポートできるとより強いんですかね?

近藤

DIがお客さんに対し、法的部分までコンサルティングするってこと?

佐野

そうです。

近藤

お客さんからのニーズがあればだね。
こちらでサービスとして用意してあげるとバリューはだせるのかもしれないしうちの価値になるかもしれないが、担当者レベルでも二の足を踏む領域なので、もうちょっとおしりに火が付かないと動いてくれないなあ。

近藤

GoogleとかYahoo!などのメガ媒体たち、メガプラットフォームたちのデータクリーンルームでさえ特段使われてない。
2、3年前から、もっと前かな・・?提案はされはじめていたけど、実際に現場でみることはあまりないイメージなんだが、どう。

中山

Yahoo!はちょっとずつ動きとしてはありますね。
Yahoo!の持ってるこういうデータを、検索履歴もそうだし、提携してるメディアのデータも取り込んで、それを元に広告のターゲティングとして活用するとか。
あとは直近だとやっぱりLINEのデータもちょっとずつ進んできてますね。

近藤

うちももっと事例創出したいよね。
この先どんな動きが出てきそうか、がなんとなく見えてきてるのに足元あんまり事例がないってすごくもやもやする。
一番早いと3,4年前に、博報堂と連携して提案したね。

佐野

先頭の上位企業さんがメインですよね。

近藤

となるとDI側から理由をちゃんと作りにいく動きが重要になってくるね。

04

AIはどのように広告業界に影響を及ぼすのか。

中川

AIの存在が広告業界でも大きくなってきていると思いますが、どういう動きが見えてきてますか?

佐野

AIでいうと広告審査がAI化したり、クリエイティブ領域での存在感が増してきているかな。

近藤

クリエイティブそのものの方が最後になるよね。最後まで残るというか。
審査は人の介在時間減らして、AIで粗の出る部分は人がちょっと介在して、みたいな今の形の継続。やっぱりAIダメだから一回戻すね、は今後多分ない。
どちらかというとここからもっと人の手が不必要になるように進化していくと思う。
佐野がさっき話してたどこを学習データとしてどのデータをロボットに食わせるかとか、その辺もAIによってく領域な気がしていてる。

佐野

広告運用のPDCAってどこかで限界がきますよね。人の手でも。 結局これってPDCA、効率化のことばっか考えたことによって、広告って基本相対評価にも関わらず、AI vs AIで3社ごとAIで機械学習回したら、どこかで絶対同じ水準になると思うんですよね。全員同じ頭つかってるので。GoogleのAI、GoogleのAI、GoogleのAIみたいな。
結局差が出てくるのがクリエイティブなのか、また別の発想なのか。
発想もAIに頼り出したら広告の相対比較の時に差が出なくなるし、クリエイティブもAIに頼りだしたら結局商品力勝負なのか・・?
マーケティングってそこじゃないですか。発想を変える必要があるというか。
AIが勝負出来ないようなことを見つけ出し、勝負できるか。がこれからの視点として必要になってくると思います。AIも勝負しだしたら怖いですけどw

中山

運用はほとんど機械化されますよね。何に重みを付けるかやデータをどう切り取るかも、多分勝手にロボットが学んでいくんだと思います。

近藤

基本的に管理画面の作業に落ちるものはデータとして残るわけなので、それを学習していけば、自動化されるよねっていう気がしている。
今すぐにではないけど。

05

「市場に石を投げ込む」のはAIではなく人。

佐野

ただAIとか機械学習って、基本的に時系列で過去データによっていると思ってて。これからなどの未来に関しては、マーケティングっぽい予測ってむりだと感じるんですよね。意図的にこれ、みたいなのは多分人間が仕掛けていくんじゃないかなっていう感覚ですね。
3月1日にこのキャンペーンやるから広告の配信量も増やすとか、競合にこの動きがあるから入札を上げておくとか、そういった部分は人間がやっていくイメージ。

近藤

予測、読みじゃなくて自分で投下しにいくってことだよね。

佐野

そうそう。あと攻め。
予測もですよね、表にはでていないけど競合が何かしかけてきてそうとか、こういう動きが今後ありそうみたいな、未来系の動き。

中山

最初はそれも与えてあげなきゃいけないと思うけど、続けていく中で結局過去データになってくるから、それもどっかでロボットが動けるようになる気がする。
タネ上げるのはあくまで人間だけど、数回与えちゃえばあとは勝手にやってねの世界にはなるイメージ。

近藤

市場にどんな石を投げ込むかみたいなところが仕事になってくるのかな。

中山

あとはやっぱりクリエイティブの領域は残るよね。
作れなくはないけど、心に残るコピーとかは作れないと思うのでそこはやっぱ人が残り続けるんじゃないかな。

佐野

やっぱりちょっとマスの代理店っぽくなるんですかね。

近藤

個人的にはちょっとそうなると思っている。というかそういうPRよりな視点が今後もっと必要になるんだろうなと感じている。

中川

技術の発展と共に広告プランナー、広告会社の在り方も変わっていきそうですね。
結局は市場や技術がどう変わろうとも、変化と共に自身のスキルや考え、価値観をアップデートできる人がこれからの時代に求めらえる人物像ではありそうですね。
今回はクッキーレスから自動学習、AIまで広告業界を揺るがす3大トピックについてお話しいただきました。
お三方ありがとうございました!